第1022回
リフォームを取り扱う会社の種類を把握して目的に合った選択を!
- マンションのリフォームを検討しています。子どもが独立したので、部屋の間仕切りを取り払って広く使いたいと思っています。古くなったキッチンや浴室の取り替えも考えています。リフォームをするにあたり、どのような会社に依頼すればいいのでしょうか? また、ローンを組むとしたら、どのようなローンがあるのでしょうか?教えてください。(神奈川県・Tさん)
- リフォームの内容や規模によって工事を依頼する会社は変わってきます。自分がイメージするリフォームが実現できるよう、依頼する会社の特徴を理解しましょう。また、リフォームローンは多くの金融機関が取り扱っています。金利や借入可能額、返済期間などの違いを比べて、無理のない資金計画を立てることが大事です。
リフォーム工事を依頼する前に、工事の規模、内容、デザインなどをイメージしておく
リフォームと一口に言っても、工事の内容はさまざまです。工事の規模や内容によって、依頼すべき会社も異なります。まずは、自分たちがどのようなリフォームをしたいのか、工事の規模、内容、デザインなどのイメージを持った上で、依頼する会社を検討するとよいでしょう。リフォームを取り扱う会社の種類は大きく分けて6つあります。それぞれの特徴を説明しましょう。
1. 「リフォーム専業の会社」は実績数が多く、リフォームのノウハウが豊富
リフォームにおける最大の注意点は、建物の構造や工法によってできること、できないことがある点です。リフォーム専業の会社であれば、実績が多く、経験も豊富で、幅広いリフォームのニーズに応えることが可能です。依頼する前に、会社のサイトなどで紹介されている施工事例などを見ておくといいでしょう。大規模なリフォーム工事の場合は、建設業の認可を取得しているかどうかもポイントになります。
2. 地域密着型の「工務店」なら、小回りがききやすい
比較的小規模な会社ですが、地域密着型のため、顧客の希望に添った小回りのきくリフォームができるでしょう。自社に設計者がいる場合はすべて自社で行いますが、提携する設計事務所にデザインは依頼し、工事を自社で行うというケースもあります。施工事例の見学や写真などを見せてもらい、どのようなリフォームが得意なのか確認しておきましょう。
3. 新築時の「ハウスメーカー系のリフォーム会社」なら建物の構造を熟知している
現在住んでいる一戸建てやマンションを建築したハウスメーカーやマンション建設会社、その系列のリフォーム会社であれば、自社の建物を熟知しているため、リフォームで問題となる構造上できること、できないことの判断が容易にできます。また新築時から定期点検などがされていれば、リフォームを機に不具合のある箇所も一緒に修繕することができるでしょう。規模の大きいリフォームや耐震工事、間取り変更などをする際は、一度、相談してみるといいでしょう。
4. 「住宅設備メーカー」なら設備機器の取り替えと一緒に内装リフォームもしやすい
キッチンや浴室、トイレなどの水回りの住宅設備メーカーでリフォームするケースもあります。提携している工務店などが工事をすることが多いです。設備機器の取り替えがメインで、その周りの内装の張り替えなどもするリフォームであれば、設備機器の設置に慣れているため安心感があります。このほか、家電量販店やホームセンターも同様に、設備機器の取り替えを中心にリフォームを手がける会社があります。
5. デザイン性を求めるフルリノベーションなら、「建築家や設計事務所」
マンションの部屋全体を取り壊して一から作り上げるフルリノベーションなど、大規模なリフォームや凝ったデザインの部屋に作り替えたい場合は、建築家や設計事務所に相談するといいでしょう。工事費とは別に設計料がかかりますが、細かい希望を汲み取ってもらうことができ、発想豊かなプランが楽しめるでしょう。工事は複数の会社に相見積もりをとることが多いです。
6. 特定の箇所のリフォームなら、「専門に特化した会社」も
家の中だけではなく、カーポートや外構、外壁、サンルーム、デッキ、庭など、特定の箇所に特化したリフォーム会社もあります。メーカーの既製品を設置するだけということもありますが、個性的なデザインを提案してくれる会社も数多くあります。
リフォームローンは担保の有無、金利、返済期間で比較する
リフォームローンは、公的融資と銀行などの民間金融機関で取り扱いがあります。
公的融資は「財形融資」と住宅金融支援機構の「リフォーム融資」です。財形融資は、リフォーム工事の内容についての条件はありませんが、勤務先で財形貯蓄をしており、その貯蓄額によって融資限度額が決まります。住宅金融支援機構の「リフォーム融資」は、耐震改修、バリアフリー改修、省エネ改修が主な対象となり、一般的なリフォームの場合には「リ・バース60」という商品があります。60歳以上が対象で、返済は毎月の利息のみですが、元金は契約者が死亡後に担保物件を売却して返済するという仕組みなので、一般的な利用の仕方とは異なります。
民間では、ほとんどの金融機関でリフォームローンを取り扱っていますので、通常はそちらを利用すればいいでしょう。金融機関選びのポイントとしては、金利はもちろんですが、借入可能額、返済期間、団体信用生命保険への加入の有無も大切になります。
多くの金融機関では、無担保の借入限度額は500万円~1,000万円程度とされ、リフォーム工事の内容によっては不足する可能性もあります。なかには借入可能額を2,000万円までとする商品もありますので、工事費総額や自己資金額を考慮して金融機関を選択しましょう。それ以上の金額を希望する場合は、有担保のリフォームローンの利用を検討することになります。
返済期間については、住宅ローンでは最長35年が一般的ですが、リフォームローンでは10年~15年程度と比較的短めになります。同じ金額を借り入れても、返済期間が長い方が毎月の返済負担は軽減できますが、その分支払総額は大きくなり、精神的な負担も長くなります。借り入れ時の年齢と完済時の年齢を考慮して、返済期間を設定するようにしましょう。
団体信用生命保険は、住宅ローンの場合は原則として加入が義務づけられていますが、リフォームローンの場合は、金融機関によって取り扱いが異なります。借入金額が大きい場合は、万一の際の安心として団体信用生命保険に加入できるローンを利用するといいでしょう。
ローン申込み時の注意点として、事前に工事費の概算が必要となるケースがあります。また申込みから審査結果がわかるのは最短で1日程度ですが、本審査の際には見積書、工事請負契約書などの書類提出を求められますので、工事会社と十分に打ち合わせをして、スムーズに手続きが行えるようにしてください。
いずれにしても、もともとの住宅ローンを完済していれば問題ありませんが、住宅ローン返済中にリフォームローンを追加で利用する場合は、毎月の返済に無理がないかを十分に確認するようにしましょう。
私が書きました
ファイナンシャル・プランナー。
大学卒業後、リクルート(現リクルートホールディングス)に入社。不動産、住宅、マネー情報誌の編集者、マーケティングプランナーを経て2003年独立。フリーランスで各種媒体のエディトリアルアドバイザーを務める。2013年沖縄移住後は、各種WEBサイトに不動産、ライフプラン、マネープランに関するコラムの執筆を中心に活動中。
※執筆日:2023年04月10日