第1023回
新型コロナウイルスが「5類」に!医療費はどうなる?
- 新型コロナウイルスが5類になると、医療費の自己負担が増えると聞きました。今後もし感染して病院にかかった場合、医療費はどうなりますか?(40代 会社員)
- 新型コロナウイルスが5類に移行することに伴い、これまで無料だった検査や入院に自己負担が求められることになりました。自己負担額は、季節性インフルエンザと同程度になると試算されています。
5類移行後の医療費は?
2023年5月8日から、新型コロナウイルスの感染法上の位置づけが、現在の2類から季節性インフルエンザと同じ5類に移行することになりました。2類に分類されていたこれまでは、検査費用や入院費用(食事代を含む)については公費で賄われていたため患者の自己負担はありませんでした。しかし、5類に移行する5月8日以降は、患者に自己負担が求められます。ただし、急激な負担増加を避けるため、高額なコロナ治療薬については9月末まで公費負担が継続されます。また、入院費用は高額療養費制度の対象となり、9月末までは自己負担限度額が2万円減額されます。
では、外来診療の窓口負担はどの程度になるのか、厚生労働省の試算を見てみましょう。
新型コロナウイルス (解熱剤と治療薬処方) |
季節性インフルエンザ (解熱剤とタミフル処方) |
|
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70歳未満 3割負担 | 最大4,170円 | 最大4,450円 |
75歳以上 1割負担 | 最大1,390円 | 最大1,480円 |
厚生労働省の試算によると、70歳未満で窓口負担割合が3割の人が解熱剤とコロナの治療薬を処方された場合の自己負担額は、最大で4,170円になります。季節性インフルエンザで解熱剤とタミフルを処方された場合が最大4,450円なので、同程度になる見通しです。一方、高額なコロナ治療薬への公費負担がなくなれば、外来での自己負担額は最大で32,470円と試算されています(ラゲブリオを処方した場合)。
傷病手当金や生命保険も確認を
季節性インフルエンザと同程度の負担と考えれば過度に心配する必要はなさそうですが、重症化や治療の長期化によって医療費がかさんだり、仕事ができず収入が得られなくなる場合などはやはり心配です。
健康保険に加入している会社員等は、新型コロナウイルスに限らず、病気やケガの療養で働くことができず十分な給与が得られない場合、傷病手当金が支給されることがあります。傷病手当金は、連続する3日間を含み4日以上仕事を休んだ場合に、4日目から支給されます。1日あたりの支給額は、標準報酬日額の3分の2に相当する額で、支給期間は最長1年6ヶ月です。
また、国民健康保険に加入している自営業などの方には、通常は傷病手当金の制度はありません。しかし、新型コロナウイルスの感染または感染の疑いで、就労することができず給与を受けられない場合に、傷病手当金を支給している自治体もあります。ただし、こちらは5類移行に伴い令和5年5月8日以降は対象外になります。詳しくはお住まいの自治体にお問い合わせください。
民間の医療保険に加入している場合は、他の病気と同様に、入院や通院の給付金が支払対象になります。入院何日目からいくら支給されるのかなど、契約内容を確認しておきましょう。
一時的な家計のピンチを乗り切るには
医療費の急激な負担増加は抑えられるようですが、一時的な家計のピンチを乗り切る方法をあらかじめ検討しておくとさらに安心です。5類移行に伴い、各種助成金の打ち切りや特例の停止など制度の変更もありますので、利用できる制度を事前に確認しておきましょう。
また、一時的な生活費の補填として借り入れが必要な場合に備えて、フリーローンやカードローンを比較検討しておくといいでしょう。カードローンは資金使途が自由で融資限度額内であれば繰り返し利用でき、手軽に利用できる点がメリットです。一方、フリーローンは証書貸付方式のローンで借り入れは1回のみですが、その分、返済計画が立てやすく、また金利はカードローンよりも低めです。
徐々にコロナ前の生活に戻りつつありますが、感染リスクがなくなったわけではありません。いざというときにお金の不安を抱えず治療に専念できるよう、しっかりと備えておきましょう。