第718回
いよいよ入学!教育資金は4年間の支出を計算して計画的に
- 娘が大学に合格し、入学金等の支払いを済ませました。 進学資金は学資保険と貯蓄である程度準備していますが、高校2年の息子の進学資金も考えておかなければならず、実際のところこれで足りるのか不安です。(Gさん 47歳 パート)
- 大学への進学資金を学資保険で準備されているご家庭は多いと思います。 しかし、準備した資金の多くが初年度の費用に充てられ、2年目以降の学費の支払いが難しくなるケースも見受けます。 入学時だけでなく卒業までの4年間でいくら必要なのか、学費以外にかかる費用にはどのようなものがあるかを確認しておきましょう。
大学4年間にかかる費用は?
大学に支払う学費は、国立か私立か、文系か理系かによって大きく異なります。 国立の学費はほぼ統一されていますが、私立の場合は学校による差も大きいため、志望校、進学先の学費を確認しておく必要があります。 大まかな傾向として、国立よりも私立、文系よりも理系の学費が高いといえます。
入学金 | 授業料 | 施設整備費 | 合計 | ||
---|---|---|---|---|---|
国立大学 | 282,000円 | 535,800円 | - | 817,800円 | |
私立大学 | 文化系学部 | 242,579円 | 746,123円 | 158,118円 | 1,146,819円 |
理科系学部 | 262,436円 | 1,048,763円 | 190,034円 | 1,501,233円 | |
医歯系学部 | 1,038,128円 | 2,737,037円 | 831,722円 | 4,606,887円 | |
その他 | 270,233円 | 951,119円 | 237,196円 | 1,458,548円 |
※国立大学は、文部科学省官令による標準額。国立大学でも施設費、実習費、諸会費等が徴収される場合がある
※私立大学は、文部科学省「平成26年度私立大学の入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果」
大学の学費を準備する際、初年度に目標を置くことが多いですが、入学金は支払えても、その後経済的な理由で退学する学生も少なくありません。 卒業までにかかるトータルの金額を確認しておくことが大切です。上記の統計を元に、4年間の学費を考えてみましょう。
まず、初年度は私立文系が約115万円、私立理系が約150万円です。 2年目以降の学費を「授業料と施設整備費の合計額」とすると、私立文系が年間約90万円、私立理系が年間約123万円。 入学金も含めた4年間の学費は、私立文系が約386万円、私立理系は約521万円にものぼります。
さらに、親元を離れて大学に通う場合には、下宿等ひとり暮らしの費用も必要です。 独立行政法人日本学生支援機構の「平成26年度 学生生活調査」によると、下宿生の生活費の平均額は年間約104万円となっており、自宅生の平均額約40万円とくらべて高額になっています。
資金が不足する場合は?
進学資金準備のために学資保険を利用する方も多いと思います。 受取金額(満期金)の相場は100万円~300万円程度で、一般的に入学金や初年度の学費の支払いに充てられています。 そうなると、卒業までの残りの期間の学費は貯蓄やその他の方法でまかなうことになります。 ここで大切なのは、いつ、いくら必要になるのかを意識することです。質問者の場合、子ども2人が同時に大学に通う可能性のある期間が2年間あります。 この期間は2人分の学費だけで年間約200万円が必要になります。支出の時期と金額がわかれば、資金の準備を具体的に進めることができます。
万が一、資金が不足する場合に検討するのが奨学金と教育ローンです。 奨学金には、利用者の多い日本学生支援機構の他にも、自治体や企業、大学独自の制度などもあります。 中には返済不要の「給付型」のものもありますので、早めに情報収集しておくとよいでしょう。
教育ローンには、日本政策金融公庫による「国の教育ローン」と、民間金融機関が取り扱う教育ローンがあります。 国の教育ローンは固定金利で所得制限があります。民間の教育ローンは資金使途の幅が広く、手続きもスピーディーで使いやすいのが魅力です。 変動金利の商品もあり、金利引下げなどのキャンペーンを利用すればさらに有利な借り入れも可能です。
給付型の奨学金以外は、いずれも返済が必要です。無理のない返済計画を立てて利用しましょう。