第749回
金利変動要因は国内だけにあらず。国際情勢から考える住宅ローン
- 子どもが小学生となり賃貸マンションが手狭になってきたので、そろそろ一戸建て購入を考えています。 現在、住宅ローン金利は低いようですが、これからもこの状態が続くのでしょうか?(会社員 Yさん 36歳)
- 2017年10月の日経平均株価は歴史的な連騰を記録し国内の景気は安定していますが、海外情勢を見るとアメリカのトランプ政権や北朝鮮情勢など不安定な要素も見受けられます。 このまま現在の低金利状態が長く続くとは限りませんので、早めに住宅購入の準備をしておいた方が良いでしょう。
住宅ローン金利はどのように決まる?
2017年10月22日に行われた衆議院議員選挙では、与党が313議席を獲得し日経平均株価は連続上昇記録を更新したというニュースが流れました。 日本企業の業績はおおむね好調ですが、今後住宅ローンの金利はどのような動きになるのでしょうか。
住宅ローンの金利タイプには変動金利と固定金利があります。 変動金利は、金融機関が優良企業に1年以内の短期で資金融資する際の金利である「短期プライムレート」を基準に決まります。 短期プライムレートは政策金利の影響も受けやすく、2016年2月に導入されたマイナス金利政策の影響で住宅ローン金利も低水準で推移しています。 固定金利は、一般的に新発10年物国債の金利をベースにしていますので、債券市場の動きも住宅ローン金利に影響を与えています。
金利には国際的な政治・経済も複合的に絡んでいる
住宅ローンの金利には、政策金利や債券市場だけでなく、景気や為替など国内外の様々な要因が絡み合っています。 特に、アメリカのトランプ政権の不安定な状態や、北朝鮮のミサイル発射など海外の政治情勢などによって、株価や為替相場が急激に変化することもあり得ます。 一般的に、海外でリスクが発生すると、安全資産である円に世界から資金が流入し円高になります。 そうなると日本株は下落、長期金利は下落という流れになると考えられます。 但し、北朝鮮に関しては極めて地理的にも近く、今後の北朝鮮情勢に対する株価や為替相場の動きは、日本が直接的な影響を受けるかどうかにも関係するため予想が難しい面もあります。 しかし日本の金利は他国と比較し低金利であり、かつ海外市況も好調なことから、円を借り入れし、その借りた円を売って高金利通貨を買う円キャリートレードの発生を要因とした円安ドル高で推移しています。
住宅ローンを借りる時に気をつけたいこと
金利が毎月変動している中、実際に住宅ローンを借りる場合の金利がどの時点で決まるかは、金融機関によって異なります。 一般的には「ローン申込時」か「ローン実行時」のどちらかで決まりますが、民間金融機関は「ローン実行時」の金利を適用している場合が多いようです。 住宅購入を計画した段階で慎重にシミュレーションをしても、実際に住宅ローン金利が決定する時に金利が上昇している可能性もあります。 返済計画に影響が出る場合もあるので、金利の動向には注意しましょう。
住宅ローンの中には、ローン申込時とローン実行時のどちらか低い金利を選択できる商品もあります。 例えば、JAバンク大阪のJA住宅ローンでは、申込み月の翌々月末日までに融資実行になった場合は、ローン申込時とローン実行時でいずれか低い方の金利が適用される「金利選択サービス」があります。 金利上昇が見込まれる時期にはこのようなサービスを検討してみるのも良いでしょう。
2017年10月は長期金利がわずかに上昇の兆しを見せたことから住宅ローン金利を引き上げた金融機関も出ています。 また、アメリカをはじめEUも量的緩和を終了する動きがあり、日本でもどこかで政策金利を見直す可能性があります。 住宅購入を考えている方は、これらの金融情勢の動きにも注意しておきましょう。