第1108回
予備校の費用にも教育ローンは利用可能!
- 子どもの大学受験が近いのですが、予備校の冬期講習や受験の費用が予想外に膨らみそうです。大学の授業料は用意していた学資保険や奨学金の利用も考えていますが、予備校の費用や受験料が不足しそうで心配です。(会社員 51歳)
- 大学受験は、塾や予備校の費用や受験料もかさみますね。これから先必要となる費用を見積もり、どうしても不足する部分は塾や予備校の費用にも利用できる教育ローンを検討するとよいでしょう。
大学受験生、受験までにかかる費用は?
大学入試共通テストまで1か月あまり、大学受験生はこれから志望校合格に向けてラストスパートの大事な時期ですね。お子様が安心して受験を乗り切れるよう、親としてこれからかかる費用を把握し、お金の準備をしておきましょう。
推薦入試等で早めに学校が決まれば、必要なお金は入学金や授業料等、ある程度絞られますが、これから一般受験する受験生は、冬期講習を含め、塾や予備校の費用がかかります。冬期講習の費用は1講座ごとに価格設定されていて、何講座選択するかで費用が決まるのが一般的です。受験科目が多い方や弱点補強をしたい方、また個別指導の塾の場合は費用が膨らみがちで、数万円~数十万円になることもあるでしょう。必要な科目に絞り費用を抑える工夫も必要かもしれません。
また、受験料も早めに準備しておきましょう。多くの受験生が利用する大学入試共通テストの受験料は、3教科以上で18,000円、2教科以下で12,000円(成績開示を希望する場合は手数料800円)です。さらに、国公立大学の2次試験料は大学によって異なり17,000円~30,000円、私立大学の受験料は学部や受験方式によって異なり1受験当たり20,000円~60,000円程度です。多くの受験生は複数受験するため、受験料だけでも数万円~数十万円、遠方の大学を受験する場合は交通費や宿泊費もかかります。
受験後に必要な費用は?
受験が終わった後に必要になる費用も確認しておきましょう。文部科学省が私立大学等入学者に係る初年度学生納付金平均額を調査したデータを見ると、下記のように初年度には文系学部では約120万円、理系学部では約150万円の学費がかかります。
区分 | 授業料 | 入学料 | 施設設備費 | 合計 |
---|---|---|---|---|
文科系学部 | 827,135 | 223,867 | 143,838 | 1,194,841 |
理科系学部 | 1,162,738 | 234,756 | 132,956 | 1,530,451 |
医師系学部 | 2,863,713 | 1,077,425 | 880,566 | 4,821,704 |
その他学部 | 977,635 | 251,164 | 231,743 | 1,460,542 |
全平均 | 959,205 | 240,806 | 165,271 | 1,365,281 |
出典:令和5年度文部科学省「私立大学等入学者に係る初年度学生納付金平均額(1人当たり)の調査結果について」
また、教科書やパソコン代など、学費以外にも大きな支出があります。さらに1人暮らしをする方は、生活用品や敷金、礼金などのまとまった費用や毎月の生活費も必要です。
塾や予備校の費用にも使える教育ローン
塾や予備校の費用、受験料などがかさんで預貯金等では不足してしまうかもしれない場合には、早めの対応を考えましょう。奨学金を利用する場合も多くは入学後の振込みですので、教育ローンを検討するとよいでしょう。
日本政策金融公庫の国の教育ローンは、年利2.35%の固定金利で(2024年11月現在)、お子様1人あたり350万円(自宅外通学など一定要件の場合は450万円)まで利用できます。大学の学費だけでなく受験費用や在学のため必要となる住居費などの幅広い資金に利用できますが、利用するには世帯年収の上限があります。また、審査にも時間がかかり利用できるまでに2~3か月かかる場合もあるため塾や予備校の費用は間に合わない可能性もあります。これから申込む場合は合格後に利用することを念頭におくとよいでしょう。
民間の金融機関の教育ローンには、大学の授業料や入学金はもちろん、塾や予備校の費用や受験料に使える商品も数多くあります。審査にかかる期間は、最短即日から数日程度で、融資もスピーディなので塾や予備校の費用などすぐに必要な資金にも利用可能です。なるべく金利の低い商品を選べるように余裕を持って比較検討するようにしましょう。
【参考リンク】
私が書きました
ファイナンシャルプランナー(CFPR)。
大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務し、出産を機に退社。子育て中の2006年にファイナンシャルプランナー(CFPR)資格を取得する。その後、教育費や保険・家計見直しなどのセミナー講師、幅広いテーマでのマネーコラム執筆、個人相談などを中心に、独立系FPとして活動を行っている。
※執筆日:2024年11月29日