第501回
2013年は家計の負担が増える!!より豊かに過ごすためのポイントは?
- 先日、銀行へ行ったら「復興特別所得税のお知らせ」というポスターが貼られているのを目にしました。今年1月から始まるようなのですが、私たちの生活にどのような影響があるのでしょうか?(K.N 30代 パート主婦)
- 今年1月から「復興特別所得税」の徴収が始まります。これは東日本大震災の復興財源を確保するためのいわゆる復興増税と呼ばれるもので、2013年1月から2037年12月末までの25年間、所得税額に対して一律2.1%が上乗せされます。この他にも、個人の所得や消費に対する税金の負担が増えていきそうですが、そんな中でも豊かに過ごしていくためのポイントをおさらいしましょう。
2013年はどんな年になりそう?
新年を迎えるにあたり、新しく手帳やカレンダー、家計簿などを購入した人も多いのではないかと思います。真新しいページをめくり、すでに決まっているスケジュールなどを書き込んだり、休日・祝日の並びを確かめたりする楽しさは、この時期ならでしょう。
さて、今年2013年がどんな年かといえば、東京ディズニーランドが開園30周年を迎えます。東京ディズニーランド(TDL)&ディズニーシー(TDS)といえば、このご時勢に不況知らずの盛況ぶり。2011年度下半期の入園者数は、TDSの開園10周年イベントがあったことに加え、震災直後に1ヵ月以上休園した反動によって、来園者が下半期に集中し、過去最高の1,460万人を記録しています。今年はTDLの30周年記念イベントともなれば、例年以上の来園者数が見込まれそうです。
特に今年は月曜祝日の3連休が多い年。「安・近・短」が今の旅行のキーワードにもなっているように、昨年に引き続き今年も、近場の温泉や遊園地・テーマパークなどへの人気が続きそうですね。
2013年から始まる身近な暮らしにかかわる負担増とは?
しかし冒頭のご相談者からのご質問にもあるように、今年は財布のひもを緩めてばかりもいられません。その要因の1つが、東日本大震災の復興財源を確保する目的で、1月から始まる「復興特別所得税」の徴収。復興特別所得税の税率は所得税率×「2.1%」となっていて、例えば1ヵ月の所得税額が1万円の場合、復興特別所得税210円を上乗せして負担することになります。金額的には大したことはなさそうな感じですが、チリツモとなればバカになりません。
給与所得や事業所得、年金などの雑所得のほか、預貯金の利息や株式の配当、公社債の利息、報酬の源泉所得税などにも上乗せされますので、給与の手取り額や預金の手取り利息などが2013年1月以降、25年間減ってしまうわけです。
「ただでさえ少ない預金の利息まで…」とため息が聞こえてきそうですが、復興特別所得税は「付加税」となっています。ですから所得税を払っていない場合は課税もありません。遺族年金や失業給付、生活保護の給付金などは、もともと所得税が非課税のため、復興特別所得税の対象外となっています。
それでは、復興特別所得税の家計への負担を見てみましょう(図表1参照)。年収が高いほど負担が大きくなることが分かりますね。なお、復興増税は、2014年6月から10年間、個人住民税に対しても課せられることが決まっており、毎年1,000円の上乗せとなります。
■図表1:年収(給与収入)別の所得税額および復興特別所得税の試算例
前提条件:夫婦、子ども2人のサラリーマン世帯。所得控除の金額はすべて200万円と仮定して試算を行った。
年収 | 所得税額 | 増税分 | |
---|---|---|---|
2012年 | 2013年 | ||
400万円 | 33,000円 | 33,600円 | 600円 |
500万円 | 73,000円 | 74,500円 | 1,500円 |
700万円 | 212,500円 | 216,900円 | 4,400円 |
1,000万円 | 732,500円 | 747,800円 | 15,300円 |
※筆者作成
復興特別所得税のほかにも、今年は次々と増税メニューが押し寄せてきます(図表2参照)。
■図表2:復興増税以外の増税予定事項
改正事項 | 内容 | 適用時期 |
---|---|---|
退職金の個人住民税控除の廃止 | 退職金など退職手当に係る個人住民税の10%の税額控除が廃止 | 2013年1月1日以後に支払われる退職手当等から |
勤続年数5年未満の役員退職金の増税 | 勤続年数5年以下の役員退職金の2分の1課税の優遇制度も廃止 | 2013年分以後の所得税および2013年1月1日以後に支払われる退職手当等から |
高額所得者の給与所得控除の上限設定 | 給与収入1,500万円超の場合の給与所得控除額(サラリーマンの必要経費のようなもの)を245万円に設定 | 2013年分以後の所得税および2014年度分以後の個人住民税から |
※筆者作成
また、金額が少額のためかあまり話題に取り上げられていないようですが、すでに昨年10月からは「地球温暖化対策税」がスタートしています。今後2014年4月、2016年4月と段階的に税率が引き上げられる予定で、環境省の試算によると、2016年4月以降は1世帯で年間約1,200円の負担増となる見込みです。
負担増を踏まえた上で、豊かに暮らすためには?
2013年だけでなく、昨年2012年6月の衆議院本会議で可決された消費税率引き上げ(2014年4月に8%、2015年10月に10%)スケジュールを見ても分かるように、2013年の復興所得税は増税や社会保障費の負担増などのはじまりに過ぎません。それでは、この厳しい社会情勢に家計はどう対処していったら良いのでしょうか?
1、増税の「スケジュール」と「概要」を把握してみよう
「いつ、何があるのか」「どんな内容なのか」といったことについては、インターネットを使えば、国税庁のホームページや、専門家の解説記事等で把握できますので、気になったときに調べるようにしましょう。
2、スケジュールを見越して、ムリ・ムダがないか家計を見直してみよう
毎月支払っている様々な料金も、意識してみるとムリ・ムダが多いことが分かります。長い間そのままにしている住宅ローンや生命保険料などの「固定費」は見直しの余地が大きいです。また、携帯電話やインターネットを利用するための「通信費」やお子様の「教育費」など家計の‘聖域’を作らないのも重要なポイントでしょう。
併せて、将来の負担増に備えて、収入をアップする方法を検討したり、普通預金に預けっぱなしのお金をネット専業銀行などの安全かつ好金利商品に預け替えたりするひと工夫も大事です。
【参考リンク】
3、お金を使う前に一度立ち止まって考えるクセをつけよう
商品を購入したり、サービスを利用する前に、それが自分にとって本当に必要なのかを問うてみるクセをつけることが大切です。
例えば、消費税増税前になると必ず駆け込みで、マイホームやマイカーなど高額商品を購入する人が続出します。もちろん、それが必要なものであり、きちんと資金計画を立てて賢く購入するために時期を多少早めるという選択肢は○(マル)でしょう。しかしその一方で、「増税するからその前に…」という外的環境に押されて、ご自分にとってのベストタイミングを見誤らないように注意しましょう。特にローンを利用する際には、一度立ち止まって考えるクセをつけると良いでしょう。
【参考リンク】
さて2013年は巳年。「巳」という字は「起こる、始まる、定まる」などの意味があり、また蛇は脱皮をすることから「復活と再生」を連想させるそうです。まさに日本も今年1年そうなってくれることを切に願っています。