第393回
不動産の評価を把握して不動産担保ローンを活用する
- 事業資金の借り入れを検討しています。これまで急な入用のときにはカードローンを利用してきましたが、以前に比べて手間がかかるようになってきたようです。 ビジネスではタイミングが重要なので、ある程度資金に余裕を持っておきたいと思います。どのような方法が良いでしょうか?(Kさん 42歳 個人事業主)
- 自宅などの不動産を担保にお金を借りる「不動産担保ローン」を検討してみてはいかがでしょうか。不動産を担保にすることで、金利は比較的低く、返済期間は長めに、借入金額の上限は大きく設定することができます。借入金額は、不動産の評価によって異なりますので、ビジネスチャンスを逃さないためにも、どれくらいまで借りられるのかを把握しておくと良いでしょう。
借りられる金額は物件の評価によって異なる
「不動産担保ローン」とは、読んで字のごとく「不動産」を「担保」にしてお金を借りる方法です。そのため担保となる不動産の評価によって借りられる金額が異なります。
一戸建ての場合、重視されるのは土地です。なぜなら、建物は地震などで倒壊する可能性があったり、時間の経過とともに老朽化していきますが、土地は変わらず残るからです。
土地の評価方法の一例として「路線価」があります。路線価とは道路ごとにつけられた価格のことです。土地の価格を評価する際は、その土地に接している路線価に土地の広さを掛けて算出します。たとえば、自宅前の路線価が10万円/平方メートルの場合、100平方メートルの土地なら10万円×100平方メートル=10,000,000円になります。ただし、土地の形状などによっても評価は異なるため、その分は修正されます。
路線価は毎年8月頃国税庁から発表され、税務署で確認することができます。国税庁のサイトにも掲載されていますので、「路線価」で検索してみてください。
マンションの場合は、建物が評価の対象になります。これは、マンションの土地は所有者ごとの区分所有となっているからです。建物の評価はその構造と建築年数によって異なります。
このように土地や建物が評価され、そこに金融機関ごとの掛け目に応じて最終的な評価がされます。
特徴は「長期間、まとまった資金を、比較的低金利で借りられる」こと
以前は相談者と同様に、簡単スピーディーにお金が借りられるカードローンを利用している事業主さんが多かったようです。しかし、2010年6月18日に改正貸金業法が完全施行されたことによって総量規制(年収の3分の1以上は借りられないなど)が導入され、利便性に陰りが見え始めてきました。
ビジネスをするうえで利便性が劣るということは、かなりのデメリットになります。ビジネスにはスピードが求められますので、ある程度余裕を持って資金計画を立てておくことが重要でしょう。
通常、事業資金を借りる際には、事業計画や設備投資の見積もりなどのさまざまな書類が必要になります。そのため審査にもかなり時間がかかることになり、タイミングによってはビジネスチャンスを逃すことになりかねません。そこで検討したいのが「不動産担保ローン」です。
最大の特徴は使いみちが制限されていないものが多いということ。不動産が担保になりますので、必要な書類は不動産に関するものがメインになります。事業計画や設備投資の見積もりといった準備に手間のかかる書類が必要ありません。
また、不動産という担保があるため、まとまった金額を借りることが可能です。そのうえ、比較的金利は低めで、返済期間を長期に設定できるので、月々の返済に無理のない返済計画を立てやすくなる点がメリットと言えるでしょう。ただし、不動産が担保になるので、そのための登記費用や印紙代、融資手数料などの諸費用がかかります。そのため月々の返済額だけでなく、総額どれくらいかかるのか把握しておくことも大切です。
ビジネスを行ううえでは、資金計画の相談ができるような金融機関と付き合っていくことがこれまで以上に重要となってきますので、良いパートナーを探していきましょう。