第473回
無謀な住宅ローンを組まないためのチェックポイントは?
- 住宅購入を考えていて返済計画を立ててみましたが、大丈夫でしょうか?(Hさん 33歳 会社員)
- 今回の質問は、イー・ローンの掲示板の中にユーザー同士で相談できるコーナーがあり、その相談のひとつです。今回は、Hさんの例をお借りして返済計画の立て方とセルフチェックの仕方を見ていくことにします。
頭金の準備額と金利タイプをまずはチェック!
ポイント1:物件購入価格の20%~25%の頭金・諸費用を準備しているか
Hさんは、パート勤務の奥さま(28歳)との2人暮らしで、3年以内にはお子さんが欲しいそうです。手取り年収は、Hさんは366万円(ボーナスなし)、奥さまは84万円です。3,850万円のマンション購入を検討中で、頭金は700万円用意されています(諸費用として別途200万円用意)。借入額は3,150万円(変動型・金利年0.78%・35年返済)で、毎月の返済額は8万8,000円(管理費1万4,500円、積立金7,000円を合計して住居費の負担は11万9,000円)という返済計画を立てています。
返済計画の最初のチェックポイントは、頭金として物件価格の20~25%を用意できているかです。最近は、頭金がゼロでも住宅ローンを組めますが、できるだけ借入額は少なくしたいので、最低でも20%の頭金は用意しましょう。諸費用は別で700万円の頭金を用意できているHさんは、この点では問題ありません。
ポイント2:金利タイプの違いを理解し、リスクを考えて選択できているか
次のチェックポイントは、住宅ローンの金利はどのタイプを選ぶかです。金利タイプは、変動型、固定金利選択型、全期間固定型の3タイプ。最近は、変動型の適用金利が年1%を切っているローンが多いため、利用者が増えています。変動型は、将来、金利上昇リスクがあり、子どもの教育費のピーク時期に返済額が上がってしまうなど返済が大変になる危険性があります。共働き、毎年の昇給が確実など、返済額が増えても許容する余力がある、繰上返済をして短期間で返済を終了できるという人は利用してもいいでしょう。けれど、それ以外の人の利用は、あまりお勧めできません。
Hさんのケースは、近い将来、奥さまが出産・子育てのためにパートを辞めることになると思われるため、変動型の利用は危険です。低金利の昨今、30年前後の固定型でも、適用金利が年2%台のローンはあるので、こちらのタイプを選んだ方が無難です。変動型との金利差は、金利上昇による返済額アップを避けるための“保険料”と捉えて考えてみてはいかがでしょうか。
毎月返済できる金額を理解して借入可能額をチェック!
ポイント3:毎月無理なく返済できる金額を把握して借入金額を決める
そして最後のチェックポイントは、いくら借りるかです。これは、年収に対して無謀なローンを組まないために、とても大切なことです。住宅ローンは30年前後という長い付き合いになるので、借りられる金額ではなく、返していける金額を借りるもの。一般的に、年収に対するローンの比率は、20~25%程度が適正とされています。共働きを続ける夫婦なら、年収を合算して判断してもかまいませんが、Hさんのような、将来、妻は仕事を辞める可能性が高い場合は、妻の年収は合算しないようにしましょう。
まずは、年間の返済額を「手取り年収×25%」で計算してみましょう。
Hさんの場合は、「366万円×25%=91万5,000円」です。
次に、年間返済額(毎月返済額)から、いくら借りられるかを計算します。
これは、金利のタイプと金利、返済期間で決まります。返済期間は短い方が総返済額を抑えられますが、毎月返済額が多くなってしまいます。とりあえず、最長の35年で組んで、後に、繰上返済で期間を短縮するようにしましょう。下記の条件で、住信SBIネット銀行のローンシミュレーションで試算してみました。
【参考リンク】
■毎月返済額に応じた借入可能額のシミュレーション
- ・金利タイプ…全期間固定型、金利…年2.220%、返済期間…35年
- ・毎月返済額7万円⇒借入可能額は2,042万円
- ・毎月返済額8万円⇒借入可能額は2,334万円
- ・毎月返済額9万円⇒借入可能額は2,626万円
- ・毎月返済額10万円⇒借入可能額は2,918万円
- ・毎月返済額11万円⇒借入可能額は3,210万円
この条件で試算すると、借入可能額は2,600万円強ということで、借入希望金額と約500万円の開きがあることが分かりました。このように見てくると、変動金利で3,150万円を借りようとしているHさんの返済計画はややリスクが高いという結論です。全期間固定型の金利をベースに、物件価格を下げるか、頭金を増やすかの計画変更を検討してはいかがでしょうか。 もちろんまだお若いので、今後の昇給なども見込めますが、その分支出も多くなりますし、昇給する保証はどこにもありませんので、手堅く実施できる計画が望ましいと思います。皆さんも、このような手順で返済計画を立て、セルフチェックしてみてください。
さて、返済計画を立てるにあたって、やはり、住宅ローン選びは大切な要素です。金利の高低だけでなく、金利タイプの豊富さ、団体信用生命保険、保証料・手数料、繰上返済のしやすさなどをトータルに比較検討して選びましょう。
【参考リンク】
今回のシミュレーションで用いた住信SBIネット銀行のネット専用住宅ローンは、変動型、固定期間選択型(2・3・5・7・10・15・20・30年)、全期間固定型(35年)があって金利タイプの選択肢が豊富。適用金利も低めです。また、団体信用生命保険は8疾病の保障が保険料の負担なしでついていて、借入金額の2.1%相当分の手数料はかかるものの、保証料は不要です。そして、いつでも何回でも手数料無料で、1円から1円単位で繰上返済でき、こまめな繰上返済でローン返済を早く終わらせることができます。今回のご相談者のように頭金や諸費用を準備していて、手数料の負担ができるようであれば、十分検討に値する住宅ローンだと思いますので、一度チェックしてみてください。