第655回
お金が貯まる人はこうしている!2016年最新マネー術
- 2016年が始まりました。今年気を付けるべき税制の変化等があれば教えてください。特に、お金の使い方や貯め方でおさえておくべきことがあれば知りたいです。 (Oさん 会社員 36歳)
- 2016年は2017年4月に近づいた消費税増税の準備を始めましょう。影響を受ける大きな買い物は注意が必要です。そのほか、NISA拡大や証券税制の改正、家や車に関する税制改正なども押さえておきましょう。
高所得者は負担増になる?
1月からの変化で注意すべきことは、該当は一部ですが、高所得の会社員・公務員を対象とした増税が始まったことです。2段階で行われる「給与所得控除」の縮小の第1弾がスタート。1月には年収1,200万円超の会社員の給与所得控除が230万円に引き下げられ、さらに2017年1月からは年収1,000万円超の控除が220万円に下げられます。
給与所得控除は会社員の必要経費に当たるもので、これが小さくなれば所得税や住民税がアップし、手取りが減ります。ただし、所得税は今年から増税になるものの、住民税は翌年に影響がでるため、控除縮小の影響を受けるのは翌年6月以降。該当する高所得層の方は、高所得であることに甘えず、節約意識を高める必要があります。
NISA拡大と証券税制改正を押さえて投資
同じく1月から、投資に関する税制も変わりました。NISA(少額投資非課税制度)の年上限額が120万円に引き上げられ、未成年者を対象とした「ジュニアNISA」も年上限額80万円でスタート。NISAは投資枠の元金から得られた譲渡益や分配金・配当金が非課税になるメリットがあります。投資ビギナーの方であれば、NISA口座でインデックスファンドや販売手数料や信託報酬が低めのグローバルバランス型(国内外の株や債券に投資する)のファンドなどで積立をするのも一法です。
そしてもう1点。今年1月からの大きな変化が証券税制の改正で、公社債(国債や社債)や公社債投信(MMF、MRF、外貨MMF、外債)に関する課税が変わりました。
公社債・公社債投信の課税が変更に
・公社債や公社債投信も上場株式や投資信託と損益通算ができるようになりました。・公社債や公社債投信も譲渡損に関する3年間の繰越控除の対象になりました。
・公社債や公社債投信も特定口座の対象になり損益計算が原則不要。
・公社債や公社債投信の利子・分配金、譲渡益、償還益→申告分離課税20.315%(復興税含む)の対象に
外貨MMFで為替差益が出てもこれまで非課税でしたが、今年から20.315%の申告分離課税となります。一方で、株式と債券の損益通算もでき、特定口座で一括管理も可能です。譲渡損が出た時には「3年間の繰越控除」の対象にもなりました。NISA同様、税制の変化を頭に入れて、上手にお金に働いてもらうようにしたいものです。
2017年4月に迫った消費税増税に備えよう
2017年4月に消費税が8%から10%に上がりますが、低所得者ほど消費税の負担が重くなる傾向を緩和するため、一部に軽減税率が適用される見込みです。現時点では未確定ですが、税制改正大綱には「軽減税率」として現状の8%のままになるものとして次の2つが挙げられています。
・酒類と外食を除く食品全般(生鮮食品・加工食品)
・新聞(週2日以上の刊行)
買い替え期にある家電類や高額な贅沢品などは、増税前に購入する方がよさそうです。
車に関しては、消費税増税に合わせて自動車取得税が廃止されますが、廃止に伴い、2017年4月より自動車購入時の新税「環境性能割」が導入される予定です。税率は、車の燃費によって普通車が価格の0~3%、軽自動車なら0~2%となります。中古車にも適用される予定ですが、取得価格50万円以下は免税されます。今後発売される新車の多くが税率ゼロとなる燃費性能を備えたものになると見込まれます。
また、今年4月より家庭用の電力小売が自由化され、異業種が参入する見込みです。電気をどの電力小売会社から買うか、どのプランを利用するか、自分で決めることができます。携帯電話会社やガス会社、旅行会社をはじめ新規参入する会社によっては、他の商品とセットで割引をすることも想定されます。消費者側の賢く選ぶ力も求められそうです。
住宅はどうなる?関連の税制改正も押さえよう
消費税増税の影響が大きいのは高額な買い物となる住宅ですが、住宅(新築)に関してはすでに消費税増税をふまえて「すまい給付金」や「住宅ローン控除」で調整されているため、駆け込み購入をする必要はなさそうです。
そのほか税制改正大綱で住宅関連のものを2つ整理しておきます。1つは、「空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例」です。相続で得た1981年5月31日以前に建てられた空き家とその敷地(または空き家を除去した敷地)を相続3年目の年末までに売却した場合、売却益から3,000万円が控除されます。マンションは対象外となります。古い土地で購入代金が分からなければ、売却額の95%が利益とみなされ課税されますが、控除が使えれば課税は抑えられます。時限的措置ではあるものの、空き家の流動化にもよい影響が出るものと期待されています。
もう1つ、4月から導入が見込まれるのが、三世代同居を目的として自宅の改修工事(上限250万円)を行ったときに適用されるローン控除。キッチン、浴室、トイレ、玄関のいずれかの増設工事(2つ以上が複数になる工事)を行ったときに、年末ローン残高(上限1,000万円)の2%が5年間、所得控除されます。子育ての負担軽減が目的のため、中学生以下の子・孫の同居が要件となる可能性も。なお、住宅ローン控除との併用はできません。住宅ローン控除が5年以内に終わるかすでに終わった世帯で、三世帯同居を希望する方に向きます。期間は2016年4月1日から2019年6月30日までとなります。
【参考リンク】