第615回

4月から介護保険料が改定!負担増の時代に負けない暮らしを築くコツは?

4月から介護報酬が引き下げられると聞きましたが、このことは私たちの暮らしにどのような影響があるのでしょうか。夫の給料から天引きされている厚生年金保険料や健康保険料、介護保険料も毎年じわじわ増えているような気がします。ちょうど1年前に消費税率が3%上がって8%になり、2年後にはまた増税されるとも聞いています。  負担が増える中で、これから本格的にかかり始める子供の教育費や夫婦の老後のことなどをどう考えて、どんな手を打っていけばよいのでしょうか。(44歳 女性 専業主婦)
確かに、今後ますます高齢化が進んでいくため、現役世代の私たちの負担は増える傾向にあります。そして、私たちが高齢になったときには、いまの高齢者よりも年金などの給付水準が低下することが予想されます。そんな負担増の時代に負けない暮らしを築いていくには、これまで以上に長期的に家計の収支を見積もって、目標を明確に定めて着実な家計運営を心がける必要があります。

社会保険料の負担や消費税は増える!

4月から公的介護保険制度の介護報酬が全体で▲2.27%引き下げられます。介護報酬とは、介護事業者が利用者に提供するサービスに応じて支払われる報酬のことで、事業者の売上の基礎となるサービス単価です。私たち現役世代(40歳から64歳の介護保険第2号被保険者)が支払う介護保険料も4月分から昨年度より若干減りますが、厚生年金保険料、健康保険料などを含めた社会保険料全体としては、ここのところ増加傾向にあります。なお、消費税は2014年4月に税率が3%アップして8%になり、2017年4月にはさらに2%アップする予定です。

個人負担の増加傾向は、少子化・高齢化に伴う社会保障費の増大に起因しています。 このように、個人の生活を取り巻く環境がますます厳しくなるにつれて、私たちはどのような対策を立てて、実行していけばよいのでしょうか。

長期の家計支出の計画を立て夫婦で目標を共有する!

社会保険料や税金がアップしても、それ以上に収入が増えれば家計のやりくりは楽になるはずです。現在、政府や日本銀行は、規制緩和や金融緩和などの政策によって賃金を上昇させて消費を促し、日本経済を成長軌道に乗せようとしていますが、私たち自身も給料が上がるのを期待して待っていても仕方ありません。自らが行動を起こす必要があります。 家族や自分の生活を長期的に守っていくためには、これまで以上に能動的に家族や自分の将来のライフイベントを計画し、収入と支出を見積もり、目標を決めてコツコツと着実に進めていくことが大切です。

将来はどうなるかわからない。もっと想定外の環境変化が起こるかもしれないので、考えてもムダではありません。計画を立ててこそ、想定外の環境変化が起きたときに柔軟に見直し・立て直しを実行することができ、場合によっては目標の修正をしながら「長期的に満足が得られる暮らし作り」を進めることができるのです。

環境変化に負けない暮らし作りのためのチェックリストを作成してみました。まずはこのリストを活用し、現在の状況を把握、確認をしてみてはいかがでしょう。

<環境変化に負けない暮らし作りのチェックリスト>
項目
□ 家計簿をつけるのが習慣になっている
□ 毎月積立貯蓄をしている
□ 年間の貯蓄目標を立てている
□ 将来のライフイベントを予定し、実現に必要金額を見積もっている(マイホームや子供の教育、自動車購入、リフォームなど)
□ ライフイベントに必要な金額を貯蓄目標に盛り込んでいる
□ ムダな支出は極力なくし、メリハリのある家計運用をする努力をしている
□ 少しでも有利な金融商品を探すようにしている(生命保険、損害保険、定期預金、投資信託など)
□ ローンを組むときは、ムリのない返済計画を立てられるよう、少しでも有利な条件のローン商品を探すことができる
□ 老後の年金の見込額を把握できている(日本年金機構の「ねんきんネット」が使える)
□ リタイアした後、毎月いくら程度の生活費が必要か把握できている
□ 老後資金の準備のために、個人年金保険に加入している。あるいは、投資信託などの運用商品で資産運用をしている
□ 定年後、60歳から65歳までの就労をどうするかについて考えている
□ 世帯収入を増やすために、専業主婦の妻は仕事をする準備をしている
□ 将来の生活設計等について、夫婦でよく話し合っている

特にローンを組むときにはしっかりとしたプランを作る!

ライフイベントを実現するための資金が手元にない場合、ローンを組むのはやむをえないことです。住宅や子供の教育、自動車などは、必要な時期に手に入れないと思い描いた生活ができなくなる可能性があります。

ただし、ローンを組んだあとの返済に支障を来さないよう、借りる前に十分に注意をすることが重要です。注意すべきポイントは3つあります。

・借りる金額は、現在と夫婦の老後も含めた将来の家計の状況に応じた金額内にとどめる。つまり、家計の状況にふさわしい、ムリのない返済可能な金額を借りる

・多様なローン商品を細かく比較検討をして、少しでも有利なローンを選ぶ。借入時の金利が低いからといって、変動金利型の金利タイプを安易に選ばない

・返済中の繰上返済の予定なども、借りる前に考えておく

ローンを組むときには、さまざまな商品から自分の条件に合うものを選択するための情報も必要です。

イー・ローンのサイトには、多様なローン商品の比較、検討が簡単にできる機能がついています。ローンに頼らざるをえない状況になったときには、情報収集のために使ってみてはいかがでしょうか。

いずれにしろ、環境変化に打ち勝つ暮らしを築いていくためには、夫婦間、家族間の話し合いの機会を頻繁に作ることが最も大切です。1人が孤軍奮闘するよりも、家族で協力しながら、同じ目標の達成に向けて互いに頑張る中で生まれる幸福感が、なによりも家族の絆を深めることにつながるのではないでしょうか。

私が書きました

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中村 宏 (なかむら ひろし)

ファイナンシャル・プランナー。FPオフィス・ワーク・ワークス 代表。

教育出版社勤務後、2003年にファイナンシャルプランナーとして独立。「お客様のお金の不安を解消する」をモットーに、1,500件を超える個人相談、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿等を中心に活動。無料メルマガ「生活マネー ミニ講座」を配信中。著作 「自分のお金の育て方」(祥伝社)、「老後に破産する人、しない人」(KADOKAWA中経出版)。

※執筆日:2015年03月24日