第1091回

大学生の一人暮らしに厳しい家賃の上昇。事前の情報収集で対策を!

地方在住のため、息子は大学進学で1人暮らしを予定していますが、物価上昇が進む中、想定外に家賃が上がっていて驚いています。家賃を抑えるにはどうしたらいいでしょう?(Kさん・会社員45歳)
物価上昇の波が家賃にも現れ始め、自宅外通学をする大学生の親の懐を直撃しています。家賃を抑える方法などについて考えてみましょう。
物件を探す女性

物価上昇の波が家賃にも!

消費者物価指数の中の賃貸住宅の家賃を示す「民営家賃」の指数は、2023年に前年比+0.1%と、25年ぶりのプラスになりました。家賃が上昇する理由としては、都市部などで人件費の上昇や資材の高騰などにより住宅の維持費が高くなっていることや、新築物件が高騰したことで買えない層が賃貸に流れ、価格を引き上げたという理由もあるようです。消費者物価指数の動きから2年程度遅れて現れるとされる家賃への影響が、いよいよ顕在化してきたと見られています。

全国大学生活協同組合連合会が発表した「第59回学生生活実態調査概要報告」によると、2023年度の下宿生の平均家賃(全国)は54,130円で、前年度に比べ1,110円増加していることが確認できます。家賃の上昇は、新入学で新たに入居する場合だけでなく、更新時に家賃引き上げを大家から言われる場合もあります。

学生が家賃を抑える方法は?

学生が家賃を抑えて住むには、マンションよりもアパートや学生寮を選ぶ方法があります。学生寮は個室を利用しながら、風呂場やトイレ、キッチンなどは共同で使うタイプが多く、食事付きのところもあります。

また、駅から物件が遠く、しかも、特急が止まらずあまり人気がない駅で探すなど、家賃が安いエリアを選ぶ方法もあります。ただし、安いエリアを探すあまり、遠くなって交通費が余分にかかってしまう可能性もあるので、交通費なども確認しながら物件を探しましょう。また、部屋が狭くて築30年を超えている、部屋が北向きであるなども、家賃が安くなる条件です。

ただし、特に女子学生の場合は、セキュリティも重要です。安さだけではなく、一定のセキュリティ水準があるかなども重要なポイントと言えます。

住宅情報サイトやリアル店舗で相場感を把握

住宅情報サイトでは、「大学まで40分圏内」などの条件を付けて検索することもできます。どのあたりの賃料がリーズナブルなのかなど、事前に範囲を設定し、物件情報を探してみるのもいいでしょう。家賃の相場感などを確認するのに大いに役立ちます。

もし時間がある場合は、不動産会社へ行けば、どのエリアなら安全で安く借りられるかといった情報も教えてもらえるでしょう。具体的な物件も紹介してもらえます。サイトで検索するだけでなく、不動産会社に出向いて相談すると、意外な情報が見つかる場合もあります。

物価上昇の流れは続いています。大学進学のための貯蓄計画に不安がある方は特に、各種奨学金の情報や教育ローンなどの教育資金の調達方法についても調べておくといいでしょう。

【参考リンク】

私が書きました

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豊田 眞弓 (とよだ まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー、シニアリスクコンサルタント。

20代前半より経営誌や経済誌、女性誌と広く手がけるライターとして個人事業を展開。1995年より独立系FPとして、雑誌やムック、新聞、サイトへの寄稿・監修、相談業務、講師などで活躍。「今日からの お金持ちレシピ」(明日香出版)をはじめ共著本など多数。

※執筆日:2024年08月05日