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第941回

予想外の状況で大学の授業料の支払いが準備不足に。どうすればいい?

自宅外通学の大学生が2人(2年、3年)います。1人300万円貯めた教育資金を取り崩しつつ、家計と子どものアルバイトで補って回してきましたが、親はコロナ禍で収入が減り、子どもは子どもでアルバイトが減り、資金が底をつきかけ、後期の納付金の支払いも不足しそうです。どう対処すればいいでしょうか。(Nさん 会社員 50歳)
10~11月に迫る大学の後期授業料。支払いが厳しそうな場合は、早めに対策を立てておきましょう。

大学の納付金っていくら?

大学時代の授業料は、通常、前期分は4~5月、後期分は10~11月に納付することになっています(大学によって異なる場合もあります)。

下表は国立大学、公立大学、私立大学(文系・理系・医歯系)別に、授業料と施設設備費、その半期分の目安額を示したものです。半期ごとに国公立大学で約27万円、私立大学で約50~65万円(医歯系は約187万円)を支払う必要があるのです。

コロナ禍により、大学側でも、数カ月間の延納や、分割して支払う分納ができるようになっている場合もありますので、まずは確認してみましょう。延納・分納で乗り切れるときは手続きをしましょう。

大学の納付金(単位:円)
区分 授業料 施設設備費 合計(年間) 半期分の目安
国立*1*4 535,800   535,800 267,900
公立*2*4 536,382   536,382 268,191
私立文系*3 793,513 150,807 944,320 472,160
私立理系*3 1,116,880 177,241 1,294,121 647,061
私立医歯系*3 2,867,802 862,493 3,730,295 1,865,148

*1 文部科学省令による標準額

*2 文部科学省「2020年度学生納付金調査」

*3 文部科学省「2019年度私立大学等入学者に係る初年度学生納付金平均額調査」

*4 施設費や実習費などがかかる場合がある

家計急変ならいつでも奨学金を申込める

日本学生支援機構では、給付型奨学金は原則毎年春と秋、貸与型奨学金は毎年春に奨学生の募集を行っていますが、コロナ禍やそのほかの予期できない事由により家計が急変した場合は、条件に合えば、随時、申込むことができます。

Nさんが現在、日本学生支援機構の貸与型奨学金を利用していない場合は、学費を延納または分納にして、奨学金を利用して支払う方法もあります。あるいは、給付型奨学金を利用できる水準(住民税非課税かそれに準ずる)まで親の所得が低い場合は給付型奨学金と学費の減免を受けることができますので、確認してみるといいでしょう。

教育ローンを利用する方法も

大学に延納・分納の制度がない、あるいは制度はあってもすでに奨学金も利用していて学校納付金に回せない場合は、教育ローンを利用する方法があります。

公的教育ローン

日本政策金融公庫の「国の教育ローン」は、年利1.66%(2021年9月現在)の固定金利で、子ども1人につき350万円(自宅外など一定要件は450万円)まで借りることができます。ただし、所得制限があり利用できない場合もあります(新型コロナウイルス感染症に対する「特例措置」により、現在、所得のラインが上がっています)。1年中いつでも受付けるものの、必要な時期の2~3ヵ月前が申込みの目安とされています。返済方法は、毎月返済か、在学期間中は利息のみの支払か選択できます。繰り上げ返済の手数料は無料です。

民間の教育ローン

民間の教育ローンの特徴は、審査がスピーディで、公的ローンや奨学金のような所得制限がなく、借入金額の上限額が大きい点が挙げられます。中には、WEB契約で、店舗に行かずとも申込みから契約までネットで完結できるものもあります。金融機関や本人の属性によっては、「国の教育ローン」よりも低金利で借りられる場合があります(ただし、変動金利の場合は市中金利が上がれば金利が上がります)。在学中は元金据え置きで、利息だけを支払うことが可能な商品もあります。繰り上げ返済は手数料無料の商品が多いです。

できるだけ有利なものを利用できるよう、複数の教育ローンに申込んで、適用金利を比較して決めるのも手です。

【参考リンク】

私が書きました

豊田 眞弓 (とよだ まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー、シニアリスクコンサルタント。

20代前半より経営誌や経済誌、女性誌と広く手がけるライターとして個人事業を展開。1995年より独立系FPとして、雑誌やムック、新聞、サイトへの寄稿・監修、相談業務、講師などで活躍。「今日からの お金持ちレシピ」(明日香出版)をはじめ共著本など多数。

※執筆日:2021年09月07日