第1042回
ビジネスローンの利用は、事業運営に必要な目的で、必要な分だけ！
- 個人で事業を営んでいますが、運転資金が不足しそうなのでビジネスローンの利用を検討中です。初めて利用するのですが何か注意点はありますか？（Tさん 40代）
- 無駄な支出の見直しや経費削減などの対策を行っても事業資金が不足するような場合には、ビジネスローンを検討してみましょう。あくまでも事業用資金にしか利用できませんので、生活費と区別して資金を管理し、計画的に返済していきましょう。
ビジネスローンの利用目的を確認
個人事業主や法人の役員の方は、資金調達の手段としてビジネスローンの利用を検討されることも多いのではないでしょうか。ビジネスローンは保証人や担保が不要で、事業に利用するのであれば、資金使途は自由である場合も多いローンです。
ただ、あくまでも事業に関する資金に利用するローンなので、原則、個人の生活費や投機的資金に利用することはできません。個人事業主の方は生活費と事業の経費が混在し、資金使途があいまいになりがちですので特に注意が必要です。
法人向けのビジネスローンでは、融資申込みの際に「連続した直近3ヵ月分の法人口座の入出金明細」が必要な商品もあります。事業用資金のお金の流れは、融資審査にも影響すると考えられます。
ビジネスローンを個人の生活費や本来の事業とは無関係の投機等へ利用したことが発覚すると、ペナルティとして融資金額の一括返済を求められることもありますし、今後の融資審査にも影響し資金調達が難しくなる可能性もあります。事業用の経費とプライベートな出費はきちんと区別して管理しなければなりません。
事業用経費とプライベートな出費の管理方法
事業用の経費とプライベートな出費を分けて管理する具体的方法は下記のようなものが考えられます。
銀行口座を分ける
事業用と生活用とで銀行口座を分けて、事業用の入出金は事業用口座で行うようにしましょう。事業用の口座から生活費を移動させる場合は一定額を移動させるようにし、それぞれの口座に記録が残るようにしましょう。
クレジットカードを分ける
クレジットカードも事業用に利用するものを決めて、引き落としも事業用口座から行うようにするとお金の流れを把握しやすくなります。
領収証の管理・経理処理を明確にする
領収証は、何にいくら使ったかを証明することができる公的な書類です。事業とプライベートで使うものを同時に購入すると経理処理も面倒になりがちですので、できるだけ別に支払うようにしましょう。同時に払った場合にはメモ等で公私がわかるように区別し、経理処理もきちんと行いましょう。
ビジネスローンは必要な分だけを借りる
当然ながらビジネスローンを利用すれば利息負担が生じます。多めに借りると利息の負担も増えますので、事業に必要な分だけを借り入れて計画的に返済するようにしましょう。また、有担保のビジネスローンであれば担保がある分金利は低めになります。不動産等の資産を保有し、お金が必要になるまで時間に余裕があれば検討してみてください。
事業に無関係な使途が発覚すると金融機関の信頼関係にも影響してきます。事業とプライベートを区別するためには、お金の流れを把握しやすいように管理方法を工夫し、使途を明確にすると良いでしょう。
私が書きました
ファイナンシャルプランナー（CFPR）。
大学卒業後、情報システム会社で金融系ＳＥ（システムエンジニア）として勤務し、出産を機に退社。子育て中の2006年にファイナンシャルプランナー（CFPR)資格を取得する。その後、教育費や保険・家計見直しなどのセミナー講師、幅広いテーマでのマネーコラム執筆、個人相談などを中心に、独立系ＦＰとして活動を行っている。
※執筆日：2023年08月24日
