第1035回
住宅ローン返済中の引っ越し。状況に応じて適切な対応を。
- 5年前にマイホームを購入し、現在住宅ローンを返済中なのですが、転勤が決まりました。子どもがいることもあり、家族で引っ越すか単身赴任にするか検討中です。住宅ローン返済中に引っ越す場合、どうなるのか教えてください。(41歳 会社員)
- 住宅ローンは、契約者本人が居住する住宅の取得資金を貸し出す商品です。転勤などで契約者が引っ越す場合は、単身赴任なのか、家族も一緒に引っ越すのかや、現在の自宅をどうするのか等によって対応が異なります。まずは現在住宅ローンを返済している金融機関に相談しましょう。
単身赴任をする場合
一般的に、住宅ローンは対象となる住宅に契約者本人が居住していることを条件に、低金利で貸し付けを行っています。単身赴任の場合、契約者本人は居住しなくなりますが、家族が引き続き居住していれば、同条件でローン契約を継続できる場合が多いです。住宅ローン控除も引き続き適用を受けることができます。
ただし、契約者本人が転勤で単身赴任をすることは事前に借入先の金融機関に連絡しておきましょう。
家族も一緒に引っ越す場合
一方、家族も一緒に引っ越す場合は、現在の自宅をどうするかによって対応が異なります。主な選択肢としては、空き家のままにしておく、売却する、賃貸物件として貸し出すの3つがあります。
(1)空き家のままにしておく
転勤が一時的で自宅に戻ってくることが決まっている場合などは、空き家のままにしておくこともあると思います。転勤などのやむを得ない事情で一時的に空き家になる場合、事前に借入先の金融機関に相談し、承諾を得ることができれば、住宅ローン契約の継続が可能な場合があります。金融機関に無断で引っ越して空き家にしてしまうと、契約違反となり、住宅ローンの残債の一括返済を求められる場合がありますので、注意が必要です。一括返済が求められ、手持ちの資金では不足する場合には、不動産担保ローンなどの利用を検討しましょう。不動産担保ローンを利用する場合は、住宅ローンではないため、住宅ローン控除は適用されません。
住宅ローン契約を継続できた場合でも、空き家にしている期間は住宅ローン控除の適用を受けることはできません。自宅に戻った時点で減税期間が残っていれば、再度適用を受けることができます。
(2)売却する
自宅に戻ってくる可能性が低い、転勤先で新たに住宅の購入を検討する場合などは、住宅の売却もひとつの方法です。住宅の売却金額が住宅ローン残高よりも高ければ、売却代金で住宅ローンを一括返済します。
売却代金が住宅ローン残高よりも少ない場合は、手持ち資金を取り崩すなどして返済します。転勤先で新たに住宅の購入を検討している場合には、住み替えローンの利用も選択肢になります。住み替えローンは、新たな住宅の購入資金に加えて、売却代金だけでは返済しきれない現在の住宅ローン残債分も借り入れることができる商品です。条件を満たせば、住宅ローン控除の適用を受けることが可能です。住み替えローンは借入金額が大きくなるので、返済計画をしっかりと立てておくことが大切です。
(3)貸し出す
自宅を引き続き保有し、賃貸物件として貸し出せば、家賃収入を得ることができます。家賃相場や管理コストなどを把握し、検討してみましょう。
自宅を賃貸物件として貸し出す場合にも、事前に住宅ローンの借入先の金融機関に相談しましょう。転勤などの理由で一時的に貸し出す場合には、引き続き住宅ローン契約を継続できる場合もありますが、金融機関の判断によっては賃貸物件用のローンに切り替えなければならない場合もあります。金融機関に無断で行った場合には、契約違反となり、住宅ローンの残債の一括返済を求められる場合があります。
住宅ローン契約を継続できた場合でも、自分たちが居住していない期間は住宅ローン控除の適用を受けることはできません。自宅に戻った時点で減税期間が残っていれば、再度適用を受けることができます。
早めの行動を
転勤が決まった際に自宅をどうするのかには様々な選択肢があります。しかし物件によっては希望する金額で売却できなかったり、なかなか借り手が見つからなかったりと、希望通りにいかない場合もあります。また、家族の仕事や子どもの学校をどうするかなども併せて考えなければなりません。各所に連絡を取り、見積もりを取り、比較して選択していくとなると時間がかかります。早めに行動を開始し、スムーズに新生活を迎えましょう。