第770回
カードローンの「良い借り方」、「悪い借り方」
- 月々の生活費が不足しがちな時があったり、欲しいものがあるのにお金が足りないときがあります。これまではなんとかやりくりをしてしのいできましたが、最近になって、カードローンの活用を考えてもいいかなと思いはじめました。カードローンを使う時の注意点などがありましたら、教えてください。(42歳 男性 会社員)
- カードローンは、住宅ローンや教育ローン、自動車ローンなどの目的別ローンよりも金利が高く、返済負担が重くなることに注意が必要です。カードローンでお金を借りる際には、あらかじめ、短期間で確実に返済できる目処をつけておいたほうがいいでしょう。
「生活費の補填」や「欲しいものを買うための資金の補填」を目的に借りる人が多い
金融庁が2015年に公表した「貸金業利用者に関する調査・研究」調査結果によると、クレジットカード会社のキャッシング・カードローンの利用目的の上位3位は「生活費の補填」(37.8%)、「欲しいものを買うための資金の補填」(29.0%)、「クレジットカードの支払い資金の補填」(21.8%)となっています。 また、消費者金融の利用目的の上位3位は「生活費の補填」(38.2%)、「欲しいものを買うための資金の補填」(25.0%)、「遊ぶお金の補填」(19.9%)となっています。
この調査結果の「生活費の補填」は必要に迫られてお金を借りたケースが多いかもしれませんが、その他は、我慢すれば、または事前に注意や工夫をすれば借りなくてよかったものも含まれているように思えます。
ローンの中でも、住宅ローンや教育ローン、自動車ローンのような目的別ローンであれば、金利が低く返済負担も比較的軽くてすみます。 しかし無担保のカードローンは、超低金利時代と言われる現在でも金利が10%を超えるケースも多く、返済の負担が重くなるので注意が必要です。 カードローンは安易に活用せず、できるだけ収入の範囲内で消費する習慣を身につけた上で、それでも不足する必要不可欠なお金を一時的に借りることが最大のポイントです。
カードローンの「良い使い方」、「悪い使い方」
カードローンにも「良い使い方」と「悪い使い方」があります。
「良い使い方」は、本当に必要なお金を、本当に必要な金額だけ、極力短期間で借り、さらに、借りる前に短期間で返済できる目処がついている使い方です。ここで言う短期間の目安は半年以内です。 会社員の場合は、次のボーナスまでに返済できるイメージです。 用途例としては、不足する生活費や教育費の一時的な補填や、自分や家族が病気やケガで入院した時に不足する医療費などのカバーをする場合などでしょう。
一方、欲しいものを買う目的や遊ぶ目的、クレジットカードの支払いをする目的でカードローンを使うのは、おすすめできる活用方法だとは言えません。 欲しいものの購入者や遊びの代金は、コツコツ時間をかけて貯蓄をし、目標額に達してからお金を使うこともできるでしょう。 クレジットカードで買い物をする前には、あとで借金をしなくても支払いができることを確認しておいたほうがいいでしょう。 借金の返済のために新たな借金をせざるを得なくなると多重債務に陥り、家庭や暮らしの崩壊にも繋がります。
良い使い方 | 悪い使い方 | |
---|---|---|
用途例 | 一時的に不足する生活費や教育費等、必要不可欠なお金 | 遊興費、欲しいものの購入費等、当面我慢できるお金 |
借入金額 | 極力少額 | 借りられるだけの金額 |
借入期間 | 短期間(目安として半年) | 長期間(目安として半年以上) |
返済方法 | 収入や貯蓄から返済 ゆとりができれば早期に返済する |
新たな借金による返済 ゆとりができると消費に振り向ける |
日頃から家計管理を行い、収入を増やす方法も考える
日々の暮らしの中で、お金を大雑把に消費する方がカードローンを気軽に活用すると、借金に追われ、あとで大変なことにならないとも限りません。
まずは普段から家計の管理をしっかりするようにしましょう。 家計簿などをつけて収支の詳細を把握し、ムダな支出はできるだけ削減することに取り組みたいものです。 また、将来のライフイベントを実現するための資金や、欲しいもの、旅行・レジャーなどの資金をあらかじめ見積もり、貯蓄計画を立てて着実に実践するようにしましょう。 自転車操業的な家計運営は不健全です。まずは貯蓄ができる体質を作る必要があります。
そのために、世帯の収入を増やす方法を考える必要があるかもしれません。 配偶者が働いていない場合は、すぐに仕事を探す行動を起こすなどが考えられます。
それでも家計が厳しくてなかなか思うようにいかない場合もあるでしょう。 そんな中、どうしても自分で準備できない一時的に必要なお金を調達する場合に、カードローンを活用するようにしましょう。 日頃から家計管理がしっかりできていれば、カードローンも安全に使うことができるでしょう。