第495回

推薦入試合格で納入期限が迫る!お金の工面はどうする?

息子が推薦入試で合格し、来春からの大学入学が決まりました。希望の大学、学部に入学できることは大変喜ばしいのですが、入学金や授業料の納入期限が迫っていることに気がつきませんでした。すぐにお金を準備するのにはどんな方法が良いでしょうか?(Fさん 会社員 50代)
秋に合格が決まるケースでは、初年度納入金も早めに必要になり、お金の準備が間に合わない場合もあります。ローンを利用するなら、日本政策金融公庫の「国の教育ローン」をお勧めしますが、今回のように特に急ぐ場合は民間の教育ローンも検討してみましょう。

合格発表後には、すぐに入学手続き(=お金)が必要!

先日発表された「卒業した大学の満足度調査」(日経HR、日本経済新聞社実施:2012年11月5日発表)をご覧になられたでしょうか?回答者34人以上のランキングでは、北海道大学が満足度100%の1位を獲得していました。施設の充実度や立地の良さなどが平均を大きく上回ったそうです。これからお子様の受験、入学を控えていらっしゃる方には気になる情報かもしれませんね。

すでに、大学入試は始まっています。推薦入試やAO入試は10月から12月頃に実施される場合が多く、合格発表も順次行われます。合格が決まると、一定の期日内に「初年度納入金」を納めなくてはなりませんが、その期日は合格発表から数日から数週間後となっており、一般入試より早くまとまったお金が必要になります。

【参考リンク】

学資保険や奨学金では間に合わないことも・・・

推薦入試やAO入試で合格が決まった場合、子供が小さいころから学資保険を積み立て、教育資金の準備をしていても、満期日が納入期日に間に合わないこともあるかもしれません。この場合は解約返戻金の範囲内で「契約者貸付」を利用することができますので、必要な金額だけ貸付を受けると良いでしょう。また、奨学金は、大学入学後しかお金を受け取ることができないため、入学時に必要なお金を工面するにはあまり向いていません。早めに受験や入学に必要な資金を割り出し、準備をしておくことが大切ですが、預貯金等ではどうしてもお金の工面ができない場合は、教育ローンの利用を検討すると良いでしょう。

また、奨学金は、大学入学後しかお金を受け取ることができないため、入学時に必要なお金を工面するにはあまり向いていません。早めに受験や入学に必要な資金を割り出し、準備をしておくことが大切ですが、預貯金等ではどうしてもお金の工面ができない場合は、教育ローンの利用を検討すると良いでしょう。

教育ローンとは、入学金や授業料だけでなく入学前の受験費用、下宿費用などにも利用できるローンで、最も代表的な教育ローンはとしては、公的なローンである日本政策金融公庫の「国の教育ローン」(教育一般貸付)があります。日本政策金融公庫 国民生活事業の各支店(全国152店舗)や、最寄りの金融機関(銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、農協、漁協)で取り扱っています。「国の教育ローン」は、返済までずっと金利が変わらない固定金利で、民間のローンと比べて金利が低めというメリットはありますが、年収制限があり、学生1人につき300万円までしか借りられないので注意が必要です。

教育ローンの審査期間はどれくらい?

また、「国の教育ローン」を利用する場合、審査の結果が出るまでには10日間程度、更に、実際に融資金を指定口座に振込するまでに1週間程度時間がかかることにも注意が必要です。一般的に、民間の教育ローンは申し込みから2~3日で融資可能かどうかがわかりますので、「納入期限が翌週まで」といった、急いで資金を準備しなくてはならないケースでも十分に対応できます。Fさんのように取り急ぎ必要なお金を借りる場合などは、審査期間が短い民間のローンを検討すると良いでしょう。

【参考】審査期間が短い教育ローンの例
ローン名 大阪信用金庫
ニュー教育ローン
(保証料込・変動金利型)
損保ジャパン
《損保ジャパン》教育ローン【E50】
(保証料込・固定金利)
千葉銀行
スーパー教育ローン
〈学生生活〉
実質年率
2.00%~2.30%
2.99%
2.20%~2.40%
金利体系
変動金利
固定金利
変動金利
借入可能額
10万円~500万円
50万円~300万円
10万円~3000万円(当座貸越方式は1000万円以内)
審査回答期間
2日程度
12時間程度
2日程度
特長・注意点
大阪信用金庫の営業区域内に住所(居住)もしくは事業所・勤務先があること。同金庫で住宅ローンを利用している場合、最大0.3%の金利引下げあり。
来店不要。全国対応。原則勤続年数3年以上で、前年の税込年収が700万円以上であること。
※自営業、派遣社員、契約社員、代表取締役の方は利用不可
千葉銀行の営業区域内に住所(居住)もしくは事業所・勤務先があること。医学部、薬学部にも対応可。

(2012年11月16日現在の情報を基に筆者作成)

ある程度の教育資金は準備していても、自宅通学を想定していたのに下宿することになったり、学費の高い学校に進学することになったりした場合など、教育資金が不足する場合もあるでしょう。「国の教育ローン」(教育一般貸付)は固定金利で金利年2.45%プラス所定の保証料(2012年11月16日現在)ですが、民間には変動金利のものなど、さらに金利の低いローンもありますので、近いうちに保険や定期預金などのまとまった資金が入る予定がある場合、「つなぎ資金」としても利用するのも良いでしょう。ローンによっては繰り上げ返済ができないものもありますので、繰り上げ返済を前提に借りる場合は事前に確認しましょう。

【参考リンク】

教育費の負担を軽減する方法

教育ローンの返済は在学中から始まりますが、在学中は元金を据え置いて利息だけを払い、卒業後から返済できるものが一般的です。日本学生支援機構の奨学金は、有利子の第二種奨学金でも在学中は無利子ですし、教育ローンより低利子なので、余裕があれば在学中から奨学金を教育ローンの元金の返済に充てることで総支払額を軽減することができます。

また、学校によっては返済不要の給付型奨学金や特待生制度を設けている場合もありますので、利用できるかどうか検討してみると良いでしょう。負担の大きい教育費ですが、資金が不足する場合でも奨学金や教育ローンをうまく組み合わせて乗り切ることが可能です。そのためには、早めの資金計画、情報収集が欠かせません。いつ、どのくらいの費用が必要になるのかの費用の見積もり、返済方法を事前にしっかりと計画しておきましょう。

私が書きました

福島 佳奈美 の写真

福島 佳奈美 (ふくしま かなみ)

ファイナンシャルプランナー(CFPR)。

大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務し、出産を機に退社。子育て中の2006年にファイナンシャルプランナー(CFPR)資格を取得する。その後、教育費や保険・家計見直しなどのセミナー講師、幅広いテーマでのマネーコラム執筆、個人相談などを中心に、独立系FPとして活動を行っている。

※執筆日:2012年11月16日