第661回
収入増でも家計が苦しい?月1万円でも固定費を減らす方法とは
- 昨年、今年と給料は少し上がったのに、家計が楽になりません。それほど贅沢はしていないつもりなのですが、支出を見直すべきなのでしょうね。見直しのポイントを教えてください。(愛知県 T)
- 家計の見直しは効果の大きい「固定費」の見直しから始めてみましょう。家賃や駐車場代、光熱費、通信費、保険料など、一定額の支払いが定期的に発生する「固定費」が見直しのポイントです。
収入増が物価上昇に追いつけない
「収入が増えているのに、家計が楽にならない」とのことですが、同じような感想は多くのご家庭でお持ちかもしれません。
厚生労働省の調査結果によると、2015年の平均の賃金額は前年比0.1%上昇しましたが、物価(消費者物価指数)は1.0%上昇。物価変動の影響を除いた「実質賃金」で見ると前年から0.9%減少。しかも減少するのは4年連続とのことなのです。賃金額の上昇が物価の上昇に追いつけず、家計が実質的に「使えるお金」は減っている状況にあるといえます。
・消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)は、前年比1.0%上昇
・実質賃金指数(現金給与総額)の前年比は、0.9%減となった。
2016年2月8日発表 毎月勤労統計調査 平成27年分結果速報 より
収入額やその増減幅はそれぞれなので一概には言えませんが、「使えるお金」が減っているのなら、「贅沢をしていなくても家計が楽にならない」わけですね。これを機に、収入に見合った生活ができるように、多少の物価上昇にも耐えられるように、支出を見直してみましょう。
家計の見直しは「固定費」から
家計の支出には、食費や交通費、娯楽費などの金額や支出時期が一定しない「変動費」と、家賃や駐車場代、光熱費、通信費、保険料など、一定額の支払いが定期的に発生する「固定費」があります。食費などの変動費を節約するのも大切なことですが、日々節約を重ねていくのはなかなか大変です。その点、見直しが楽で効果が大きいのが「固定費」です。「一定額を定期的に」払っていく支出なので、見直してその「一定額」が小さくなれば、その後は特に努力しなくても支出額を抑えることができます。
通信費は利用実態に合わせて見直す
家族全員が携帯電話(スマホ)を持っている家庭も多い今、どうしても通信費は高くなりますよね。しかし、最近は数年前にはなかった通信費節約のさまざまな手段も登場しています。固定費の見直しは、通信費から始めてはいかがでしょうか。
たとえば、一般的なスマホの料金は月額7,000円程度だと思われますが、いわゆる格安スマホは月額3,000円程度です。乗り換えれば、月額数千円以上も節約することが可能です。
通話利用時間が多ければ、インターネット経由で通話ができる「電話アプリ」の利用も考えられます。割安な料金で通話でき、加入者同士なら通話料無料のサービスもあります。
契約中の携帯電話会社のプランでも、利用実態に合わせて見直せば、もっと利用料金の負担を減らせるかもしれません。まずは、ご自身やご家族の利用実態をチェックするところから始めてみましょう。
「電力自由化」を機に電気代を見直す
2016年4月からはじまる「電力自由化」により電気小売各社の顧客獲得競争が激しくなり、各社が割引プランの導入を発表しています。携帯電話やガスなどとのセット割引、特定のクレジットカード払いによる割引、会員登録による割引などさまざまなタイプがあるので、お住まいの地域で利用できる電力会社を確認した上で、割引額や割引の条件を比較検討してみましょう。
ただし、地域によってはまだ電力会社の選択肢が少なく、見直しには及ばない場合もあるでしょう。その場合でも、電気料金の支払い方法の変更は一度検討してみましょう。口座振替にすれば電気料金が割引になる電力会社もありますし、クレジットカード払いにすればポイントが貯められます。
カーシェアリングで「車」関連費を減らす
公共交通機関が発達している都市部などで生活していて、車がなくても普段の生活には困らないのなら、マイカーを手放す選択肢もあります。マイカーを持たなければ、車購入費はもちろん、ガソリン代、駐車場代、車検費用、税金もかかりません。カーシェアリングのサービスが普及した地域なら、必要なときには必要な時間分だけ料金を支払って、車を利用することもできます。
カーシェアリングとは、会員制で他人と車を共有するサービスのことです。利用できる車はカーシェアリング・ステーションに停められていて、予約した上で利用します。料金は15分単位などで設定されていて安く利用できるので、近くにステーションがあれば「生活の足」として利用できます。
マイカーを手放してもいいかもしれないと考えるなら、まず自分の生活圏にカーシェアリング・ステーションがどれくらいあるか、インターネットで検索して調べてみるとよいでしょう。地域によっては、近くにステーションがない場合もあります。自分や家族が車を必要とするときに、最も便利にかつ割安に利用できる方法を比較検討してみてください。
急な出費、大きな出費への備えも
固定費などの日常の支出をおさえることだけでなく、急な出費や大きな出費への備えも考えておきましょう。病気やけが、冠婚葬祭などの急な出費は家計に響くものです。また、車や家具・家電の買い替えなどは金額が大きく、その月の収入だけではまかないきれない場合もあるでしょう。「足りなかったら借りればいい」とは考えず、あらかじめ貯蓄して備えておけば、安易にローンを利用した場合に負担する利息を節約することができます。
ローンは、そうやって備えておいても間に合わないような、急な出費や大きな出費のときこそ活用したいものです。ローンを使っていったんピンチを乗り越えたら、臨時返済などを行ってなるべく利息負担を少なく抑えられるようにできるといいですね。
【参考リンク】