第498回
「固定金利型」住宅ローンへの借り換えチャンスが到来!?
- 「住宅ローンの固定金利が引き下げられ、12月は過去最低水準になった」というニュースを見ました。現在、変動金利型住宅ローンを借りているのですが、固定金利型への借り換えを考え中です。借り換えた方がいいでしょうか?(A・Fさん/38歳/男性)
- 日銀の政策金利に連動する変動金利型住宅ローンの金利は、最低水準の金利がしばらく続いており魅力的ですが、ここにきて長期金利が低下し、固定金利型住宅ローンの金利がさらに下がってきている状況です。変動金利で残高が多く、返済期間も長く残っているなら、将来の金利上昇リスクを避けるために、固定金利への借り換えも検討された方がいいでしょう。まずは、金利の決まり方と現状、今後の動向を見つつ、どんな人が借り換えをしたらいいか考えてみましょう。
住宅ローン「固定金利型」の金利がさらに下がってきている
住宅ローンの金利タイプは、固定金利型と変動金利型に大きく分けられ、金利の決まり方が異なります。
【参考リンク】
住宅ローン「固定金利型」の金利は長期金利に連動しています。長期金利は新発10年物国債の利回りに連動しており、これが下がると銀行の貸し出し金利である「長期プライムレート」が下がり、固定金利型の金利も下がります。多くの金融機関は、毎月、その月の中旬から下旬の長期金利の動向を見て「長期プライムレート」を設定、住宅ローンの販売方針を考慮して翌月1ヵ月間の金利を決め、月初に公表しています。12月4日、新発10年物国債利回りが0.695%と、2003年6月以来、約9年5ヵ月ぶりの低水準となりました。
時期 | 利回り |
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2010年10月から12月 | 1.1%台 |
2012年12月4日 | 0.695% |
※筆者調べ
これを受けて、各金融機関は、12月の住宅ローン固定金利型の適用金利を下げています。長期固定金利型の代表的なローンである【フラット35】の借り換え用のローンの中には、20年超の返済期間で、適用金利は年1.8%台のものも登場しています。
時期 | 適用金利(年率) |
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2010年12月 | 2.400% |
2012年12月 | 1.810% |
時期 | 適用金利(年率) |
---|---|
2010年12月 | 2.150% |
2012年12月 | 1.530% |
※イー・ローン調べ
「変動金利型」の金利引下げ余力は、ほとんどない状態
一方、住宅ローン「変動金利型」の金利は、日本銀行の政策金利(無担保コール翌日物)に連動しています。第398回のアドバイスは、ちょうど2年前に書かれたものですが、無担保コール翌日物の水準は現在と同じ0.0%~0.1%ですから、変動金利型の住宅ローン金利はさほど変化がない状態です。適用金利は年0.8%台まで下がっており、これ以上、下がりようがない状態と言えます。
時期 | 利回り |
---|---|
2010年10月 | 0.0%から0.1% |
2012年11月27日 | 0.0%から0.1% |
※筆者調べ
時期 | 適用金利(年率) |
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2010年12月 | 0.975% |
2012年12月 | 0.865% |
※イー・ローン調べ
固定金利型への借り換えを検討して
住宅ローン利用者のうち、20年以上の長期固定金利型を利用している人は少数派で、多くの人は変動金利型か短期固定金利型を利用しています。確かに、現在の変動金利型の低い金利は魅力的です。日本の経済状態を考えると数年以内で政策金利が大きく上がって変動金利型の金利も上がることは考えにくいでしょう。しかし、返済が終わるまでの長期スパンで考えると、どうでしょうか。借入額が少なく、残っている返済期間も短い、金利が上がったときに繰り上げ返済をして利息負担を軽くできるという人は変動金利型のままでもかまわないでしょう。しかし、このような好条件の人は少ないはず。やはり、下限に近付いている固定金利型に借り換えて、今のうちに将来の金利上昇リスクをなくしておきたいもの。短期固定金利型で年2%以上、長期固定金利型で年3%以上の金利の人も、今のうちに借り換えをしておくのが得策と言えるでしょう。
借り換え先のローンを選ぶ際、融資手数料や保証料などの諸費用を考慮して、借り換えによるメリットはどれくらいあるかをシミュレーションしてから決めるようにしましょう。
繰り上げ返済のしやすさも、ローン選びの選考基準の1つに加えることをお忘れなく。