第619回

小さなお子様がいる方は要確認!国の保育制度が大きく変わった影響は?

現在、生後3か月の子供がいますが1歳になるころには育休からの仕事復帰を予定しています。今年の4月から国の保育制度が変わったそうですが、無事に保育園に入園できるかどうか心配です。今までとどんなところが変わったのか、教えてください。(Tさん 千葉県 32歳)
「子ども・子育て支援新制度」施行から1か月。これまでは専業主婦や育休中の家庭では利用しづらかった保育制度ですが、新制度では必要とするすべての子育て家庭で保育が利用できるよう、子育て世代の細かなニーズに対応し、子育てを質と量の両面から支える制度となっています。利用するにはこれまでとは手続きも変わりますので、いつでも使えるよう、調べておくと良いでしょう。

子ども・子育て支援新制度とは?

2015年4月から「子ども・子育て支援新制度」が始まり、国の保育制度が大きく変わりました。これにより身近な地域で親子の交流や子育ての相談ができる「地域子育て支援拠点」の整備や、急な用事や短時間での就労にも対応できる「一時預かり制度」の充実など、共働き家庭だけでなく専業主婦家庭や保育園や幼稚園を利用していない0~2歳児も含めた総合的な子育てサポート体制が整うことになりました。

従来の保育園、幼稚園の枠組みも大きく変わることになりました。自治体の裁量に任せられているものの、国の方針のもと、地域のニーズを聞き取りながら、公立の保育園や幼稚園は順次「認定こども園」へとなっていくことになるでしょう。 私立では「認定こども園」になるもの、新制度枠組みの「保育園」や「幼稚園」になる施設、従来の枠組みの「幼稚園」のままの施設が混在します。従来の幼稚園児は1号、従来の保育園児のうち満3歳以上は2号、従来の保育園児のうち満3歳未満は3号と区分され、区分により入園申込み窓口が異なります。詳しくは居住する自治体の情報を参考にしてください。

3歳から5歳の子どもにかかるお金は?

保育料の算定方法も大きく変わりました。これまでは、所得税が算定基準でしたが、新しい子ども・子育て支援制度に移行する私立幼稚園、保育園及び認定こども園などの保育料は、世帯の住民税額(区民税所得割額)に応じて区市町村が決定することになりました。住民税額や居住する自治体によって保育料が異なりますが、国の定める上限額以上になることはありません。また、多子世帯の負担軽減にも配慮しています。

厚生労働省の平成24年度「地域児童福祉事業等調査の概況」によりますと、保育園を利用している世帯の児童一人あたりの月額保育料は、2万円以上3万円未満が最も多く31.9%、次いで1万円以上2万円未満が23.6%となっています。この数字を基にすると、全体の半数程度の家庭では食費や被服費、レジャー費などの生活費も含めた子育てにかかるお金は、毎月2万円から4万円程度だと考えられます。

保育園、幼稚園でも使える教育ローンをチェック

収入によって保育料の負担が軽減されるものの基本的な生活費はかかりますし、子供が小さいうちは働き方をセーブする女性が多く、共働き家庭でも一時的に世帯収入が減り家計が苦しくなる場合もあります。また、新制度では前年度の所得を基に算出した住民税額から保育料を算定しますので、出産や育児で仕事を休んだり辞めたりした後に働こうとした場合、時期によっては現在の収入は低いのに保育料が思いがけず高額に算定されることもあります。

このように、どうしても家計が苦しい場合や働きたいのに保育料負担が大きい場合、子供が保育園や幼稚園に通う場合でも使える教育ローンを利用する方法もあります。

一般的な教育ローンは、高校や大学進学時に利用する方が多いため、子どもが小さいのに教育ローンを利用するのに抵抗があるかもしれませんが、カードローンやフリーローンより金利が比較的低いため、教育ローンを利用するメリットはあります。収入が安定するまでの一時的な利用や、ボーナス払いまでのつなぎ資金として活用する方法もあります。但し、保育園、幼稚園などに使える教育ローンを取り扱う金融機関は限られています。地域にそうした教育ローンを取り扱っている金融機関があるかどうか、イー・ローンの教育ローン検索で探してみてはいかがでしょうか。

保育園、幼稚園でも使える教育ローンの例
金融機関名 ローン名 金利タイプ 借入可能額
北おおさか信用金庫 e教育プラン 変動 10万円~500万円
中国銀行 ちゅうぎん教育ローン
(証書貸付型)【固定金利】
固定 10万円~500万円
千葉銀行 スーパー教育ローン
<学生生活>【保証料込】
変動 10万円~3,000万円
但陽信用金庫 たんよう教育ローン
(当座貸越型)
変動 50万円~300万円

私が書きました

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福島 佳奈美 (ふくしま かなみ)

ファイナンシャルプランナー(CFPR)。

大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務し、出産を機に退社。子育て中の2006年にファイナンシャルプランナー(CFPR)資格を取得する。その後、教育費や保険・家計見直しなどのセミナー講師、幅広いテーマでのマネーコラム執筆、個人相談などを中心に、独立系FPとして活動を行っている。

※執筆日:2015年04月22日