第1122回NEW

世帯年収に関わらず、高校授業料が無償に?

中学生の子どもの高校進学を考える時期になり、高校授業料無償化のニュースが気になっています。私立進学の場合も無償になると聞きましたが、今までの制度とどう変わるのでしょうか。(40代・会社員)
「高校授業料無償」の制度が世帯年収に関わらず適用されるようになる見通しです。
桜咲く春の校舎のイラスト

2025年度から、収入制限なく、公立の「高校授業料無償化」が実現

2025年度の予算案に「高校授業料無償化」の法案が盛り込まれ、今国会で成立する見通しとなっています。

今までも、国の「高等学校等就学支援金制度」により、世帯年収910万円未満の世帯には子ども一人当たり年間11万8,800円(公立高校の年間授業料相当額)が支給されていました。さらに世帯年収590万円未満の家庭で私立高校に進学した場合には上限39万6,000円の支援金が上乗せされ、「高校授業料無償化」は一定収入以下の世帯に対しては実現されていたのですが、一定以上の年収のある世帯は、支援を受けられませんでした。独自給付を上乗せして、収入に関わらない「高校授業料無償化」を実現している自治体もありましたが…。

今回の改正で収入制限が撤廃され、公立・私立問わず高校生のいるどの家庭も高校生1人あたり年間11万8,800円の支給を受けることができるようになります。

また、2026年度からは、私立高校生の場合は収入に関わらず、45万7,000円の上乗せ給付を受けられるようになります。

進学資金が「ゼロ」というわけではない

今まで授業料負担を考えて進学先を公立に絞っていた受験生にとっては、私立高校への進学も検討しやすくなりますね。

ただし、私立高校の授業料は学校によって異なります。来年度から私立学校進学者への支援が上乗せされるといっても、「無償化が実現」とならない可能性もあるので、志望高校の授業料などは早めに確認しておいたほうがよいでしょう。

また、授業料は実質無償化となっても、高校でかかる費用すべてがゼロになるわけではないので注意が必要です。入学金、施設費、制服代、教科書代、学用品代、通学交通費、部活動費用、塾・予備校費用等、高校生活には授業料以外にもさまざまな費用がかかります。進学先を選ぶ際には、その学校に進学した場合に「かかる費用」の検討も忘れないようにしたいですね。

※今後の国会審議により、制度内容が変更される場合もありますのでご注意ください。

【参考リンク】

私が書きました

大林 香世 の写真

大林 香世 (おおばやし かよ)

ファイナンシャル・プランナー(CFPR)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー。

大学卒業後、教育系出版社に入社、教材・雑誌編集などを担当。その後、独立系FP会社を経て、2000年春より独立系FPとして、ライフプラン全般の相談業務や雑誌・HPのマネー系コラムの執筆などを行っている。

※執筆日:2025年03月18日