第1114回NEW

住宅ローン減税で最優遇される認定長期優良住宅・認定低炭素住宅とは?

子どもの成長に伴いマイホームの購入を考えています。資金プランを検討しているのですが、住宅ローン減税で最も借入限度額が高く設定されている認定長期優良住宅・認定低炭素住宅とは、どんな住宅なのでしょうか。(会社員 35歳)
認定長期優良住宅・認定低炭素住宅はどちらも環境に配慮した省エネ住宅ですが、認定基準や税制措置などが異なります。このような住宅は光熱費や修繕コストの削減も期待できますので、トータルの費用で住宅取得資金計画を考えてみましょう。
環境にやさしい家

令和7年度税制改正で住宅ローン減税はどうなる?内容を確認

2050年のカーボンニュートラルや2030年度の温室効果ガス排出削減目標の実現に向けた取り組みとして、2022年6月に「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」が改正されました。このため2025年4月以降、原則全ての建築物について、省エネ基準への適合が義務化されることになりました。2024年からは省エネ水準を満たさない新築住宅は住宅ローン減税が受けられなくなっています。

2024年12月に発表された「令和7年度税制改正大綱」によると、住宅ローン減税は概ね現在の内容が延長となり、子育て世帯等への優遇策も継続となる見込みです。

住宅ローン減税に関する借入限度額等の要件(新築住宅・買取再販の場合)
  住宅区分 2024(R6)年・2025(R7)年 入居
借入限度額 認定長期優良住宅
認定低炭素住宅
4,500万円
子育て世帯等(※)5,000万円
ZEH水準省エネ住宅 3,500万円
子育て世帯等(※)4,500万円
省エネ基準適合住宅 3,000万円
子育て世帯等(※)4,000万円
その他の住宅 0円
(2023年までに新築の建築確認:2,000万円)
控除期間 13年(「その他の住宅」は、2024年以降の入居の場合、10年)
所得要件 2,000万円
控除率 0.7%

出典:令和7年度税制改正大綱概要(国土交通省)より筆者作成

(※)「19歳未満の子を有する世帯」又は「夫婦のいずれかが40歳未満の世帯」

上記は2025年1月現在の情報ですので今後の発表で最終確認することが必要です。

認定長期優良住宅・認定低炭素住宅とは?

2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅について住宅ローン減税を受けるには、改正された建築物省エネ法に基づく省エネ基準に適合する必要があります。

ZEH水準省エネ住宅や省エネ基準適合住宅も、それぞれ断熱等性能等級や一次エネルギー消費量等級の基準を満たした省エネ住宅ですが、住宅ローン減税で最も借入限度額が高く設定されているのは、認定長期優良住宅と認定低炭素住宅です。

認定低炭素住宅は、断熱等性能等級や一次エネルギー消費量等級の基準を満たし、さらに再生可能エネルギー利用設備の導入が必須となっています。また、節水対策、建築物(躯体)の低炭素化などの措置を取ることも求められています。CO2の排出量を削減して地球温暖化を抑制することを目的とし、省エネ性能、再エネに比重が置かれた住宅といえるでしょう。

認定長期優良住宅は、長期にわたって安全で快適に住み続けることを目的とし、省エネ性能に加え、劣化対策や耐震性などの総合的な条件を満たした住宅です。長期的に見ると、修繕や建て替えにかかる費用を抑えることも可能でしょう。

なお、低炭素建築物、長期優良住宅のそれぞれについて認定申請し、両方の認定を受けることも可能です。

税制や維持費も踏まえたトータル費用で住宅取得プランを考えよう

認定長期優良住宅・認定低炭素住宅は、建築材料や設備のコストがかかるため建築費は高価になる場合もありますが、地球温暖化防止のために国が推進する政策だけに、補助金が活用できる場合もあります。どちらも住宅ローン減税の限度額は最も高く、認定長期優良住宅には、固定資産税の減額措置適用期間の延長など、より幅広い税制特例措置があります。

断熱性能の高い住宅は、近年高騰している光熱費の節約も期待できますし、太陽光発電システムなどを設置した住宅は、災害時の停電にも備えることができるなどのメリットもあります。これから新築住宅を購入される場合は、取得費だけでなく、税金や修繕コストなど長期的なコストも含めたトータルの費用で住宅取得プランを考えてみましょう。

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私が書きました

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福島 佳奈美 (ふくしま かなみ)

ファイナンシャルプランナー(CFPR)。

大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務し、出産を機に退社。子育て中の2006年にファイナンシャルプランナー(CFPR)資格を取得する。その後、教育費や保険・家計見直しなどのセミナー講師、幅広いテーマでのマネーコラム執筆、個人相談などを中心に、独立系FPとして活動を行っている。

※執筆日:2025年01月17日