第506回
「住宅ローン減税」と「消費税増税」は、マイホーム購入にどう影響するの?
- そろそろマイホームの購入を考えています。そこで気になるのが消費税の増税です。一方で住宅ローン減税があると聞きました。マイホーム購入にどのような影響があるのでしょうか?(Kさん 30歳 会社員)
- 2014年4月から消費税が増税される予定になっており、それに伴って、住宅ローン減税の延長・拡充が検討されています。制度として知っておくことは大切ですが、制度に振り回されることのないよう、ご自身の資金計画と返済計画をまずはしっかり立てましょう。
消費税増税は「課税の対象」と「課税のタイミング」を確認しよう
消費税は現在5%ですが、2014年4月からは8%、2015年10月からは10%に増税される予定です。そこで、大きく影響するのがマイホームの購入資金です。何千万円という買い物ですから、十数万円の負担増になります。たとえば、2,000万円に対する消費税が5%なら100万円ですが、8%なら160万円で60万円の負担増、10%なら200万円で100万円の負担増です。
しかし、意外に知られていないことが2つ。ひとつが、土地には消費税が課税されないということ。つまり、マイホームの購入金額すべてが増税になるわけではないのです。首都圏など土地の価格が高い地域で一戸建てを購入する場合は、土地と建物の価格を確認しておくと良いでしょう。
もうひとつが、契約時期や物件の種類によって課税される時期が異なる可能性があるということ。前回3%から5%に消費税が増税されるときには、増税される前までに建物が完成していなくても、売買契約を結ぶことで、マンションであれば消費税は3%のままでした(一戸建ての場合は異なる)。次回の増税のときにどうなるのかはまだ確定していませんが、今後どうなるのかも新聞などで最新の情報を見ていくようにしましょう。
住宅ローン減税は期間を延長し、控除額が拡大予定
消費税増税に伴って検討されているのが住宅ローン減税です。当初は2013年12月末で終了ことになっていましたが、自民、公明両党が2013年1月24日に決定した2013年度の与党税制改正大綱の中で、住宅ローン減税の適用期限が当初の予定より4年間延長され、所得税の減税枠についても当初よりも拡大することになりました。
居住年 | 住宅ローン年末残高の限度額 | 控除率 | 隔年の控除限度額 | 最大控除額 |
---|---|---|---|---|
2013年1月~2014年3月 | 2,000万円 (3,000万円) |
1% | 20万円 (30万円) |
200万円 (300万円) |
2014年4月~2017年12月 | 4,000万円 (5,000万円) |
1% | 40万円 (50万円) |
400万円 (500万円) |
※自民・公明両党が決定した2013年度与党税制改正大綱をもとに筆者作成
※カッコ内は認定長期優良住宅の場合
※所得税から差し引きしきれない場合は住民税から控除(上限あり)
住宅ローン減税でも気を付けてもらいたいことがあります。それが、「あくまでも納めた税金が戻ってくる」のであって、誰でも最大控除額が受け取れるわけではないということ。つまり、収入が少なかったり、扶養家族が多い場合は、そもそもの税金が少ないため、その範囲内でしか戻ってこないという点です。FPにご相談にいらっしゃる方の中で、この点を理解されていない方はまだまだ多いので、ぜひ確認しておいてください。
そして、もうひとつが減税される期間です。住宅ローン減税は10年にわたって受けられますが(居住しているなどの条件あり)、その間にお仕事をお辞めになるなどして税金を納めることがなくなると、当然、税金も戻ってきません。そのため、一旦退職して、改めて再就職した場合、無職の期間も減税される期間に含まれるということをご理解ください。
買い時は自分の家計、ライフプランで決める
ちなみに、住宅ローン減税があることでマイホームの購入を考える方も多いのですが、実はこの制度は延長につぐ延長で、「期間限定」と言いながら20年以上も続いている制度なのです。また、消費税を増税することで、負担が増えることになりますが、売り手が「買ってほしい」となれば割引してくれる可能性もあります。
こういった状況の中で、制度を購入時期の判断基準にするのはナンセンスです。
【参考リンク】
第486回のコラムでもご紹介している通り、制度を活用することは有意義ですが、制度に振り回される必要はありません。ご自身の家計状況や今後のライフプラン、それらを家族と一緒に話し合い、整理したうえで、ご自身の買い時は決めましょう。大きな買い物だからこそ、準備が必要です。その中でも特に大切なことが、いくらまでならマイホームにお金を使えるのかということ。こちらのコラムでご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
【参考リンク】
また、住宅ローンの金利も影響しますので、じっくり考えられる今のうちから調べておくと良いでしょう。イー・ローンの検索機能は便利に利用できますので、ぜひ活用してください。