第490回
ゆうちょ銀行が住宅ローン参入!?どんなローンが提供されるの?
- マイホーム購入を思い立ち、物件探しをはじめました。住宅ローンについても調べているのですが、ゆうちょ銀行が個人向けの住宅ローンに新規参入するそうですね。いつから、どんな商品が発売されるのでしょうか。
- ゆうちょ銀行は個人向け住宅ローンへの参入を認可申請しましたが、まだ金融庁や総務省は認可していないので、導入時期や詳細が決まっているわけではありません(2012年10月10日現在)。販売が決まったら詳細を確認するのはもちろんですが、実際にローンを組む際には、ゆうちょ銀行のローンだけでなく、民間金融機関のローンやフラット35等とじっくり比較検討して、あなたにとってお得で便利なローンを選ぶようにしましょう。
ゆうちょ銀行、個人向け住宅ローンに新規参入!?
ご相談者は、2012年9月に「ゆうちょ銀行、住宅ローン参入申請」というニュースをご覧になったのではないでしょうか?確かに、「来年(2013年)4月にも開始」などと報道されていましたが、まだ認可されたわけではないので、商品の詳細や導入時期は決まっていません。
認可申請後、郵政民営化委員会で申請内容の妥当性の審議が始まっており、今後は委員会としてまとめられた「意見」をもとに政府が認可すべきかどうか決定する流れになります。しかし、他の民間金融機関からは、「民業圧迫だ!」という反発の声も上がっており、認可までには時間がかかる可能性もあります。
ゆうちょ銀行で現在販売している住宅ローンは、スルガ銀行の「代理販売」
今回申請されたのは、ゆうちょ銀行自身での住宅ローン商品の開発・販売などですが、住宅ローンの申込は現在もゆうちょ銀行で行うことができます。スルガ銀行の住宅ローンを代理業者として媒介しているのです。
現在ゆうちょ銀行で申込できる住宅ローンは、一般的な「基本プラン」の他、通常、住宅ローンを借りにくいとされる方にも利用しやすいタイプが揃えられているのが大きな特徴です。年金収入のみのシニア層や自営業者向け、派遣社員向け、転職者向けなど、さまざまなタイプが設けられています。
ローン商品名 | 金利タイプ | 条件・特徴など |
---|---|---|
フラット35 | 固定金利型 | ・最長35年、長期固定金利住宅ローンです |
基本プラン | 変動金利型 固定金利選択型3年 固定金利選択型5年 |
・住宅ローンの基本プラン商品 ・勤続年数または経営年数が3年以上の方(ただし、医師、弁護士等の一部職種の方は1年以上) |
個人事業主応援型 | 変動金利型 | ・経営年数に関らず、担保評価額の100%までのお借り入れが可能。 ・オフィス・店舗併用住宅も可能、居宅部分が1/3以上でご利用OK! |
働く女性応援型Ⅰ | 変動金利型 固定金利選択型3年 固定金利選択型5年 |
・勤続年数または経営年数が3年以上の方(ただし、医師、弁護士等の一部職種の方は1年以上) ・繰上返済手数料無料 |
働く女性応援型Ⅱ | 変動金利型 | ・確定申告書や試算表等をもとに実態に即したご返済負担力を判断させていただきます。 ・勤続年数や経営年数を問いません。 |
アクティブシニア応援型 | 変動金利型 | ・50歳以上の方の住み替えなどにご利用いただける住宅ローン ・勤務先、勤続年数、経営年数、収入金額を問いません。 ・年金収入の方、無職の方でもお申し込みいただけます。 ・繰上返済手数料無料 |
キャリアアップ応援型 | 変動金利型 | ・前向きな転職者のための住宅ローン ・勤続年数や経営年数は問いません。 見込み年収や副収入などをもとに、実態に即したご返済負担力を判断させていただきます。 |
派遣・契約社員応援型 | 変動金利型 | ・派遣社員・契約社員のための住宅ローン ・男性・女性の区別は問いません。 ・所定の用紙により、ご経歴や取得されている資格などをお聞かせいただきます。 ・派遣・契約社員としての就労期間の累計が3年以上である方 |
スルガ銀行ゆうちょ専用支店HPより抜粋 表は著者作成
ただし、ローン金利は高めに設定されています。借入条件によって実際に適用される利率は異なる場合があるとのことですが、変動金利で年2.475%~、固定金利選択型で年3.100%~となっています(2012年10月1日現在。フラット35を除く)。また、勤続年数や年収などの要件がないローンは、変動金利タイプのみとなっています。
勤続年収や年収などの要件を満たせなくて一般的なローンは利用できないが、多少金利が高めでもローンを組みたいというニーズに答えたラインナップだといえますね。なお、インターネットや郵送で来店不要の申込手続きをすることができるので、全国から利用できますが、店頭で申込できるのは、全国の82の郵便局(スルガ銀行ローン取り扱い店)に限られるので注意しましょう。
ローン選びの際は、複数のローンとの比較検討を忘れずに
ゆうちょ銀行が認可申請している住宅ローンも、一般的な住宅ローンの他、個人事業主や高齢者、独身女性等の属性に応じた独自の商品設計が考えられているそうです。勤続年数や年収など、借入要件に不安がある場合には、ご自分のタイプにあったローンが見つけやすいかもしれませんね。とはいえ、認可されるタイミング、具体的な商品内容や、発売開始の時期がいつになるのかはまだわかりません。ゆうちょ独自の住宅ローンが認可される前に、ご相談者の希望物件が見つかるかもしれません。
したがって、ゆうちょ銀行の住宅ローンも選択肢に加えたいなら、購入したい物件が見つかった時点で、その時に利用できるゆうちょ銀行の住宅ローン商品内容や販売方法(お近くの支店に窓口があるか、インターネットや郵送での申込みはできるか)を改めて確認しましょう。その上で、他の民間金融機関の住宅ローンやフラット35等と、金利や金利タイプ(変動・固定)、手数料の多寡、繰上げ返済等の利用中の利便性なども比較検討した上で、ご自分にとって有利で便利なローンを選ぶようにしましょう。
イー・ローンの住宅ローン検索では、「もっと詳しい条件で探す」という部分をクリックすれば、年齢や性別、勤続年数、職業、年収といった利用要件に合わせて、ローンをピックアップすることもできます。ゆうちょ銀行の属性に応じたローンなどと比較検討する場合には、利用要件をそろえた上で、金利や金利タイプ、手数料などを比べてみると、有利なものが見つけやすいのではないでしょうか。