第1059回

高校の授業料無償化の動きが加速!最新の動向をチェック

東京都の高校の授業料無償化の所得制限撤廃が話題になっています。都内在住ではないため、わが家は恩恵を受けられないのかと残念に思う反面、今後、無償化が他の自治体にも広がるのであれば、末っ子の高校入学時には負担が減るかもしれないという期待も抱いてしまいます。どのような心づもりで教育資金の準備をすればいいでしょうか。(48歳 会社員)
東京都と大阪府が、高校の授業料無償化の所得制限撤廃の方針を打ち出しました。今後、大都市圏から無償化の動きが広がる可能性もあり、期待しながら注視していきたいところです。一方で、期待通りに無償化が進まないことも考えられるため、教育資金の準備はこれまでの計画どおりに進めるようにしましょう。

高校の授業料無償化制度

まずは国の高校の授業料無償化制度(高等学校等就学支援金制度)を確認しておきましょう。

高等学校等就学支援金制度は、要件を満たす世帯に対して高校等の授業料に充てるための支援金を支給するものです。支援金の金額は、公立の全日制高校の場合は年間で11万8,800円(月額9,900円)、私立の全日制高校の場合は年間で39万6,000円(月額33,000円)または11万8,800円(月額9,900円)です。支援金を受給するには所得制限があり、働いている人の人数や家族構成によって所得制限の金額が異なります。

例えば、両親と高校生1人の家庭で両親の一方が働いている場合、世帯年収が約910万円未満であれば国公立私立を問わず年間11万8,800円が支給され、世帯年収が約590万円未満で私立高校に通う場合には年間27万7,200円が加算されます。なお、受給できる支援金の金額よりも授業料の方が高い場合には差額を支払う必要があります。

費用はかかる前提で教育資金の準備を

一部の自治体では、独自の支援金制度や補助金制度を設けているところもあり、所得制限なども国の制度と異なる場合があります。東京都はこれまでも支援金の上乗せや所得制限の緩和を行っていましたが、2024年度から所得制限を撤廃し、私立校を含めたすべての高校の授業料を実質無償化する方針を固めました。また、大阪府も高校の授業料の完全無償化を目指しています。

東京都や大阪府にならって、他の自治体でも高校の授業料無償化が拡充される可能性はありますが、地域や時期など、期待通りに進まないことも考えられます。教育資金の準備の方針としては、無償化拡充の動向を注視しながらも、教育資金がかかる前提で準備を進めるのが得策です。

また、無償化されるのは授業料のみで、授業料以外の費用はかかります。授業料以外の主な費用は、入学金、設備整備費、クラブ活動費、通学費、制服代などで、文部科学省の「令和3年度 子供の学習費調査」によると、私立の全日制高校の授業料を除く学校教育費は10万円を超えています。入学初年度は準備物も多く、想定していたよりも費用がかかったり、学校によってはさらに高額になるケースも見受けます。予想外の出費に備えるためにも、教育ローンや奨学金制度についても事前に確認しておき、お子様が合格した学校へ安心して通わせてあげられるよう、計画的な教育資金の準備を進めましょう。

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私が書きました

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宮野 真弓 (みやの まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP(R))、一級ファイナンシャル・プランニング技能士。

大学在学中にFP資格を取得。証券会社、銀行、独立系FP会社を経て独立。忙しくても無理なく実践できるメリハリ家計を提案するママFP。 ライフプラン全般の相談業務や家計簿診断、ライフプランセミナー講師、FP資格取得講座の講師として活動中。 学校での金銭教育にも注力している。

※執筆日:2023年12月25日