第1054回

申込時じゃない!?住宅ローンの適用金利が決まるタイミングは?

先日、マンションのモデルルームを見学し、気に入ったので購入を検討しています。完成は1年以上先になるそうですが、住宅ローンは今の金利が適用されるのでしょうか。(Iさん 千葉県 40歳)
一般的な住宅ローンは、融資が実行される物件の引き渡し時の金利が適用されます。金利決定のタイミングを踏まえた資金計画を立てるようにしましょう。

住宅ローンの金利決定のタイミングは?

住宅ローンを利用する際は、なるべく金利の低い金融機関を選ばれるのではないでしょうか。しかし、申込みをして審査を通過すれば契約となりますが、融資の際に申込時の金利が適用されるとは限りません。

住宅ローンの適用金利は、「申込時金利」か「融資実行時金利」のどちらかになります。金融機関で住宅ローンを利用するには、財形住宅融資では「申込時金利」が適用されますが、フラット35や民間の金融機関の住宅ローンでは、「融資実行時金利」が適用されるのが一般的です。住宅ローンの融資が実行されるのは、物件が引き渡される時となりますので、申込時の金利と異なる場合があります。

申込みから融資実行までの期間はどれくらい?

住宅ローンの申込みから物件の引き渡し、つまり融資実行までの期間は物件の種類によって大きく異なります。

中古住宅や既に建物が完成している新築住宅等では、申込みから引き渡しまでの期間は比較的短くなります。しかし、注文住宅や建築前、建築中のマンション等では数か月から数年先となる場合もあります。この間に住宅ローンの金利が上昇すると、思いがけず金利の負担が増えてしまう可能性もあるのです。

住宅ローン金利の状況は?金利上昇の場合にも対応できる資金計画を!

住宅ローンの金利は、大きくは固定型と変動型に分けられますが、それぞれ金利の決まり方が異なります。一般的に、固定型の基準金利は新発10年物国債の利回り(長期金利)に連動し、変動型は金融機関が優良企業に対して1年未満の短期の融資を行う際の最優遇金利である短期プライムレート(短プラ)に連動しています。短プラは2009年以降変動が見られないため、変動型の金利にまだ変化は見られません。しかし、固定型の金利は、円安や長期金利の動向により、最近は上昇傾向にあります。今後、政府の金融政策や世界情勢によっては変動型にも金利上昇の動きが出てくる可能性もあります。

これから住宅購入を検討する際には、ある程度の金利上昇を見込んで予算を設定し、無理なく返せるかどうかを判断するようにしましょう。ローン申込みから引き渡しまでの期間が長くなる場合は、特に金利の動向に注意しておく必要があります。今後のライフプランも無理なく実行できるよう、余裕を持った返済計画を立てるようにしましょう。

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私が書きました

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福島 佳奈美 (ふくしま かなみ)

ファイナンシャルプランナー(CFPR)。

大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務し、出産を機に退社。子育て中の2006年にファイナンシャルプランナー(CFPR)資格を取得する。その後、教育費や保険・家計見直しなどのセミナー講師、幅広いテーマでのマネーコラム執筆、個人相談などを中心に、独立系FPとして活動を行っている。

※執筆日:2023年11月16日