第1115回NEW
短大や専門学校について解説!学べることや、学費の違いは?
- 子どもの高校卒業後の進路について、手に職を付けてほしいという意味で、短大や専門学校に注目しています。短大や専門学校で学べる内容は幅広いと聞きますが、本当でしょうか。また、学費などはどうなのでしょうか?(会社員45歳)
- 短大や専門学校は4年制大学に比べ、短期間で実際的な学習ができるとされています。期間が短い分、4年制大学に比べて学費を抑えられる場合もあります。
高校卒業後の進路は?
文部科学省が発表した「令和6年度学校基本調査」によると、高校を卒業後に進学をする割合は87.3%と過去最高になりました。進学先の内訳では、多い順にみると、大学59.1%、専門学校24.0%、短大3.1%、高専4年1.0%となっていて、大学と専門学校への進学率は過去最高になっています。
ご相談者さんは、お子さんの進路として、短大や専門学校を検討されているとのことですね。これらの教育機関は、短期間で専門的な知識や技術を習得できる点が大きな特徴です。まずはそれぞれの概要を整理します。
短大と専門学校の概要
短大
短大は、2年または3年で卒業可能な高等教育機関で、主に専門的な知識や技術の習得を目的としています。全国に297校あり約7.8万人が学んでいます(令和6年度、文部科学省データ)。
約7割が自県内の進学のため、また少人数制の教育を行っているため、学生と教員の距離が近く、きめ細やかな指導が受けられる点が特徴です。また、幼稚園教諭や保育士、栄養士、介護福祉士をはじめ、資格取得や実践的なスキルの習得に力を入れている学校が多いという特徴があります。
卒業後、四年制大学への編入学や、短大専攻科へ進学し、さらに学修を続けるという道もあります。
専門学校
専門学校は、特定の職業に必要な知識や技術、資格等の修得を目指す、職業教育機関です。修業年数は2年制である学科が多いものの、教育内容に応じて1年制から4年制まであります。全国に2,676校あり、約56万人が学んでいます(令和6年度、文部科学省データ)。
医療、福祉、ビジネス、デザイン、IT系をはじめ、多様な分野の専門教育を行っており、実践的なカリキュラムが組まれています。卒業後すぐに活躍できる人材の育成を目指しており、資格取得や就職支援にも力を入れています。
専門学校は大学と同じ「高等教育機関」とされていて、一定の要件を満たせば、大学院への進学や、大学・専門職大学に編入することも可能です。
学費はどれくらいかかる?
短大と専門学校の学費についても見ておきましょう。
公立短大の入学料は、住んでいるところが短大の地域内か地域外かで異なります。地域内は地域外より安く設定されています。年間授業料は公立短大で平均37万7,357円。私立短大の場合、入学料は平均23万7,122円、年間授業料は平均72万9,069円、施設設備費は平均16万3,836円かかります。2年間の学費総額は、公立短大で約100万円、私立短大で約200万円となります。
公立 | 私立 | |
---|---|---|
入学料 | 225,050円* | 237,122円 |
授業料 | 377,357円 | 729,069円 |
施設設備費 | 163,836円 | |
2年間合計 | 979,764円 | 2,022,932円 |
*他地域からの入学者の平均額
文部科学省「公立短期大学授業料等について」(令和5年度)
文部科学省「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」
専門学校の学費は、学科や修業年限によって大きく異なります。下表は東京都専修学校各種学校協会のデータで、専門課程の平均ですが、入学料が17万8,000円、年間授業料は73万6,000円、実習費12万1,000円、設備費・その他で25万1,000円かかり、2年制で約240万円、3年制の場合は約350万円かかります。学科では、医療系や音楽や映像系などの学費が高めです。
2年制 | 3年制 | |
---|---|---|
入学料 | 178,000円 | 178,000円 |
授業料 | 736,000円 | 736,000円 |
実習費 | 121,000円 | 121,000円 |
設備費・その他 | 251,000円 | 251,000円 |
2年間合計 | 2,394,000円 | 3,502,000円 |
東京都専修学校各種学校協会「令和5年度 学生・生徒納付金調査」
こうした学費以外にも、資格取得のための教材費や検定料、自宅外であるなら、生活費もかかります。こうしたことを考慮し、しっかり資金計画を立てることが重要です。
なお、大学等無償化(高等教育の修学支援新制度)は、低所得世帯に対し授業料減免や給付型奨学金の給付を行う制度ですが、短大や専門学校も対象となる場合があります。また、短大や専門学校によっては、独自に奨学金や特待生制度を用意している場合があります。事前に、志望校の情報をしっかり調べるといいでしょう。
【参考リンク】
私が書きました
ファイナンシャル・プランナー、シニアリスクコンサルタント。
20代前半より経営誌や経済誌、女性誌と広く手がけるライターとして個人事業を展開。1995年より独立系FPとして、雑誌やムック、新聞、サイトへの寄稿・監修、相談業務、講師などで活躍。「今日からの お金持ちレシピ」(明日香出版)をはじめ共著本など多数。
※執筆日:2025年01月28日
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