第318回

住宅ローンと同時に火災保険も見直す?

家計が苦しくなってきたので、住宅ローンの借り換えを考えています。けれど、手続き時に色々な費用がかかるようでげっそりします。何か工夫できる事はないでしょうか?(R.Nさん、39歳、会社員)
現在のローンから別のローンに乗り換えるのが「住宅ローンの借り換え」。ところがその際に、保証料や事務手数料等色々な費用が発生します。借り換え時に必ずかかる費用ではありませんが、火災保険も同時に見直してみてはいかがでしょう。家計の負担を減らす意外な効果があるかもしれません。

結構かかる借り換え時の諸費用!

「金利の低いローンに乗り換えて、総返済額を減らしたい」そう考えて、住宅ローンの借り換えを考える人は多いものです。 うまくいけば家計の大幅な改善につながるので、昨今の厳しい状況下では、ぜひ検討したい手段ですよね。

借り換えの一番の目的は、今後支払う利息を節約する事です。 したがって、つい金利の数字ばかりが気になってしまいますが、借り換え時にかかる様々な費用を考慮し、 それをまかなう以上にメリットがあるかよく考えなければいけません。 なぜならこの費用、保証料に事務手数料、印紙税に登録免許税、司法書士報酬など・・・意外にかかるもの。 ローンの借入金額や返済期間、保証料の有無にもよりますが、概ね30万円~80万円かかります。「せっかく借り換えしたのに、 あまり効果がなかった」とならないよう、費用の内容と金額もしっかり比較してから選びましょう。

火災保険もバラ掛けの時代

せっかくですから、このタイミングに火災保険も見直してみることをお勧めします。 保険見直しの節約術は有名ですが、これはなにも生命保険に限ったことではありません。 特に「勧められるまま加入したきり、内容がよくわからない」という方は、本当に自分の家に合っている保険なのか、 もう一度確認をしてみると良いでしょう。

まず火災保険とは、建物にかけるものと、家財にかけるものの2つに分類されます。 さらに、落雷や爆発、水災や風災など、火事以外の様々な災害もカバーしています。他にも、泥棒に入られた場合(盗難)や、 家具を移動していて壁に穴を開けてしまった場合(破損・汚損)、カギを盗まれドアのカギ交換をした場合(ドアロック費用)など、 火災とは一見関係ないようなケースも補償されている事があります。

この補償範囲、広ければ広いほど安心ではありますが、その分保険料が高くなってしまうので注意が必要です。 もし、現在そんな「フルカバータイプ」の火災保険に入っているならば、 必要な補償だけをチョイスできる「バラ掛けタイプ」に変えられないか検討してみましょう。 なぜなら、補償をスリム化する事によって、支払う保険料を安くする事ができるかもしれないからです。

下記はセゾン自動車火災保険の補償範囲の広いタイプ「住宅総合保険」とバラ掛けタイプ「じぶんでえらべる火災保険」の保険料を比較したものです。

セゾン自動車火災保険ホームページより)

風災や水災などいくつかの補償を外したことにより、「じぶんでえらべる火災保険」の方が安くなりました。 差額は25万円ほど。このケースでは、保険料を半分以下にまで減らせる事ができるのです。

上記は一括払いで計算していますが、支払方法は年払いや月払いもあり、保険期間も1~36年と、自由に設計する事ができます。 セゾン自動車火災保険のホームページで何度でも試算できますから、ぜひ利用してみてくださいね。

一手間かけて埋蔵金ゲット?

「うちはすでに長期一括払いしているので、乗り換えはムリなのでは?」と思われる方は、 一度加入している保険会社に聞いてみましょう。火災保険の場合、途中で解約しても未経過分の保険料がそのまま戻る場合があります。 (金額は保険会社によって違います)

例えば上記のセゾン自動車火災保険の「住宅総合保険 保険期間35年」のものを、 ちょうど10年で解約した場合、戻ってくるのは約34万円です。残りの期間25年分を「じぶんでえらべる火災保険」に乗り換えたとしたら、 保険料は約15万円。34万円から15万円を払っても、手元に19万円(34万円ー15万円)が残ります。 多少の手間はかかりますが、このように家計を助ける意外な埋蔵金を見つけることができるかもしれません。

私が書きました

神田 理絵 (かんだ りえ)

ファイナンシャル・プランナー、住宅ローン・アドバイザー、心理カウンセラー。

大学卒業後、大手総合商社へ入社し、貿易事務に携わる。その後、税理士事務所、社会保険労務士事務所を経て2005年に独立。現在は生命保険や住宅ローンの見直し、資産運用に関する相談や、各種マネーセミナー、FP資格取得講座の講師、コラムの執筆等で活躍中。大人だけでなく、小学生向け金銭教育活動にも力を注いでおり、首都圏を中心に、今までの実務経験と女性の感覚を生かした独立系FPとして活動中。

※執筆日:2009年05月27日