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第607回

学校提携ローンの利用で学費の支払いから返済までをスムーズに

息子の進学資金の準備も差し迫ってきました。教育ローンを選んでおきたいのですが、息子の受験校の中に「学校提携ローン」のある学校があります。一般の教育ローンとどう違うのでしょうか。(Yさん 48歳 パート)
「学校提携ローン」は学校に払う費用を対象とした教育ローンです。金利は学校ごとに決まっており、学費として借り入れた金額は直接学校の口座に振り込まれます。

センター試験も終わり、受験シーズンも佳境。保護者の方は進学資金の目途を付け、進学先が決まったらすぐ手続きに動けるようにしておきたいところですね。

教育ローンを利用される場合、選択肢のひとつになるのが、ご質問の「学校提携ローン」です。学校提携ローンは、「○○大学」「○○専門学校」などの個別の学校ごとにローン金利が決められており、学費が直接学校の口座に払われるタイプの教育ローンです。オリコの学校提携ローン「学費サポートプラン」を例に特徴をみてみましょう。

学校ごとに異なる固定金利

オリコの「学費サポートプラン」は、全国の大学580校以上、専門学校1,500校以上との提携による教育ローンです(提携校は、オリコのHPで検索ができます)。

金利は、学校ごとに異なる固定金利(実質年率3.500%~6.900%、2015年1月26日現在)。一般の教育ローンであれば、金利は契約者の収入や勤務状況などの審査で決まりますが、この学校提携ローンの場合は、契約者ごとではなく学校ごとに金利が決められているという特徴があります。

また、民間の教育ローンは変動金利が多いのですが、学校提携ローンは固定金利なので、将来の金利情上昇の心配がないのはメリットと言えますね。

年収確認の資料は不要

教育ローンに限らず、一般のローンであれば、本人確認資料や収入を確認するための書類が必要になりますが、オリコの「学費サポートプラン」の場合は不要です。また、「貸金業者からの借入残高が年収の1/3を超えているものについては新規の貸付を禁止する」という貸金業法の総量規制などの適用は受けません。

学費サポートプランの金利は、一般の教育ローンよりも高めに設定されていますが、契約者の収入等の条件による差はありません。したがって、契約者の収入や勤務状況等によっては、一般の教育ローンよりも学費サポートプランのほうが利用しやすい場合もあるでしょう。

融資対象は学校に払う費用

このように、申し込みやすい「学費サポートプラン」ですが、融資対象は学校に払う費用に限られるので注意が必要です。一般的な教育ローンでは、学費のほか、定期代やアパート代、教材費などの学生生活で必要な費用も対象になるものも多くなっていますが、「学費サポートプラン」では、学校に払う費用が対象で、お金は契約者の口座には振り込まれず、直接学校の口座に振り込まれます。

学校に払う費用以外の学生生活費用は、「預貯金から捻出する」、あるいは「国の教育ローンや日本学生支援機構の奨学金なども併せて利用する」など、あらかじめプランを考えておく必要があるでしょう。

<オリコの学費サポートプランの資金使途>

入学金・授業料・教材費・実習費等、学校へお支払いする学納金

※学校との取決めで一部お取扱い出来ない費用もございます。

※学校にお支払いする寮費(一部ご利用いただけない学校もあります)

※イー・ローン「オリコ 学費サポートプラン」のページより、筆者抜粋

在学中は金利のみの返済も可能

返済方法は、通常返済(在学時も卒業後も同様に返済していく)方法とステップアップ返済(在学中は金利のみを返済していく)があります。また、卒業後に返済額を減額することもできますし、親子リレー返済も可能です。

在学中は学費のほかにも生活費もかかり、毎月の返済は大変なので、ステップアップ返済は助かりますね。ただし、ステップアップ返済を利用すると、在学中の返済は楽ですが、卒業後には返済額があがり、返済が長く続きます。仮にお子様の卒業時期と保護者の方のリタイア時期が重なったら、卒業後の返済が家計を圧迫するかもしれません。

100万円借りたとして分割払いの利率4.5%、毎月返済額2万円で試算してみると、下記のように、総返済額で18万円以上、返済期間で4年の差がありました。返済方法を検討される際には、将来の家計まで見通して、安易にステップ返済を利用することは避けた方がよいでしょう。

オリコのHPでは返済シミュレーションができるので、いろいろなパターンで試算されてみるとよいでしょう。

<返済方法による利息負担の違い>
条件:借入金額100万円 分割払いの利率4.5% 通常返済の場合の毎月返済額2万円
  通常返済 ステップアップ返済
(在学中は金利のみ返済)
毎月の返済額
20,000円
在学中 3,750円
卒業後 20,000円
返済回数・期間
56回(4年8か月)
104回(8年8か月)
返済総額
110万9,464円
128万9,464円

※オリコHP「お支払シミュレーション」にて筆者試算

このように、学校提携ローンは一般の教育ローンに比べると、金利は高めですが、収入を証明する書類などが不要で申し込みやすい、学費を確実に学校に振り込んでもらえるといったメリットがあります。教育ローンの選択肢のひとつとして、一般の教育ローンと比較検討されてはいかがでしょうか。学校の学費納入期限に間に合うよう、早めに動いていきましょう。

私が書きました

大林 香世 (おおばやし かよ)

ファイナンシャル・プランナー(CFPR)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー。

大学卒業後、教育系出版社に入社、教材・雑誌編集などを担当。その後、独立系FP会社を経て、2000年春より独立系FPとして、ライフプラン全般の相談業務や雑誌・HPのマネー系コラムの執筆などを行っている。

※執筆日:2015年01月26日