第405回
教育ローン選びのポイントと注意点
- 今春には長男が、来春には長女が中学に入学します。今後、高校・大学へと進学するにつれ、さらに教育費の負担が増えそうです。学資保険と貯蓄で準備はしていますが、どのような進路になるのかわからないので、ほかにも何か準備しておいたほうが良いでしょうか?(Kさん 40歳 会社員)
- 最近は就職難の影響もあり、留学や大学在籍中に専門学校に通うといったダブルスクールを選ぶことも多くなり、想定外に教育費がかかる場合があるようです。学資保険や貯蓄で教育費の準備はある程度できていても、手元の資金が不足した場合に備えて教育ローンなどを事前に調べておけば、いざというときにすぐ行動できます。
いざというときの備えは早めに始めておく
日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果(平成22年度)」によると、高校入学から大学卒業までに必要な費用は52.1万円増加しており、自宅外通学をする子どもへの仕送りも年間6.6万円増加しています。
このように教育費の負担が増える一方で、世帯年収の平均は20.1万円減少しており、「収入減」「負担増」の家計が浮き彫りになっています。そのため、学資保険や貯蓄で教育資金の準備をしていても、いざというときに足りないということがあるかもしれません。
そうなってから準備するのでは、ゆっくり落ち着いて自分に合ったものを選ぶ時間がなくなってしまいます。いざというときに備え、早めに準備を始めておきましょう。
教育資金の補てんには、奨学金や教育ローンなどが利用できます。どのような違いがあるのかは、こちらのメルマガを参考にしてください。
【参考サイト】
第402回 教育費が足りない時は、「奨学金」と「教育ローン」を検討しよう
今回は、比較的利便性が高く、まとまった資金を長期間にわたって返済できる「教育ローン」についてご紹介しましょう。
教育ローンには「公的ローン」と「民間ローン」の2種類あり
教育ローンとは、学校の入学金や授業料のほか、受験料や留学費用などの支払いにも利用できるローンのことです。これから必要になる資金だけでなく、すでに支払いが済んでしまった資金でも借り入れの対象となるものがあり、奨学金に比べ借りるタイミングに余裕が持てます。また、年収制限のないものもあり、収入で判断されるのではなく、家計の状況で判断されますので、本当に必要なときに必要な分を利用することができます。
教育ローンは「公的ローン」と「民間ローン」の2種類があり、以下のような違いがあります。
公的ローン | 民間ローン | ||
---|---|---|---|
教育ローン | 財形教育融資 | ||
取りまとめ機関 | 日本政策金融公庫 | 雇用・能力開発機構 | 銀行などの金融機関 |
対象 | 高校生以上 | 制限なし | |
年収制限 | あり | なし | 金融機関ごとに異なる |
金利タイプ | 固定金利 | 固定金利/変動金利 | |
返済期間 | 最長15年 | 最長10年 | 金融機関ごとに異なる |
金利 | 民間ローンに比べ低め | 公的ローンに比べ高め | |
借入額 | 民間ローンに比べ少なめ | 公的ローンに比べ多め |
* 筆者作成
教育ローンを選ぶポイントと注意点
多くの教育ローンの中から自分に合ったものを選ぶためには、まず「年収と勤続年数」「就学予定の教育機関」「使いみち」を確認することからはじめましょう。
公的ローンである日本政策金融公庫の教育ローンは年収に上限が設けられています。また、公的ローンは高校以上でないと対象となりません。そのため、中学で必要となる場合には民間ローンから選ぶことになります。「使いみち」についても、それぞれ対象が異なりますので、「どんな資金のためにお金を借りたいのか」を明確にしたうえで比較してみましょう。
また、実際に利用する際のことを考えて、返済のシミュレーションをして借り入れに無理がないかを確認しておくことも大切です。教育ローンは、学生の間は元金据え置きで利息のみ返済し、卒業後に元金を含めた返済がスタートするのが一般的です。返済期間に猶予がある分、利息の負担が大きくなります。
さらに、金利タイプは「固定金利」のほか「変動金利」もあります。固定金利に比べ変動金利のほうが金利は低くなっているため、当面の返済を考えて利用する人が多いのですが、将来的に金利が上がってしまった場合、当初の目論見がはずれ返済が厳しくなる可能性があります。そのため借りやすいだけでなく、返しやすいかどうかも事前にシミュレーションして「何%まで金利が上がっても家計に影響ないか」の目安をつけておきましょう。ローンは将来に負担を持ち越しすぎないことが大切です。
上記のような比較ポイントをふまえ、具体的な商品を探すのには、イー・ローンの検索機能が便利です。多くの教育ローンから絞込み、個々の商品にどんな違いがあるのか大枠で把握するなど、ぜひ活用してみてください。
私が書きました
ファイナンシャル・プランナー。
プログラマー・SEを経験後、結婚を機に税理士事務所へ転職。企業の税務・社会保障・融資のサポートなど幅広く経験。個人のお金に関する相談が増えたことから、FP資格を取得。10年勤務後、個人の家計サポートに集中すべく、2003年に独立。住宅購入や資産運用、保険見直しなど、自分自身の経験も交え、執筆・セミナー・相談と幅広く活動中。家計診断は500件以上の実績あり。
※執筆日:2011年02月10日