第280回

グリーン税制対象の新車購入で経費を節約!

引っ越した関係で自動車が必要になり、購入を考えています。ガソリン代はだんだん高くなっていきそうなので、自動車関係の経費を節約する方法を教えて下さい。それに、自己資金のみでは購入できないかもしれないので、月々の負担の軽い自動車ローンがあったら教えて下さい。(YMさん/36歳/茨城県)
グリーン税制対象の新車を購入すれば税金とガソリン代の節約ができます。また、月々の負担の軽い自動車ローンが希望なら、残価設定型自動車ローンを検討してみましょう。

グリーン税制とは?

原油価格高騰の影響でレギュラーガソリン価格は上昇し続け、7月には1リットルあたり180円の大台に乗りました。ガソリン代の高騰は、自動車を所有するご家庭の家計のやりくりに影響を与え、自動車の運転を控える人や、なかには自動車を手放す人もいらっしゃるかと思います。一方で、YMさんのように生活環境の変化によって自動車が今後どうしても必要になるという方もいます。このように、自動車が必需品で購入や買い替えを考えている方は、環境にもおサイフにもやさしいグリーン税制対象の新車購入を一度検討してみましょう。

グリーン税制とは、地球温暖化防止・大気汚染防止の観点から、環境にやさしい車の開発・普及促進を図るため、排出ガス・燃費性能の優れた新車を購入する場合に、自動車取得税と自動車税を軽減する特例措置のことです。その概要は下記の通りです。

  自動車取得税 自動車税
(1)2010年燃費基準+15%、
+20%達成車
課税標準より15万円控除 約25%軽減
(2)2010年燃費基準+25%
以上達成車
課税標準より30万円控除 約50%軽減

※ガソリン車:平成17年排出ガス基準75%低減車:2010年3月31日までに新規登録した車


この特例措置により、車を購入したときにかかる自動車取得税は(1)の車は7,500円、(2)の車は15,000円の節約ができます。また、毎年かかる自動車税は、登録翌年度1年分ですが、(1)の車は約25%、(2)の車は約50%安くなります(軽自動車は対象外)。一般にエコカーと呼ばれているクリーンエネルギー車(ハイブリット車、電気自動車、天然ガス車など)も、内容は少し異なりますが特例措置が適用されます。また、クリーンエネルギー車は任意の自動車保険の保険料が3%割引され、車には欠かせない維持費の1つである保険料の節約ができます。

グリーン税制対象の車は燃費性能にも優れているので、地球環境にやさしいだけでなく、ガソリン代の節約もできます。例えば、年間走行距離が10,000kmの場合、燃費が19km/リッターの車は約526リッター、同じく20km/リッターの車は500リッターのガソリンを消費するので、レギュラーガソリン価格を180円/リッターとして計算すると、ガソリン代は前者で94,680円、後者で90,000円かかることになります。この差は、燃費の差が大きいほど、走行距離が長くなるほど大きくなることはおわかりですよね。ガソリン代の節約方法はいろいろありますが、燃費の良い自動車を使うことも1つの方法ということです。

残価設定型自動車ローンとは?

自動車を購入するときには、購入した後の維持費(ガソリン代や車検代、メンテナンス費用、自動車保険の保険料、駐車場費用の支払いなど)も考慮した上で、自己資金と自動車ローンの借入れのバランスを考えたいものです。YMさんは自己資金+自動車ローンの活用を検討されているようで、月々の負担の軽いローンをお探しとのこと。このような希望をお持ちの方は、残価設定型自動車ローンを利用する方法もあります。

残価設定型自動車ローンとは、車両を一定期間後(3~5年後が多いようです)に下取りした場合にいくらになるか(残価)を設定し、車両価格と残価の差額分について、金利を含めて分割で支払うローンのことです。通常の自動車ローンと比べて、月々の負担が軽いという特徴があります。一定期間が経過した後は、残価について一括または分割払いにして車両を買い取る、車両をローン会社に返す、別の車両に買い替える、という3つの選択肢から選ぶことになります。残価設定型ローンは、転勤などで生活環境が変わりやすい方や、いろいろな自動車に乗りたいと考えている方には使い勝手のいいローンといえますね。

※グリーン税制対象の車などの詳細は国土交通省のホームページで確認してください。

※グリーン税制では、自動車税は初年度登録より14年目から10%増しになります。

私が書きました

小川 千尋 (おがわ ちひろ)

ファイナンシャル・プランナー。

1994年ファイナンシャル・プランナー資格取得。資格取得後、以前から携わっていた出版物の編集・執筆の経験を活かし、独立系ファイナンシャル・プランナーとして、マネー誌や一般誌、新聞、ウエブサイトなどのマネー記事の編集・執筆・監修などの執筆関連業務および個人のライフプランなどの相談業務、セミナー講師として活動。

※執筆日:2008年08月28日