第432回

教育ローンで後期授業料に備える

今年は夏のボーナスが思ったほど出なかったため、ちょっとやりくりが大変です。息子の大学の授業料の納付に、教育ローンを使うべきでしょうか?(J.Hさん46歳 主婦)
授業料を分納している大学は、後期授業料の支払時期ですね。期限を過ぎると督促があり、最悪の場合は除籍になってしまいます。災害など払えない正当な理由がある場合は減免措置を、そうでない場合は教育ローンの利用を考えましょう。

後期授業料の準備をお忘れなく

9~10月は口座振替や銀行振込などで大学の後期授業料を支払う時期です。もうしばらくすると、大学から支払い手続きに関する詳細な案内が届くと思いますので、大学生のいるご家庭は忘れずにお金の準備をしておきましょう。「足りなくなるかもしれない」というご家庭は、大学の減免制度を調べたり、各種教育ローンを比べたり、とにかく今すぐ動き出しましょう。手続きや審査で時間がかかるため、期限に間に合わないことがあります。

正当な理由がある場合は、大学の減免制度を利用できないか調べてみましょう。多くの大学で、下記の条件にあてはまる学生に対し、授業料を減額したり免除したりしています。

【減免制度を利用できる条件】

より細かな条件や必要書類等は大学のホームページに載っています。もし受付期間が終わっていても、あきらめずに大学に相談してみましょう。場合によっては分割払いなどの対応をしてもらえることがあるようです。

なお、減免制度の予算にも限りがあり、例え受付してもらえても利用できない場合があります。そういった場合に備えて、同時に教育ローンも検討しておくとよいでしょう。

「ローン比較リスト」で教育ローンランキングのTOP3で比べてみよう

教育ローンは財形教育融資などの公的ローンと民間金融機関の民間ローンがあります。どちらも一般的に、学生の間は元金据え置きで利息のみを返済し、卒業後に元金を含めた返済がスタートします。けれど今回は時間があまりないので、審査が早く、使い勝手のよい民間ローンの方をご紹介します。イー・ローンランキング上位3つの商品を比較しながら、選ぶ際のポイントを説明いたしましょう。

事前に以下の参考リンクにある3つの教育ローンを「ローン比較リスト」に入れておくと、とても比較しやすいですよ。

【参考リンク】

まず最初に「来店」の項目を見てください。全国対応している(しかも来店不要)のは日立キャピタルだけです。他の2つは住んでいる地域や職種に該当していないと利用することができませんので、注意が必要です。

次に注目したいのは、やはり「実質年率」と「金利体系」ですね。3つの中で最も実質年率が低いのは大阪信用金庫ですが、これは「変動金利タイプ」であることに注意して下さい。先日も日本国債の格付けが下がったとニュースになりましたが、一般的に格付けが下がると債券価格も下がり、金利が上昇します。日本経済の不透明さを考えると、将来的に債券価格が暴落し、金利が急上昇する可能性もあります。教育ローンに限らず変動金利のローンを選ぶ方は、ローンの金利が上昇する可能性があることを十分理解した上で、何%の金利上昇まで家計が耐えられるかシミュレーションしておき、借りた後もまめに経済ニュースをチェックすることが必要です。

3つの商品を比べると、全国対応していてかつ固定金利で商品を提供している日立キャピタルはバランスが良く魅力的に感じます。しかし他の二つに比べると借入限度額が少なく、最長借入期間は半分しかありません。さらに完済年齢が他の2つは「70歳以下」なのに対し、「65歳以下」と条件が厳しくなっています。当たり前の話ですが、どの商品も一長一短があり、万能なものはないということですね。

こうしたミスマッチを減らすためには、イー・ローンの検索機能を使い、基本的な条件にマッチするローンを絞り込んでから「ローン比較リスト」で詳細比較をするのがよいでしょう。検索結果のうち、最大5つまでをリストに登録することができます。それからじっくり個々の商品の条件や違いを見比べ、本当に自分に合ったものを見つけるといいでしょう。

私が書きました

神田 理絵 (かんだ りえ)

ファイナンシャル・プランナー、住宅ローン・アドバイザー、心理カウンセラー。

大学卒業後、大手総合商社へ入社し、貿易事務に携わる。その後、税理士事務所、社会保険労務士事務所を経て2005年に独立。現在は生命保険や住宅ローンの見直し、資産運用に関する相談や、各種マネーセミナー、FP資格取得講座の講師、コラムの執筆等で活躍中。大人だけでなく、小学生向け金銭教育活動にも力を注いでおり、首都圏を中心に、今までの実務経験と女性の感覚を生かした独立系FPとして活動中。

※執筆日:2011年08月26日