第1073回
住宅ローンの審査に落ちてしまった…何を見直すべき?
- 申込んだ住宅ローンの審査に落ちてしまいました。マイホームをあきらめないために、何かできることはないでしょうか?(Kさん・会社員、33歳)
- 住宅ローンについて、金融機関はどこを見て審査しているのかについて知っておきましょう。審査に落ちた理由は教えてもらえませんので、なぜ落ちたのか原因を推測し、対策を考えましょう。
「申込条件」にヒントがある
住宅ローンの審査に落ちると、ショックを受けますよね。理由は教えてもらえないため、どうしたらいいのと悩んでしまうケースもあります。原因が推測できないと次の手が打てませんので、まずは冷静に点検をしてみましょう。
住宅ローンを申込む際には、金融機関が提示している「申込条件」をクリアしなくてはなりません。「申込みができる」として金融機関が提示している条件ですが、審査基準の一部でもあります。
住宅金融支援機構のフラット35で具体的に見ておくと、表のような内容になっています。注意すべき点としては、「総返済負担率」とは年収に占める年間合計返済額の割合で、すでに借りている住宅ローンや自動車ローン、教育ローン、カードローン、クレジットカードのキャッシングや分割払い、リボ払いなども含まれます。
この申込条件は金融機関によって異なります。Kさんも、申込みをした金融機関の申込条件を見直してみてください。
申込みできる人 |
・申込時の年齢が満70歳未満(親子リレー返済は満70歳以上も可) ・日本国籍の方、永住許可を受けている方または特別永住者の方 ・すべての借り入れに関して、総返済負担率が基準を満たす方 年収400万円未満 30%以下 年収400万円以上 35%以下 ・共有物件の場合は、申込み本人が共有持分を持っている |
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資金使途・対象住宅 |
・本人または親族が住む新築住宅の建設・購入資金または中古住宅の購入資金 ・住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合する住宅 ・住宅の床面積が基準に適合する住宅 一戸建て住宅等 70m2以上 マンション等 30m2以上 |
借入期間 |
・15年(本人か連帯債務者が60歳以上は10年)以上で、(1)(2)のいずれか短い年数。 (1)80歳-申込時の年齢(1年未満切上げ、親子リレー返済は後継者の年齢) (2)35年 |
担保 |
・対象住宅・敷地に住宅金融支援機構を抵当権者とする第1順位の抵当権を設定 |
(フラット35サイトを参照し筆者作成)
金融機関はここを見ている
国土交通省の調査によると、9割以上の民間金融機関が「融資を行う際に考慮する項目」と答えたものは以下の通りです(複数回答)。
融資を行う際に考慮する項目(複数回答)
- 完済時年齢(98.7%)
- 健康状態(97.9%)
- 借入時年齢(97.2%)
- 担保評価(96.1%)
- 勤続年数(93.2%)
- 連帯保証(93.1%)
- 返済負担率(93.0%)
- 年収(92.9%)
(国土交通省「令和4年度民間住宅ローンの実態に関する調査」)
申込条件とかぶるものも多いですが、例えば、民間の金融機関では「団体信用生命保険(団信)に加入できること」が申込条件に入っていることもあり、重要なポイントになっています。ただし、最近は持病があっても入れるタイプの団信(有料)もあります。勤続年数は金融機関で条件が異なりますが、一般に転職直後は不利と言えます。担保評価をチェックしている点も注意が必要です。
対策はどうする?
原因を推測して何か思い当たる点があれば、その点を改善したうえで別の金融機関などに申込みをすることになります。
たとえば、返済負担率ではないかと推測される場合。返済負担率の上限まで申込むと、その分審査は厳しくなると言われます。借入金額を下げる、返済期間を延ばす、収入合算やペアローンにするなどで、返済負担率を下げるといいでしょう。
なお、審査基準は金融機関で異なるので、次に申込む際には、銀行だけでなく信用金庫の住宅ローンや、住宅金融支援機構が民間金融機関と提携して取り扱うフラット35等も候補にして申込んでみるのも1つの方法です。
審査に落ちた原因がどうしてもわからないという場合は、全国銀行個人信用情報センター、日本信用情報機構(JICC)、CICといった信用機関に開示請求手続きをして確認してみてもいいかもしれません(有料)。忘れていた過去の延滞など、何かわかるかもしれません。信用情報に関わる場合は、情報が消えるまで待つことになります(登録から5年間)。
私が書きました
ファイナンシャル・プランナー、シニアリスクコンサルタント。
20代前半より経営誌や経済誌、女性誌と広く手がけるライターとして個人事業を展開。1995年より独立系FPとして、雑誌やムック、新聞、サイトへの寄稿・監修、相談業務、講師などで活躍。「今日からの お金持ちレシピ」(明日香出版)をはじめ共著本など多数。
※執筆日:2024年04月01日