第905回

金利で選ぶならカードローンよりフリーローン?

想定外の出費があり、カードローンかフリーローンを利用しようと考えています。どちらが有利なのでしょう?(Kさん 会社員、36歳)
カードローンとフリーローンは似て非なるものです。「有利」という意味では金利面が大きいと思われますが、幅のある金利で表示の場合、実際の適用金利が何%になるのかが重要です。

カードローンとフリーローンの違いは?

個人向けローン比較サイトのイー・ローンで「フリーローン」を検索してみるとわかりますが、フリーローンやカードローンが抽出されます。Kさんのように、選ぶ際には迷いが出ることでしょう。

まずは、カードローンとフリーローンの違いを整理しておきましょう。一時的に現金が必要になったときに便利なものとして、カードローンとフリーローンがあります。

カードローンとは、ローン専用カードを使用した貸付で、銀行や消費者金融などが扱っています。クレジットカード会社の貸付には「キャッシング」もありますが、これはクレジットカードを使用した貸付で、カードローンの場合は、別途専用カードを発行します。

一方、フリーローンは銀行などの金融機関が扱う貸付で、使途を問わず自由に使うことができます。カードローンもフリーローンも「使途は自由」で共通ですが、事業資金や投資資金への利用を禁じているものも少なくありませんので、事前に確認が必要です。

両者の違いとしては、カードローンの場合、一定の利用枠の範囲であれば何度でも借り入れることができますが、フリーローンには利用枠はなく、契約に基づいて借入額や金利などを決めたうえで借り入れます。フリーローンで追加の借り入れをするには、その都度、銀行に申込みし審査を受ける必要があり、利便性ではカードローンに軍配が上がります(借り入れのしやすさは借金依存を高めるという意味ではデメリットと捉えることもできますが)。

ただし、金融機関や申込人の条件などによっても異なりますが、一般的には、フリーローンのほうがカードローンより金利は低めです。「有利なもの」を選ぶ際には、実質年率を気にして選択することが重要です。

金利は「適用金利」が何%かが重要!

最近は、カードローンもフリーローンも適用金利に幅を持たせた表示とした商品が多くなっています。イー・ローンの検索結果でも、すべての商品の「実質年率」が下限金利〇%~上限金利〇%となっています。これは、申込人の属性や他の借り入れなどの状況によって適用される金利が変わることを意味します。

検索結果を見るとき、ついつい下限金利に目がいってしまいます。2020年12月現在、変動金利で1%を切るような最低金利を提示しているカードローンもあります。ここで注意が必要なのは、実際に適用される金利は最低金利になるとは限らないということです。下限金利やそれに近い低金利で借りられるのは、属性もよく他に借り入れがないなど条件もよい、ごく一部の人に限られるという点を知っておく必要があります。

では、Kさんはどうしたらいいのでしょう。それはやはり、検索で候補を絞り込んだら、複数の商品に申込んで審査を受け、適用金利を確認するしかありません。その際に、フリーローンも加えるといいでしょう。

借り入れで乗り切った後は、想定外の出費に備えるためにも家計の見直しを行い、まずは生活費3カ月分の予備費を貯めるようにしましょう。

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私が書きました

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豊田 眞弓 (とよだ まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー、シニアリスクコンサルタント。

20代前半より経営誌や経済誌、女性誌と広く手がけるライターとして個人事業を展開。1995年より独立系FPとして、雑誌やムック、新聞、サイトへの寄稿・監修、相談業務、講師などで活躍。「今日からの お金持ちレシピ」(明日香出版)をはじめ共著本など多数。

※執筆日:2020年12月23日