第433回
複数のローンを上手にまとめて、無理のない返済を
- カードローンの借入残高が合計200万円にもなり、自動車ローンも合わせると毎月の返済額が約13万円にもなってしまいました。延滞はしていませんが、返済に追われる生活にうんざりしています。ローンの見直しに「おまとめローン」を考えていますが、借り入れが多すぎて、利用できないかもしれないと心配です。勤続10年の会社員で、年収は600万円くらいです。(神奈川県 T)
- より低金利のローンに借り換えるのが「おまとめ」の鉄則。現在の借り入れ状況を確認して、借り換えの試算からはじめてみましょう。
「おまとめローン」とは
「おまとめローン」はローンの借り換えに利用できる大口ローンのこと。あらたに借りた「おまとめローン」で複数のローンを一括返済して一本化し、そのあとは「おまとめローン」を返済していくという使い方ができます。複数のローンを借りていると毎月の返済日の管理も大変ですが、低金利のおまとめローンに一本化すれば、返済日は毎月決まった1日になりますし、総利息負担も少なくなる、返済の見通しも立てやすくなるといった、多くのメリットがあります。
「借り手に一方的に有利な借り換え」は総量規制の例外
また、総量規制によって、おまとめローンへの借り換えができないのではないかと、相談者のように心配される方もおられるかもしれません。たしかに、貸金業法の改正で総量規制が導入されて、新規の借り入れは原則として年収の3分の1までしかできなくなりました。しかし、この総量規制には例外があり、その一つに、「借り手に一方的に有利になる借り換え」があります。例外とされるローンは、総量規制の貸付残高には含まれますが、貸付残高が年収の3分の1を超えても、要件を満たせば借り入れができます。つまり、低金利のローンへの一本化などで、借り手に一方的に有利な借り換えなら、例外として、貸付残高が年収の3分の1を超えても、(金融機関の審査を通れば)借り入れ可能なのです。
なお、貸金業法は貸金業者を規制する法律なので、銀行のローンなどは総量規制の対象外。各銀行の審査基準を満たせば、総量規制に関係なく、銀行のローンは利用可能です。
証書タイプの「おまとめローン」で着実に返済を
では、おまとめローンには、どんなものがあるのでしょうか。
おまとめに利用できるローンには、カードローンと証書ローンがあります。カードローンは利用限度額までは何度も借りることができるので便利な反面、再び、借り過ぎてしまう可能性があります。
一方、証書ローンは、1回の借り入れごとに契約書(金銭消費貸借契約証書)を作成して、契約書に記入された金額を借りるものです。追加融資もなく、借入残高が途中で増えることもありません。契約時に借入額・返済期間・金利に応じた毎月の返済額がきまって返済スケジュールが確定するので、着実な返済を考えるなら、証書タイプを選ばれるとよいでしょう。
証書タイプのおまとめローンとして、オリックス信託銀行のバンクプレミアと、東京スター銀行の「スターワン借換ローン」をみてみましょう。
【参考リンク】
バンクプレミアは、口座開設の必要はなく、現在利用中の銀行口座からの引き落としで返済することができます(一部利用できない金融機関があります)。
また、「スターワン借換ローン」の特徴は、預金連動のしくみで、実質的に金利負担を減らすことができることです。借り換えで返済額が減った分を貯蓄に回して預金残高を増やせば、金利負担も減らせるというわけです。
いずれも借り換え専用のローンで、各HPで借り換えのシミュレーションをすることができます。現状の借り入れメモを見ながら、どれくらい返済負担を減らせるのか、返済期間を縮めることも可能なのか、試算してみるとよいでしょう。
このように、証書ローンとカテゴリーは同じでも、特徴や条件はそれぞれ異なります。気になるローンが見つかったら、「ローン比較リスト」で、並べてチェックしてみるとよいでしょう。
【参考リンク】
より低金利なローンへ「おまとめ」を
では、例を挙げて、おまとめローンの利用を考えてみましょう。
とにかく、おまとめローンに借り換えればいいというわけではありません。たとえば、自動車ローンなどは、おまとめローンよりも低金利な場合が多くなっています。借り換えは、「高金利→低金利」が鉄則です。低金利のローンは借り換えずにそのまま返済を続けたほうが、総返済額は少なくてすみます。複数の返済日を管理する手間は残りますが、利息負担を減らすことを優先しましょう。
まずは、借りているローンの現状(金利や残高、返済期間など)を書き出してみるとよいでしょう。
借入先 | ローンの種類 | 借入残高 | 金利(年率) | 残りの返済期間 | 毎月返済額 |
---|---|---|---|---|---|
A社 | カードローン | 50万円 | 15% | 2年 | 24,243円 |
B社 | カードローン | 50万円 | 18% | 2年6か月 | 20,820円 |
C社 | カードローン | 100万円 | 15% | 4年 | 27,831円 |
D社 | 自動車ローン | 150万円 | 3% | 2年2か月 | 58,162円 |
借入残高合計 | 350万円 | 毎月返済額合計 | 131,056円 |
上記のメモの例のうち、自動車ローン以外のローンを、金利年5%のおまとめローンに借り換えた場合の試算は、下記のようになります。現状の返済期間は最長4年ですが、返済期間を3年に縮めても、毎月の合計返済額を約13,000円少なくすることができることがわかりました。もっと返済期間を長くすれば、毎月の返済額は少なくなりますし、返済余力があれば毎月返済額を増やして返済期間を短くすることもできます。
借入先 | ローンの種類 | 借入残高 | 金利(年率) | 残りの返済期間 | 毎月返済額 |
---|---|---|---|---|---|
D社 | 自動車ローン | 150万円 | 3% | 2年2か月 | 58,162円 |
F社 | おまとめローン | 200万円 | 5% | 3年 | 59,941円 |
借入残高合計 | 350万円 | 毎月返済額合計 | 118,103円 |
* F社試算例は、オリックス信託銀行HPにて試算
ただし、各ローンの詳細にあるとおり、適用される金利には幅があり、実際に適用される金利は金融機関の審査で決まります。最優遇金利だけでなく、高めの金利が適用された場合にはどうなるのかも試算しておきましょう。さらに金利優遇やキャンペーンなどのメリットも比較検討した上で、メリットの大きいローンを選ぶとよいでしょう。