第922回
高校の必修科目に「情報I」が新設、その内容は?
- 中学1年生の子どもがプログラミングを習いたいと言っています。将来役に立ちそうなので習わせたいのですが、コロナ禍でパート収入が減っていて家計のやりくりが厳しい月もあり、どうしたらいいか悩んでいます。(Tさん 43歳 女性)
- プログラミング教育は小中学校ですでに始まっていますが、2022年度から高校でも必修となります。将来的には大学入学共通テストの受験科目にも追加が検討されています。家計から費用を捻出することが難しい場合は、一時的に教育ローンの利用を検討してみてもよいでしょう。
学校でのプログラミング教育の必修化とは?
情報化社会は急速に進み、IT人材の不足が叫ばれています。また、生活する上でも、情報リテラシー能力は今後幅広く必要になります。学校教育の場では、新学習指導要領によりすでに小学校で2020年度からプログラミング教育が必修化されており、中学校でも2021年度から「技術・家庭科」でプログラミングの内容を学ぶことになっています。
高校では、情報に関する科目として2021年度では「社会と情報」と「情報の科学」があり、どちらかを選択必修することになっています。プログラミングに関する内容は主に「情報の科学」に含まれていますが、約8割の生徒が「社会と情報」を選択しており、プログラミング教育を受けていない生徒が多いのが実態です。2022年度からは必修科目の「情報I」にプログラミング教育が含まれますので、全員がプログラミングを学習することになります。
高校で必修科目となる「情報I」の内容は?
「情報I」では、全ての生徒がプログラミング、情報セキュリティを含めたネットワークシステム、データベース(データの活用)について学びます。問題の発見・解決に向けて、事象を情報とその結び付きの視点から捉え、情報技術を適切かつ効果的に活用する力を全ての生徒に育むことが目標とされています。
プログラミング学習は、コンピュータで情報処理される仕組みに着目し、プログラミングやシミュレーションによって問題を発見・解決する活動や、関数の定義・使用によりプログラムの構造を整理する力を育むような内容になると思われます。
『プログラミングの知識なんて、IT技術者にでもならない限りいらないのでは?』と思われるかもしれませんが、2016年の中央教育審議会答申では、プログラミング的思考は、将来どのような職業に就くとしても時代を超えて普遍的に求められる、と述べられています。さらに「情報I」は2025年以降の大学入学共通テストにも追加が検討されています。
教育ローンはプログラミングスクールにも利用可能
小中学校ではすでにプログラミング教育が実施されていることから、プログラミングスクールに通う生徒も見られます。「情報I」が高校で必修科目となり、大学入学共通テストにも採用予定ともなると、今後プログラミングを学びたいという子供たちがさらに増えることが予想されます。
お子様の将来の選択肢を広げたいという思いはあっても、コロナ禍で収入が安定しない場合など、プログラミングスクールの費用を家計から捻出するのは厳しいというご家庭もあるでしょう。その場合には一時的に教育ローンを利用するという選択肢もあります。
教育ローンには、学費だけでなく小中高生の塾や習い事の費用にも利用できる商品もあります。使途が教育関連費用に限定されていますので、カードローンやフリーローンよりも低い金利で借りることができます。但し、収入が安定してきたら早めに完済させるというように気を引き締めて借りることが大切です。同時に、家計を見直して無駄な支出を省くことができないか確認し、プログラミングスクールの費用も家計から安定して捻出できるように努力していきましょう。
私が書きました
ファイナンシャルプランナー(CFPR)。
大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務し、出産を機に退社。子育て中の2006年にファイナンシャルプランナー(CFPR)資格を取得する。その後、教育費や保険・家計見直しなどのセミナー講師、幅広いテーマでのマネーコラム執筆、個人相談などを中心に、独立系FPとして活動を行っている。
※執筆日:2021年04月26日