第608回
住宅ローン金利は過去最低をまた更新!いつが住宅の買い時?
- 共働きの主婦ですが、子どものいない今のうちにマイホームの購入を考えています。ネットや新聞では毎月のように、住宅ローン金利が下がったという記事が載っており、中には1%を下回る金利もあるようですが、やはり今が住宅の買い時なのでしょうか?(静岡県 女性 33歳)
- 確かに、金利は過去最低の水準だといわれています。しかし、マイホームの購入時期を見極める際に最も大切なのは、マイホーム購入を家族のライフプランの中に位置付けることです。今後の出産予定、奥様が仕事を今後も続けるのかどうか、ご主人の転職・定年年齢など、家計の収支に影響を与えるライフイベントを考慮し、それでも長期的に住宅ローンの返済が続けられるのか検討をした上で、タイミングを決める必要があります。共働きをしていて今の世帯収入が多いという理由だけで、安易に住宅ローンを組むと、場合によっては将来の返済に支障をきたすことになりかねません。
金利は史上最低水準!住宅取得をバックアップする優遇策も充実の予定!
2015年2月の長期固定金利型住宅ローン【フラット35】金利は、1.370%(返済期間21年以上、融資率9割以下、最も多くの金融機関が提示した金利)。1月に引き続き過去最低金利を更新しました。また、変動金利型の住宅ローンは1%を下回る状態が続いています。日本銀行の金融緩和政策の影響で、このような低金利の状況が続いていますが、いずれは緩和が縮小され、金利水準が上向くことが予想されます。
日本銀行の金融緩和政策の影響で、このような低金利の状況が続いていますが、いずれは緩和が縮小され、金利水準が上向くことが予想されます。
また、昨年4月の消費税率8%へのアップによって消費が伸び悩んだことから、10%へのアップは1年半先送りされ2017年4月からとなりました。この間に景気を浮揚させるため、さまざまな施策が用意されており、住宅取得をバックアップする政策も拡充される予定です。
具体的には住宅ローン減税制度やすまい給付金、親や祖父母から住宅資金の援助を受けたときの贈与税の非課税制度、【フラット35】より高い技術基準をクリアした場合に当初5年~10年の間金利が▲0.6%優遇される【フラット35】S、住宅エコポイントなどです。
金利水準が低く、消費税率が8%、住宅取得支援優遇制度が充実するここ1~2年は、確かに、金利動向や経済環境を考えるとマイホームに適した時期だということができるでしょう。
しかし、最も大切なのは、周囲の状況ではなく、家族の今と将来の予定です。
金利が低いとはいえ、マイホーム購入後には長期の住宅ローン返済が続きます。今共働きで夫婦の収入が多いからといって、安易にローンを組むと、後悔することになりかねません。
住宅の購入をライフプランの中にしっかり位置付ける!
ライフプランを考える上で特に重要なのは、「今後予想される大きな支出はないか?」、「予想される収入減はないか?」を長期的に点検することです。
支出を伴う代表的なものは、子どもの教育費です。子ども1人の大学卒業までの教育費は1,000万円程度かかるとも言われています。子どもの人数も家計に大きな影響を与えます。また、共働きの妻は、出産や育児に伴う収入減を想定しておく必要があります。その後、職場復帰をするにしても、そのあとも共働きをずっと続ける意志があるかという問題もあります。一定の年齢で会社を辞めることも考えるのであれば、その後の生活費、教育費、住宅ローン返済は、夫の収入だけでまかなっていかなければなりません。
また、夫や妻の定年年齢と子どもの年齢、住宅ローンの返済終了時期のすり合わせも重要です。「教育費負担や住宅ローンの返済が定年後も続くのか、定年前に終わるのか」は、60歳代前半の就労・収入に影響を与えます。さらに、定年時に受け取る退職金の概算を把握しておくことも大切でしょう。教育費や住宅ローンを払い終えたあとには、夫婦の老後資金が一定程度確保できている必要があります。
つまり、現在の収入や家計の状況だけを見て、「今なら払えるから」とマイホームの購入や予算を決めるのではなく、将来的に支出が増えても、あるいは収入が減っても毎月ずっと住宅ローンの返済ができそうな金額を見極めてから決める必要があります。
項目 |
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□子どもの人数は? |
□子どもの学校は公立中心?私立中心? |
□妻はいつまで働く? |
□夫の定年年齢は? |
□夫の定年時の退職金の額は? |
□夫は60歳代前半も働く? |
□妻の定年年齢は? |
□妻の定年時の退職金の額は? |
□妻は60歳代前半も働く? |
□今後、車の購入など大きな支出の予定は? |
□将来のライププランを踏まえて、長期的に毎月いくら返済できそうか? |
長期的に毎月返済できる金額を夫婦で決める!
今後のライフプランによって、家計の状況は変化していきます。例えば、現在の足元の家計からみると今は毎月15万円程度返済できそうでも、10年後、15年後にも同じ金額を払い続けることができるでしょうか。
大事なことは、将来を見通して夫婦で長期的に返済できる金額を決めることです。家計の状況が変化しても「夫婦で力を合わせて、毎月この金額を返済するようにしよう!」という金額を現実的な範囲で決めることです。こうして夫婦で共通の目標を持つことができれば、住宅取得後のお金の使い方が変わるはずです。メリハリのあるムダのない家計になるはずです。
毎月の返済額が決まれば、住宅ローン借入可能額シミュレーションを使って、「借入可能額」をシミュレーションすることができます。返済額や返済期間、金利などの条件をいろいろ変更すると、借入金額をイメージすることができるでしょう。
金利タイプの決定については、将来に渡ってゆとりのない家計になりそうなら、長期的な固定金利が望ましいでしょう。なぜなら、変動金利は市場金利が上がればローン金利も上がり、増える毎月返済額が家計を圧迫し、子どもの教育費などに影響を与えかねないからです。ライフプランの実現に痛みが生じる可能性があります。いっぽう、ずっと共働きを続けて、家計にゆとりがある場合は、繰上返済用資金を貯めておくことを前提に、変動金利を選んでもよいかもしれません。なぜなら、金利上昇の兆しが見えたときに繰上返済をして元金を一気に減らすことができるからです。金利が上がっても、元金を減らすことができれば、負担増を軽減、解消することができます。
住宅借入可能額シミュレーションで求めた「借入可能額」に自己資金を加えたものが住宅取得予算になります。なお、住宅取得予算には、土地代や建築費の物件価格のほかに、物件価格の5%~10%にあたる諸経費も含まれます。 したがって、「自己資金+借入可能額=土地代・建築費(物件価格)+諸経費」となるように考える必要があります。
以上のように、ライフプランの中に住宅取得を位置付け、希望する金額の住宅が買えそうだと判断できるなら、“今が買い時”だといえるでしょう。
実際に住宅ローンを選ぶには、多くの金融機関が提供しているさまざまな商品をじっくりと比較して、少しでも有利な条件で借りることができるものを選択したほうがいいでしょう。
イー・ローンのサイトでは、多くの住宅ローン商品をわかりやすく比較できる機能が提供されていますので、住宅ローンを決める時期が来たら、活用してみてはいかがでしょうか。