第717回

住宅ローンの契約もWEB完結の時代に?

マイホームが決まりかけていて住宅ローンの借入先を検討しています。 手続きのために金融機関の窓口に行くのが面倒なのですが、WEBで契約できないものでしょうか?(S・Nさん 39歳 会社員)
現在、WEBでの契約手続きを導入しているのは、住信SBIネット銀行やじぶん銀行など一部の金融機関に限られていますが、今後は一般化していく可能性があります。 WEBでの契約手続きのメリットなどを見ておきましょう。

住宅ローンを借りるまでの流れは?

住宅ローンを借りるまでの一般的な流れは下記のようになります。仮審査申込から借り入れまでにかかる時間は、おおむね3週間から1か月です。

[1]金融機関を決めて仮審査申込
[2]仮審査
[3]仮審査結果通知
[4]正式審査申込・団体信用生命保険の告知
[5]正式審査
[6]正式審査結果通知
[7]契約書のやりとり
[8]抵当権設定手続き(面談)
[9]借り入れ(口座振込)

このうち、[1]の仮審査申込はほとんどの金融機関がWEBで完結できます。 [3]の仮審査結果通知は金融機関で連絡方法が異なり、電話や郵送、メール・WEBです。 仮審査が通ったら正式審査に進みますが、これも金融機関で異なり、店頭に出向くか、書類を送ってもらって返送するか、WEBで行うかになります。 店舗を持つ金融機関は店頭に出向くか書類を返送するかを選べる金融機関が多いようです。

正式審査も通ると、[7]の契約書などの手続きを経て、抵当権設定手続きを行って借り入れ実行となります。 契約書などの手続きは、必要書類を持参して店頭で「金銭消費貸借契約書」などに署名・捺印するか、それら書類を返送するかが主流です。

この契約書などの手続き部分もWEBで行えるようにするのが「WEB契約」です。 ただし、ペアローンや収入合算を行うなど、連帯保証人が必要なケースでは利用できません。

「WEB契約」のメリットとは?

契約書などの手続きがWEBで完結できるメリットとは、どんなことでしょうか?3つ考えられます。

1つ目は、仮審査申込から借り入れまでの時間が3週間から10日程度に短縮できることです。

2つ目は、店舗に出向く、必要書類などを返送する手間が省けることです。店舗に行くために仕事を休んだり、土日などの休日を当てなくてもすむのは、休みを取りづらい人には助かりますね。 なお、住民票や本人確認書類、所得を証明する書類などの必要書類を集める手間は変わりません。

3つ目は、書面の金銭消費貸借契約書を作らないので、収入印紙代がかからないことです。 収入印紙代は、借入金額が1,000万円超5,000万円以下の場合は2万円ですから大きいですね。

なお、WEB契約を利用しても最終的に書面の金銭消費貸借契約書を発行することになった場合や補助金・助成金の申請手続きに書面が必要な場合は、収入印紙代はかかります。 WEB契約で注意していただきたいことは、抵当権設定手続きのために司法書士に会う必要があることです。

【参考リンク】

私が書きました

小川 千尋 (おがわ ちひろ)

ファイナンシャル・プランナー。

1994年ファイナンシャル・プランナー資格取得。資格取得後、以前から携わっていた出版物の編集・執筆の経験を活かし、独立系ファイナンシャル・プランナーとして、マネー誌や一般誌、新聞、ウエブサイトなどのマネー記事の編集・執筆・監修などの執筆関連業務および個人のライフプランなどの相談業務、セミナー講師として活動。

※執筆日:2017年03月17日