第810回

住宅ローン選びの際には事務手数料にも注目を!

住宅を購入予定です。 事務手数料にもいろいろなものがあるようですが、住宅ローンを選ぶ際に事務手数料はどのように考えればいいでしょう?(Kさん 会社員、30歳)
住宅ローンの事務手数料は様々なタイプがあり、返済計画などによっても最適なものが異なります。 正しく知ってより自分に合うタイプのローンを選びましょう。

事務手数料とは?

事務手数料は、融資を受けるための手続きのコストとして、金融機関に支払う手数料です。 保証会社の保証を付けるための保証事務手数料としてかかる場合もあります。

事務手数料には、定額型や融資額に一定割合でかかる定率型、金利に上乗せするタイプがあります。 同じ住宅ローン商品でも、定率タイプか金利上乗せタイプか選べる金融機関もあります。

定額型
定額で1回だけかかります。
例)・三菱UFJ銀行 ⇒3万円(+消費税)
・新生銀行 ⇒5万円(+消費税)[安心パックWは15万円(+消費税)、安心パックは10万円(+消費税)]
・イオン銀行 ⇒10万円(+消費税)*定率型とどちらかを選択
定率型
所定の割合で1回だけかかります。
例)・じぶん銀行、住信SBIネット銀行、イオン銀行ほか⇒2.16%(2%+消費税)
定率+固定
定率で事務手数料がかかるほか、固定でも別途かかります。
例)りそな銀行(web申込限定タイプ)⇒2.16%(2%+消費税)+3万円(+消費税)

※手数料は2019年1月現在の内容。

比較すべきは総返済額

住宅ローン選びの際には、金利(支払利息)だけでなく、事務手数料、保証料といったコストも加味して、総返済額が最も少なくて済むものが有利な商品といえます。 一般的な団体信用生命保険の保険料は、金利に含まれます。 ただし、総返済額を比較する際には、全期間固定なら全期間固定同士、10年固定なら10年固定、変動金利なら変動金利と、同じ金利タイプで比較する必要があります。

ちなみに、3000万円の住宅ローンを期間30年、固定金利で借りるケースで、住宅ローンA【金利1.3%(事務手数料32,400円)】と住宅ローンB【金利1.2%(事務手数料2.16%)】でどちらが有利かというと、金利が低いBよりも金利は高くても事務手数料が低いAの方が有利となっています。 金利が低い住宅ローンは事務手数料が高い場合もあり、この例のように逆転する場合もあります。

3000万円の住宅ローンを30年で借りた場合の返済総額
住宅ローンA 住宅ローンB
金利1.3%
(事務手数料32,400円)
金利1.2%
(事務手数料2.16%)
返済総額
36,277,732
36,386,139
元金+利息
36,245,332
35,738,139
事務手数料
32,400
648,000
保証料
0
0

※金利は住宅ローン返済額シミュレーションで試算。

繰上返済や借換えをする?しない?

では、返済総額が低い方が常に有利な住宅ローンかというと、そうとは限りません。 総返済額がほぼ同程度だった場合、金利が高くて事務手数料が低い住宅ローンと、金利が低くて事務手数料が高い住宅ローンではどちらを選ぶべきでしょうか?

この答えは、繰上返済や借り換えをする予定があるかどうかで異なります。 事務手数料は戻らない手数料のため、もし繰上返済や借り換えをする予定があるなら、総返済額が同程度なら、金利が高くても事務手数料が低いものの方が最終的に有利になる可能性もあります。 将来的な返済プランも見据えてしっかりシミュレーションをして選びましょう。

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私が書きました

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豊田 眞弓 (とよだ まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー、シニアリスクコンサルタント。

20代前半より経営誌や経済誌、女性誌と広く手がけるライターとして個人事業を展開。1995年より独立系FPとして、雑誌やムック、新聞、サイトへの寄稿・監修、相談業務、講師などで活躍。「今日からの お金持ちレシピ」(明日香出版)をはじめ共著本など多数。

※執筆日:2019年01月10日