第348回

今年こそ貯める!お金と上手に付き合う方法

それほどぜいたくな生活をしているわけではないのですが、なかなかお金が貯まらず困っています。どうやってどのぐらい貯めればいいのでしょうか?効果的で挫折しにくい方法を教えてください。(S.O.さん 32歳 会社員)
「お金があまったら貯蓄する」では、なかなか貯まらないのが人間というもの。生活費として使う前に切り離す「先取り貯蓄」がお勧めです。目標を定め、一定額を強制的に積立し、お金と上手につきあっていきましょう。

目標を決めてモチベーションアップ!

「今年こそ貯めよう」と、ただ漠然と考えていても、実行に移すのはなかなか難しいものです。まずは貯める目的と金額を決め、モチベーションを高めましょう。マイカーの購入や住宅の頭金、子どもの教育費用など、貯める目的が明確な方は比較的簡単です。いつまでにいくら必要なのかが予想しやすく、それを逆算すれば、毎月貯めるべき金額が見えてきます。

特に具体的目標のない方はどうしたらいいのでしょうか?そんな方は、「生活費の半年分」を目標にするといいでしょう。月の生活費が30万円のご家庭なら180万円(30万×6カ月)ということですね。ちょっとハードルが高いと思われる方は、その半分の3ヶ月分、最低でもこのくらいは貯めるようにして下さい。今のような先が見えない不安定な時代、このくらいのキャッシュは手元に準備しておきたいものです。つまり将来のぜいたくのためというより、突然の病気やリストラに備えた、生活を守るための貯蓄です。

収入のうちいくらを貯蓄?

では収入のうち、いくらを貯蓄に回せばいいのでしょうか?一般的には収入の10~20%が適当だと言われています。お給料の手取りが30万円であれば、最低でも3万円を、余裕があれば6万円を貯蓄に回すということです。

ただしこれはあくまで目安なので、実際には「ムリのない金額」で実行してくださいね。現在のような経済状況が悪い時は、家計に余裕のないご家庭も多いと思います。ムリな貯蓄で生活費が不足し、カードのキャッシングでまかなう――という本末転倒なことになってはいけません。受け取る金利はせいぜい年0.25%(某都市銀行一年定期)ですが、支払う金利は年7%~18%(カードローンやキャッシング)にもなります。

効果的なのは「家計の事業仕分け」をして、無駄な支出を見つけることです。生命保険の保険料は高すぎないか?住宅ローンはより金利の低いものへ乗り換えられないか?特に毎月かかる固定費を節約できれば、その分が確実に浮くことになります。何をどう見直したらいいかわからない方は、マイスコアの「家計診断サービス」を利用するといいでしょう。ここでは家計の現状分析から具体的な見直し提案までフォローしてくれます。

「先取り貯蓄」に向いているのはここ!

毎月貯蓄する金額が決まったら、次にやるのは強制的に貯めるしくみ作りです。預け先は「自動積立」ができ、「引き出すのに一手間かかる」ところがいいでしょう。引き出しにくさは、残高減少を防ぐブレーキになります。

会社員であれば給与天引きができる「財形制度」がお勧めです。この制度はサラリーマンの財産形成を目的としているため、一定の金額まで利子が非課税になったり、低利の融資を受けられるなど、利用者だけの特典があります。比較的金利の高い社内預金もいいですね。財形制度も社内預金制度も、ある会社とない会社がありますので、まずは確認をしてみてください。

給与振込を指定している銀行の「自動積立定期」もお勧めです。これは指定した日に、決まった金額が定期預金にスライドされるというもの。自分で預けかえる手間が省けますし、多少ですが普通預金よりも金利が高くつきます。「つい全部おろしちゃった」ということがないよう、振替指定日は給料日かその翌日くらいにした方がいいでしょう。

ある程度の金額が貯まれば、一部を投資へ回すという余裕もでてきます。まずはしっかり貯めグセをつけ、より有利な預け先の選択肢を増やしていきましょう。

私が書きました

神田 理絵 (かんだ りえ)

ファイナンシャル・プランナー、住宅ローン・アドバイザー、心理カウンセラー。

大学卒業後、大手総合商社へ入社し、貿易事務に携わる。その後、税理士事務所、社会保険労務士事務所を経て2005年に独立。現在は生命保険や住宅ローンの見直し、資産運用に関する相談や、各種マネーセミナー、FP資格取得講座の講師、コラムの執筆等で活躍中。大人だけでなく、小学生向け金銭教育活動にも力を注いでおり、首都圏を中心に、今までの実務経験と女性の感覚を生かした独立系FPとして活動中。

※執筆日:2010年01月04日