第575回

支払い済みの教育費。後からローンにできるって本当?

長男が今年4月から大学生に。入学金や下宿先を借りる費用などは貯蓄を取り崩して支払いました。ですが、その後も参考書代金や部活の費用などが思いのほかかかっています。来年は次男の受験で、長男と同じようなことになるとやりくりが厳しくなるのは目に見えています。今、振り返ると、長男の入学金などは教育ローンを借りてもよかったかなと思っています。来年の次男の受験に向けて、どのような準備をしたらいいでしょうか?(N・Oさん 48歳)
大学に入学してからかかる諸費用は、それなりにかかると想定していても、思いもよらない内容や金額になることがあります。そんなとき、手持ちの現金が少ないと困りますよね。また、来年は下のお子様の受験とのことで、今年と同じようにお金がかかることが予想されます。しかも、ご長男への仕送りをしながらという、今年とは違った要素が加わります。お金のかかるタイミングを整理した上で、次のような選択を検討してみましょう。

支払い済みの教育費を今から教育ローンに変更する

金融機関によっては、既に支払いを済ませた教育関連費用でも、一定期間内であれば教育ローンを申し込むことができます。一定期間は、2ヶ月以内、3ヶ月以内が多いので、早めに決断して申し込む必要があります。

■支払いを済ませた後でも借りられる教育ローンの例
金融機関名 教育ローン
の名称
借入可能額 金利
タイプ
最長
借入期間
備考
JAバンク大阪 JA教育ローン 10万円~500万円 変動金利 13年6か月 借入申込日から2ヶ月前までに支払い済みとなった教育資金も対象
横浜銀行 横浜銀行教育ローン
(一括借入型)
10万円~1000万円
(ただし、500万円超は医学部・歯学部・薬学部のみ)
変動金利 10年 支払い後3ヶ月以内であれば、支払い済みの費用も対象
北おおさか信用金庫 e教育プラン 10万円~500万円 変動金利 10年 3ヶ月以内であれば、支払い済みの学校納付資金も対象

※筆者作成。平成26年6月5日現在の情報。

奨学金の利用を考える

奨学金は、経済的な理由で就学が難しい学生に対して、学費や生活費を一定額給付または貸与し、経済的な負担を軽くする制度です。返さなくていい「給付型」、所定の期間内に返す必要のある「貸与型」があります。「貸与型」は、利息がつくものとつかないものに分かれます。有名なのは、「日本学生支援機構」ですが、他に自治体や奨学金事業団体、新聞社、大学などにもあります。

利用者が多い「日本学生支援機構」の奨学金は、「貸与型」で有利子と無利子があります。在学中でも申し込めるので、調べてみるといいでしょう。ただし、募集は毎年春なので来年の春に申し込むことになります。また、下のお子様がご入学時に、「日本学生支援機構」のものでなくてもいいので、奨学金を検討されてはいかがでしょうか。

奨学金を申し込むには、親の所得制限や本人の成績が関係することもあるので、申し込めるかを事前に確かめておきましょう。

なお、「貸与型」の奨学金は、将来にわたり原則学生本人が返済していくことになります。そのことをお子様たちと話し合っておくことが大切です。

来年の受験分を教育ローンにする

教育資金などを利用目的とした教育ローンには、公的ローンと民間ローン、大学の提携ローンがあります。

公的ローンで主なものは、日本政策金融公庫の「教育一般貸付」があります。固定金利で民間ローンよりも低金利の可能性がありますが、所得制限があります。

民間ローンは、銀行や信用金庫、信用組合、JAバンク、ノンバンク、クレジットカード会社など、さまざまな金融機関で扱っています。公的ローンより自由度が高いのが特徴です。最近の特徴としては、来店不要で低金利のローンを展開することも多く、多様な商品がありますので比較してみるといいでしょう。

教育ローンを利用する際は、事前に審査をしてもらい、借りられるかどうかを確認しておきましょう。

なお、教育ローンは親が借りて親が返すのが原則なので、当面の返済に支障をきたさないことと、親の老後資金準備に影響を及ぼさないよう配慮しましょう。

最後に、3つの選択肢のいずれを選ぶにしても、住居費(住宅ローン含む)や保険などの固定費はもちろんのこと、食費や通信費などの流動費を見直し、ムダを省いたスリム家計を目指しましょう。

私が書きました

小川 千尋 (おがわ ちひろ)

ファイナンシャル・プランナー。

1994年ファイナンシャル・プランナー資格取得。資格取得後、以前から携わっていた出版物の編集・執筆の経験を活かし、独立系ファイナンシャル・プランナーとして、マネー誌や一般誌、新聞、ウエブサイトなどのマネー記事の編集・執筆・監修などの執筆関連業務および個人のライフプランなどの相談業務、セミナー講師として活動。

※執筆日:2014年06月10日