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第784回

定員規制で都心の人気大学への進学が難しくなっている?

高校生の息子がいます。 私立大学の定員が厳格化され、受験が厳しくなっていると聞きました。 大学進学に向けてある程度の資金は準備していますが、現役で進学する想定でいたので、もし浪人するとなったらどれくらいの費用がかかるのか心配です。(Aさん 46歳 主婦)
私立大学の定員厳格化が受験生とその家族に大きな影響を与えています。 想定外の浪人生活に進学用の資金を使ってしまい、大学の入学金や授業料が支払えなくなってしまっては本末転倒です。 予備校の費用の目安を確認し、今から準備を始めましょう。

私立大学の定員厳格化とは?

2016年度から、私立大学が合格者数を絞っています。入学定員に対して入学者数が基準を超えてしまうと、国からの助成金がカットされてしまうためです。 これは、教育の質の向上や、地方から都市部への進学者流出の抑制を目的として、文部科学省が進めている政策です。 そのため受験生は出願数を増やす傾向にあり、家計負担が増しています。 また、入学式直前に追加合格が発表される場合もあり、入学金や下宿の契約金などの支払いが二重になってしまうケースなどもあるようです。 さらに、減少傾向にあった「浪人」を選択する受験生も増えています。

浪人にはいくらかかる?

多くの家庭が、子どもの進学資金としてある程度の準備をしていると思います。 しかし、親も本人も現役合格が前提になっており、浪人のための費用を想定していない場合がほとんどです。 ところが、先述したような理由により、「浪人」という選択肢が想定外ではなくなるケースも出てきています。 いざというときに子どもの選択を後押ししてあげられるよう、浪人した場合にかかる費用を確認しておきましょう。

浪人生の多くが、予備校に通います。 予備校は一般的に、志望校が国公立か私立か、文系か理系かなどによりコースが分かれており、費用も異なります。 大手の予備校では、入学金が約10万円、授業料は60~80万円程度のところが多いようです。 それに加えて、夏期や冬期の季節講習に約20~30万円かかるため、1年間の合計で100万円が目安になります。 苦手科目や英作文対策などを単科で受講する場合は1科目あたり8~15万円程度がさらにかかります。 また、予備校への交通費も見落としがちです。 学校法人である予備校に通う場合には定期券の学割を利用できる場合がありますので、確認してみてください。

合格後を見据えた資金計画を

想定外の予備校の費用をどう準備すればいいでしょうか?

受験までに時間がある場合は、万が一の浪人生活に備えて少しずつでも貯蓄をしておくのが確実です。 貯蓄が難しい場合は、現役合格のために使うお金と、いざというときのために残しておくお金のバランスを考えてみましょう。

資金を準備する時間があまりない場合でも、大学進学用に準備しておいた資金があるので、予備校の費用が払えないというご家庭は少ないと思います。 しかし、使ったきりにしてしまい、翌年、志望校に合格した際に入学金や授業料の支払いができないようでは困ります。 進学資金の取り崩しは最低限にとどめ、毎月の生活費の中から少しずつでも穴埋めすることをお勧めします。

また、大学に合格した際に入学金・授業料の支払いが難しい場合には、借り入れも検討しましょう。 高校卒業後2年以内の場合は、卒業した高校を通じて日本学生支援機構の奨学金の予約採用も申し込めます。 状況に応じて日本政策金融公庫の「国の教育ローン」や、自治体による教育資金融資制度、民間金融機関による教育ローンなども比較検討し、早めに準備しておくと安心です。

【参考リンク】

私が書きました

宮野 真弓 (みやの まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP(R))、一級ファイナンシャル・プランニング技能士。

大学在学中にFP資格を取得。証券会社、銀行、独立系FP会社を経て独立。忙しくても無理なく実践できるメリハリ家計を提案するママFP。 ライフプラン全般の相談業務や家計簿診断、ライフプランセミナー講師、FP資格取得講座の講師として活動中。 学校での金銭教育にも注力している。

※執筆日:2018年07月10日