第553回
教育費の捻出はどうする?貯蓄・学資保険・奨学金・教育ローン・贈与を整理!
- センター入試もいよいよ目前となり、我が子もラストスパート。進路が決まったら親として費用面はスムーズに揃えてあげたいと思います。初めての子どもでしたので、これまで貯金してきた分を切り崩すつもりですが、下の子どもは大学入試まで5年あるため、効率的に無理なく用意できるのであれば今から準備したいと思います。それぞれの子どもにあわせた教育資金の確保について、どうすべきか教えて欲しいです。(Kさん 40代 会社員)
- 教育費の捻出については、いくつかの方法があります。いつまでに用意しなければならないのか期限を考慮したうえで、必要な教育費の捻出方法を選択しましょう。
「何のために」「いつまでに」「いくら」必要なのか時系列に整理する
教育資金に限らず、お金を準備するには「何のために」「いつまでに」「いくら」必要なのか整理することからがスタートです。教育資金の場合、一般的に最も負担が大きいのは大学の資金。受験費用・入学費用・授業料などのほかに自宅外からの通学となる場合は、住居選びのための交通費・宿泊費など準備費用のほか、住居費、家電などの生活用品が必要です。それぞれの資金が、時期をずらしながらまとまった金額が必要となります。そのため、高校卒業時といったおおまかな時期ではなく、実際にお金を払い込む時期を時系列に整理してみると良いでしょう。
そのためには、進学先について子どもと話し合うことが大切です。最近では推薦入試やAO入試などの入試方式は10月から12月頃には受験し、初年度納入金も一般入試よりも早めに支払わなければなりません。受験にいろいろなパターンがあれば、それに伴ってお金が必要な時期も異なりますので、ひとつに絞り込まずに、考えられるパターンでいくつか整理しておきましょう。
教育資金を確保するために、貯蓄か学資保険か?
教育資金の準備に学資保険(または子ども保険)を利用している人も多いでしょう。コツコツ毎月積み立てるという点では貯蓄と同じですが、その仕組みは当然のことながら大きく違いますので、一度整理しておきましょう。
お金を貯める目的は一緒ですが、貯まる時期が貯蓄と保険では異なり、貯蓄は三角、保険は四角と言われます。その理由は、貯蓄なら1カ月1万円の貯蓄をして2カ月目に親が亡くなったら貯まっているお金は1万円のみ。一方、学資保険は1カ月1万円の保険料を支払って、2カ月目に親が亡くなったら契約した時期に保険金を受け取ることができます。これが貯蓄と保険の大きな違いです。
ただし、当然のことながら、保険には保障としての保険料も含まれていますので、保険料すべてが貯蓄されているわけではありません。また、途中で解約すると、支払った保険料よりも解約返戻金のほうが少ない場合もあります。そのため、どちらが得なのかという視点で選ぶのではなく、長期に渡って保険を続けられるかどうかといった視点で貯蓄か学資保険かを選択することがポイントです。また、一方のみに絞ることもなく、貯蓄と保険を組み合わせて準備しても良いでしょう。
教育資金の不足分を準備するために、追加手段の検討を
貯蓄や学資保険だけで不足する場合は、借りることも検討しなければならないかもしれません。
お金を借りるには、教育ローンか奨学金かといった2つの方法があります。原則、教育ローンは親、奨学金は子どもが債務者になり、当然支払いは債務者が行っていくことになります。つまり、奨学金は子どもが借金を抱えるということになりますので、将来的な返済についても親子で話し合ったうえで利用するようにしましょう。新入社員で収入の少ないうちから借金の返済があることになりますので、返済はなかなか難しく、滞納者も増えているといった現状がありますので、計画性をもって利用したいものです。以下のコラムも参考にしてください。
借りる以外の方法として、贈与について検討したことはあるでしょうか? 2013年4月から「教育資金の一括贈与時の非課税」制度が始まり、祖父母等から孫などに教育資金として贈与した場合、1,500万円までは贈与税が非課税になります。2015年12月31日までの期限付きの制度で、いくつか注意点もありますが、いずれは孫や子どもに遺したいと考えているのであれば、相続時ではなく今渡してしまうという方法もあります。相続税の改正も近づいており、財産をどう引き継いでいくのかは家族で事前に話し合っておく時代になりました。マイホームの購入資金の援助を受ける人も増えていますので、教育資金についてもご家族で検討されてみてはいかがでしょうか。以下のコラムも参考にしてください。
このように教育資金を準備するためには、いろいろな方法があります。どの方法が使えるのか、その中からどの方法を利用するのか、改めて整理し考えてみてはいかがでしょうか?
場合によっては、大学生であれば子ども自身でもアルバイトをすることでお金を補てんすることもできるでしょう。
教育資金は増加傾向にありながら、収入は増えていかないという時代です。親だからと無理をしてでも準備するのではなく、親子で将来のことを話し合う機会をぜひ持っていただきたいと思います。