第1045回
不動産担保ローンを利用するために用意すべき書類は?
- 脱サラして自営業を始めて今年で7年になりますが、約3年続いたコロナ禍が明け、売上も回復してきました。そこで、事業のさらなる成長、拡大のために、金融機関から融資を受けて投資資金を確保しようと考えています。幸い、土地と建物を保有しているので、長期に渡る返済期間が設定でき比較的低い金利で借りられる不動産担保ローンを利用しようと思っています。手続きをするためにはさまざまな書類等を提出する必要があるようですが、担保として提供する不動産に関する書類等にはどんなものがあるのでしょうか。(山梨県 40代 男性)
- 不動産担保ローンを利用する時には、金融機関からさまざまな書類等の提出が求められます。事前審査の段階では、申込者の本人確認や返済能力の確認のための書類や、担保として提供する不動産の価値を評価するための書類が必要です。不動産に関する書類の中には、法務局で取得が必要なものもあります。金融機関の求めに応じて、不備や漏れがなく提出できるようにしましょう。
金融機関の審査で必要な本人確認、返済能力確認のための書類は?
個人事業主が不動産担保ローンを利用する場合、金融機関が本人確認や返済能力を確認するために必要な主な書類には以下のものがあります。
- 本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証、パスポート等)
- 確定申告書(税務署の押印、または、電子申告の受付書があるもの)
- 青色申告決算書(青色申告をしている場合)
- 事業計画書等
なお、確定申告書の代わり、または補足資料として、納税証明書(税務署にて発行)や所得証明書(市区町村役場にて発行)が必要な場合もあります。
担保として提供する不動産に関する必要書類は?
担保として提供する不動産に関する必要書類は、金融機関によって異なるものの、次のようなものがあります。
- 登記事項証明書(=「登記簿謄本」。土地・建物などの不動産の所有者の氏名・住所、不動産の所在地・大きさ・構造・地目等が記載された証明書)
- 公図(土地の地番・大まかな形状や大きさ・隣接地との位置関係等がわかる地図)
- 地積測量図(土地面積・長さ・幅・境界線の種類や位置等がわかる測量図)
- 建物図面(建物の形状や配置等がわかる図面)
上記4種類の書類は、いずれも法務局で誰でも取得することができます。そのため、金融機関が取得して確認する場合もあります。なお、土地や建物によっては地積測量図や建物図面がないこともあります。
- 評価証明書(固定資産の評価額等が記載されたもの)
- 公課証明書(固定資産税額が記載されたもの)
上記2種類の書類は、市区町村役場で、不動産の所有者が取得する必要があります。
- 担保不動産のローン残高が確認できる残高証明書、返済予定表など
担保不動産にローンが残っている場合、借り入れを行っている金融機関から送付されるものです。
複数の金融機関の商品を比較・検討して、できるだけ有利なものを選ぶことが大切!
審査に必要な提出書類以外にも、融資の契約時などでは、
- 実印
- 鑑証明書
- 登記済権利証、または、登記識別情報通知
- 住民票(同居家族全員の続柄が記載されているもの)
なども必要になります。
いずれにしろ、書類等は、金融機関からの具体的な案内にしたがって、不備なく、漏れなく取り揃えて提出しなければなりません。書類によっては取得に日数がかかる場合もあるため、必要に応じて早めに手配しておくと安心です。
不動産担保ローンは、多くの金融機関が取り扱っており、借入条件等がそれぞれ異なります。利用する前には、複数の金融機関の商品の金利タイプ、金利水準、諸費用等を細かく比較・検討した上で、できるだけ有利なものを選択するようにしましょう。
私が書きました
ファイナンシャル・プランナー。FPオフィス・ワーク・ワークス 代表。
教育出版社勤務後、2003年にファイナンシャルプランナーとして独立。「お客様のお金の不安を解消する」をモットーに、1,500件を超える個人相談、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿等を中心に活動。無料メルマガ「生活マネー ミニ講座」を配信中。著作 「自分のお金の育て方」(祥伝社)、「老後に破産する人、しない人」(KADOKAWA中経出版)。
※執筆日:2023年09月14日