第244回

教育ローンはどう選ぶ?

子供が2人いて、長男が来春大学に入学します。でも、教育資金が足りそうにありません。教育ローンはどう選べばいいでしょうか?(千葉県・WSさん)
教育資金が十分に準備できないまま高校や大学の時期を迎え、教育資金不足に陥ったときには、不足分を補う手段として、奨学金や教育ローンを利用する方法があります。

教育資金不足を補う奨学金&ローン

WSさんはいきなり教育ローンを検討されているようですが、奨学金制度も含めて知った上で、ご自身に合った方法を検討しましょう。
まずは、それぞれの特徴を整理しておきましょう。

<奨学金>
日本学生支援機構(旧日本育英会)をはじめ、各自治体や学校内、企業、財団などがあります。貸付と返済不要のものとがあり、貸付にも無利子・有利子があります。一定以上の成績が求められたり、親の年収に上限などが設けられていることもあり、希望通り利用できない場合もあります。

<教育ローン(公的)>
教育資金の不足分を賄うためのローン。公的なローン制度の代表は国民金融公庫「国の教育ローン」(年2.5%)で、無担保で借りることができ、しかも金利は低めの固定金利。ただし、借りられるのは通常1人200万円まで。ほかに、財形貯蓄を行っている人を対象に融資する「財形教育融資」(年2.53%)もあります。

<教育ローン(民間)>
民間の教育ローンは、労働金庫や銀行、JAなどが扱っています。無担保と有担保、固定金利と変動金利があります。また、子供が就職した後に子供自身が返済を引き継ぐ「親子リレー返済」が利用できる金融機関もあります。
融資条件として世帯の年収に下限を設けていたり、保護者の年齢に制限があったりする場合もあります。

民間の教育ローンの主な特徴としては、融資金額や資金使途の自由度が高く、商品内容にバリエーションがある点が挙げられます。幼稚園入園からでも利用でき、借入上限額が高いのも特徴です。また、融資までのスピードが速くて、手続きも比較的、簡単です。

公的ローンより金利は高めですが、取引状況に応じた金利優遇があったり、シーズンになると金利優遇キャンペーンが行なわれる金融機関もあります。

民間の教育ローンの選び方

「指定日までに入学金が払えない」「奨学金を利用する予定だけれど、それまでの支払分も足りない」・・・そんな人は、民間の教育ローンを検討するのも手です。
民間の教育ローンを選ぶポイントを整理してみましょう。

1. 金利
教育ローン一覧」のうち、 「実質年率(下限上限)」 で比較するといいでしょう。「下限」は条件次第で借りられる中で、最も有利なものが抽出できます。「上限」とあわせて検索し、比較してみましょう。
ただし、固定金利か変動金利かも同時に確認が必要です。変動金利の方が金利は低めですが、返済期間が数年~10年以上に及ぶのであれば、固定金利が理想です。

2. 借入可能額
利用したい額が借りられるかどうか、「借入可能額」もチェックしましょう。300万円、あるいは500万円までのものが中心ですが、不動産担保ローンなどで3,000万円など上限が高くなっているものもあります。

3. 最長借入期間
どれくらいの期間の借入を想定するかによっても、利用できるローンが限られる場合もあります。最長借入年数は希望借入期間をカバーしているかどうかも確認しましょう。

4. 審査回答期間
入学金の支払いなど急を要する場合は、「審査回答期間」もチェック。「1秒程度」から「7日程度」までいろいろあります。

5. 来店が必要かどうか
忙しくて日中金融機関にいけない人は、店舗を訪ねずに申し込みや手続きができる方が便利です。来店が不要なローンもあるので、他の条件と併せて検討の材料としましょう。

6.返済方法
在学中は金利返済のみの「元金据置期間」があるものとないもの、親子リレーローンが可能なものとそうでないものなど、ニーズに合わせてチェックしましょう。

7. 臨時返済が可能かどうか
臨時返済(繰上返済)をする予定の人は、可能かどうか、可能なら手数料はどうかなども確認しておきましょう。

以上の7点をチェックした上で、自分に合った教育ローンを見つけましょう。
教育ローンTOP

教育ローンの借りすぎは、親の老後資金に影響をもたらしかねません。お子さんとよく話し合って、子供と親で教育費負担を分けることも考えてもいくといいでしょう。

私が書きました

豊田 眞弓 の写真

豊田 眞弓 (とよだ まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー、シニアリスクコンサルタント。

20代前半より経営誌や経済誌、女性誌と広く手がけるライターとして個人事業を展開。1995年より独立系FPとして、雑誌やムック、新聞、サイトへの寄稿・監修、相談業務、講師などで活躍。「今日からの お金持ちレシピ」(明日香出版)をはじめ共著本など多数。

※執筆日:2007年12月05日