第1089回

「億ション」が買える年収は?住宅ローン返済額をシミュレーション!

マンションの購入を検討しています。妻もフルタイムで働いており、いわゆる「億ション」と呼ばれる物件も選択肢に入れたいと思っていますが、どれくらいの年収があれば購入可能でしょうか。(41歳 会社員)
住宅ローンを借りる際に無理なく返済できるとされている返済比率の目安は25~30%です。将来のライフステージの変化も考慮し、無理なく返済できる金額からマンションの購入を検討しましょう。
マンション

新築マンション価格の高騰が続く

近年、人件費や資材価格の高騰を背景に新築マンションの価格が高騰しています。特に首都圏の価格高騰が目立ち、東京23区内では物件価格が1億円を超える「億ション」が珍しくない存在となりました。さらに、首都圏以外の地方都市でも立地に優れたエリアでは、「億ション」が増加しています。

「億ション」を買える世帯年収はいくら?

どれくらいの年収があれば「億ション」を買うことができるでしょうか。1億円を返済期間30年と35年、適用金利1.5%と2.5%で借り入れた場合の試算を見てみましょう。

借入金額1億円の返済金額の比較
返済期間 適用金利 毎月返済額 年間返済額 返済総額
30年 1.5% 34.6万円 414.2万円 1億2,425万円
2.5% 39.6万円 474.2万円 1億4,225万円
35年 1.5% 30.7万円 367.5万円 1億2,860万円
2.5% 35.8万円 429.0万円 1億5,015万円

※イー・ローン 住宅ローンのこだわり返済額シミュレーションで筆者試算
※ボーナス返済:しない、返済方式:元利均等返済

住宅ローンを利用する場合に注意しなければならないのが返済比率(返済負担率)です。返済比率とは「年収に占める年間返済額の割合」を表し、「年間返済額÷年収×100」という計算式によって求めることができます。一般に、無理なく返済できる返済比率は25%程度とされていますが、今回は「億ション」購入を検討するほどの高所得世帯ですので、返済比率30%で考えてみます。

1億円を返済期間35年、金利1.5%で借り入れる場合の年間返済額は367.5万円です。これを年収の30%以内に収めるには1,225万円以上の手取り年収が必要です。手取り年収が1,225万円以上ということは、額面年収はおおよそ1,750万円以上という計算になります。もちろん、購入金額の全額を借り入れる必要はなく、自己資金の一部を頭金として入れ、借入金額を下げることができれば、「億ション」購入が可能になる年収は下がります。

「億ション」購入時の注意点

借入可能額

「億ション」を購入する際には住宅ローンを利用する人が多いと思います。その際、金融機関によって借入可能額や融資条件が異なり、1億円以上の融資を受けられない場合があります。自己資金をしっかり準備するとともに、借り入れを検討している金融機関の情報収集をしましょう。

購入時の諸費用

「億ション」購入時にかかるのは物件の費用だけではありません。印紙税や登記費用、登録免許税、住宅ローンの事務手数料や保証料などの諸費用が必要です。これらの費用は物件価格が大きいほど高額になるものも多いため、考慮しておく必要があります。

維持・管理費

購入後の維持費も注意が必要です。固定資産税はもちろんのこと、「億ション」と呼ばれるような高級物件は設備も高級で、管理費や修繕積立金も高額になる傾向があります。駐車場代や火災保険・地震保険も必要です。住宅ローンの返済だけでなく、維持費も含めたマネープランを立てることが大切です。

ライフステージの変化

夫婦でペアローンを組む場合などは、出産や育児によって収入が減ったり離職したりする可能性も考慮しておく必要があります。転職や独立を考えている場合も同様です。返済が困難になると家を手放さなければならなくなってしまいます。そのような事態にならないよう、夫婦の働き方や家族計画についてよく話し合い、無理のない物件を探し、無理のない返済計画を立てましょう。

【参考リンク】

私が書きました

宮野 真弓 の写真

宮野 真弓 (みやの まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP(R))、一級ファイナンシャル・プランニング技能士。

大学在学中にFP資格を取得。証券会社、銀行、独立系FP会社を経て独立。忙しくても無理なく実践できるメリハリ家計を提案するママFP。 ライフプラン全般の相談業務や家計簿診断、ライフプランセミナー講師、FP資格取得講座の講師として活動中。 学校での金銭教育にも注力している。

※執筆日:2024年07月18日