第807回

今年変わったこと、来年気を付けたいことを総点検!

今年も、ライフプランに関わることで制度や仕組みが変わったことがあったと思います。それを総括して、来年の制度改正などで気を付けた方がいいことを教えてください(S・Fさん 35歳 会社員)
2018年も、いろいろな制度改正や新制度のスタートがありました。その中から、主だった事柄をピックアップしてみました。そして、2019年から変わることの主なものを取り上げ、気を付けたいことにも触れてみます。

2018年はローン、働き方、投資に関わる変化が!

2018年を振り返ってみると、ローンの借入と金利に関する動き、働き方、投資に関わる制度改正、新制度のスタートがありました。

ローンの借入に関しては、2018年1月から銀行のカードローンの審査条件が厳格化され、審査結果が出るまでに時間がかかるようになり、実質的な即日融資はできなくなりました。少なからず影響を受けた人もいたのではないでしょうか?

7月末には、日本銀行が金融政策決定会合で長期金利(10年物国債金利)の上限を2.0%まで容認する考えを示しました。 「フォワードガイダンス」という手法を取り入れたことで、将来的な金利上昇の余地があらわれ、今後は各種ローンの金利動向に気を配る必要があります。

働き方については、1月からパート勤務の主婦の働き方が変わる「配偶者控除」と「配偶者特別控除」の適用条件が変更されています。 これによって、働き方を変えた主婦の皆さんもいたのでは?

また、国は働き方改革で、会社員の「副業・兼業」を推進する方針を明らかにしたのも1月のことでした。

上記2つは、少子高齢化による深刻な人手不足の解消を図る狙いがありそうです。

そして、同じく1月から「つみたてNISA」がスタートしました。 「人生100年時代」に入り、老後資金を作るには投資が欠かせない要素になってきました。 そこで、国は投資を税制面でバックアップする制度を創設し、「つみたてNISA」もその1つです。 すでに積み立てをスタートした人もいるでしょう。

2019年の重要な改正は、何といっても消費税増税!

2019年に入ると、1月7日から、国際観光旅客税(出国税)が1人1000円かかるようになり、プライベートや仕事で頻繁に海外に行く人は、おサイフに響くかもしれません。

同じく1月から、10年以上取引のない一定条件の銀行預金は休眠預金化します。 10年以上前に作ってほったらかしの銀行預金口座はないか調べ、あったら手続きをして引き出すようにしましょう。

2019年の制度改革で最も重要なのは、10月から消費税が8%から10%に増税されることでしょう。 生活必需品には軽減税率が適用されるので税率は変わりませんが、高額商品を買う予定のある人には2%の負担増は大きいですから、早めに購入したほうがいいでしょう。

また、高額商品の代表である住宅と自動車は、増税後の反動減を警戒し、国は税制面での経済対策を打ち出しました。

住宅に関しては、増税後の購入には「住宅ローン減税」を3年間延長して13年間にし、11年目以降は建物価格の2%を3年間で控除するそうです。 自動車については、消費税増税時に、自動車取得税を廃止し、環境性能割(性能に応じて、自動車価格の0~3%)が導入されることが決定しています。 これを、増税後の1年間に限って税率が1%軽減されます。また、増税後に購入した自動車は、毎年支払う自動車税を最大4500円、恒久的に引き下げられます。

なお、10月から、「幼児教育の無償化」が全面実施されます。 それによって、払わずに済むようになったお金は、せっかくなので貯蓄に回すようにしましょう。

このように、大きな買い物には色々と減税の延長や代替の対応が発表されつつありますが、よく調べると増税前に購入した方がお得なケースもあります。 自動車の減税も排気量により異なります。ご自身の希望する商品があれば、増税前に購入を検討する事も念頭に置いておきましょう。

高額な商品を購入する場合、ローンを組んで購入するならば、その時点のローンの最新情報を収集し、よく比較・検討することが大切です。 金利優遇やその適用条件なども確認しておきましょう。

【参考リンク】

私が書きました

小川 千尋 (おがわ ちひろ)

ファイナンシャル・プランナー。

1994年ファイナンシャル・プランナー資格取得。資格取得後、以前から携わっていた出版物の編集・執筆の経験を活かし、独立系ファイナンシャル・プランナーとして、マネー誌や一般誌、新聞、ウエブサイトなどのマネー記事の編集・執筆・監修などの執筆関連業務および個人のライフプランなどの相談業務、セミナー講師として活動。

※執筆日:2018年12月14日