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第1098回

2025年度、所得制限なく子3人以上の世帯の大学学費が無償に?

3人の子は中学生と高校生。3人分の大学進学費用が今から心配です。子どもが3人以上いると、大学の学費支援が受けられると聞きましたが、どのような制度でしょうか。(福岡県 Hさん)
2025年度から、子ども3人以上の「多子世帯」は、所得制限なしに、大学等の学費(入学金・授業料)が無償(上限あり)になります。「子ども3人以上」の条件や支援内容を早めに確認しておきましょう。

子ども3人以上の世帯への大学進学等費用の減額支援が拡充

2025年度から、「子ども3人以上の多子世帯」への大学等の学費無償化の支援制度が拡充されます。対象になるのは、2025年4月に入学する方と、2025年4月時点で前年度から在学中の方です。

2024年度の多子世帯への学費支援の制度には所得要件があり、また、支援内容は授業料等減免と給付型奨学金は全額支援の4分の1の支援となっています。

しかし2025年度からは、所得制限はなく、授業料等が全額支援(現金支給ではなく、各学校の授業料等が減額される)になります。「所得制限がない」ことで、多くの子ども3人以上の世帯が支援を受けられるようになりますね。

ただし、「全額」と言っても、支援金額には上限があり、各学校の入学金・授業料は異なるため、必ずしも無償になるとは限りません。(⇒表1)。

なお、給付型奨学金については、2025年度以降も収入に応じた支援を受けることができます。

表1 大学等の費用の支援額
  国公立 私立
入学金 授業料 入学金 授業用
大学 28万円 54万円 26万円 70万円
短期大学 17万円 39万円 25万円 62万円
高等専門学校 8万円 23万円 13万円 70万円
専門学校 7万円 17万円 16万円 59万円

参考:文部科学省 令和7年度からの多子世帯への授業料等無償化に係るFAQ 問4-1

「子ども3人以上の多子世帯」とは

2025年度から大学等の学費無償化の対象となる「子ども3人以上の多子世帯」とは、子どもを3人以上同時に扶養している(経済的援助をしている)世帯を指します。

そのため、たとえば3人兄弟であっても、第1子が就職などで経済的に自立して扶養から離れた場合などは、「子ども3人以上の多子世帯」には該当しなくなり、支援対象から外れます。

表2 多子世帯への大学等の学費支援のイメージ 3人兄弟の場合
第1子:[1]、第2子:[2]、第3子:[3] とする
  [1] が大学進学 [2] が大学進学 [1] が大学卒業・就職
[3] が大学進学 
社会人     [1] 支援対象外
大学生 [1] 支援対象 [1] 支援対象
[2] 支援対象
[2] 支援対象外
[3] 支援対象外
高校生以下 [2] [3] [3]  

※第1子が扶養から外れた場合、第2・第3子は支援対象外になる
※現行制度における世帯年収に応じた支援は受けられる可能性がある

参考:文部科学省 令和7年度からの多子世帯への授業料等無償化に係るFAQ 「多子世帯の支援(子供3人を扶養している間の支援)のイメージ【概要】」

手続きは進学後に

多子世帯の大学等の費用無償化が始まる2025年度は、大学等への進学後の「在学採用」のみでの申込みとなり、手続きは進学後に大学等で行います(現在の制度では、高校3年生のうちに申込む「予約採用」と進学後に申込む「在学採用」があります)。

なお、2024年度中の予約採用申込では不採用となり支援制度の対象外となっている在学生の方も、2025年度の在学採用では、採用となる可能性があります。

進学費用が足りない場合は、教育ローンも

子どもが3人以上いる多子世帯にとって、所得額に関わらず大学等の学費が減免される支援制度は朗報ですね。ですが、支援額には上限があるので、選んだ学校・学部等によっては学費が不足する場合もあります。また、進学費用は学費に限らず、受験費用や交通費、自宅から離れた地域への進学ならアパート・寮などの住まいの費用などもかかってきます。収入などの要件を満たしていれば奨学金も受けられるご家庭もありますが、奨学金の利用が難しい場合などは、教育ローンについても情報を集めておかれるとよいでしょう。

商品によっても異なりますが、教育ローンの資金使途は入学金や授業料などの学費はもちろん、学習塾代・受験料・下宿費・教科書代・通学費など、幅広い「教育費」に対して利用が可能です。子どもの進路変更や受験プランによって、思わぬ時期に、思った以上に進学費用がかかることもあります。教育ローンについてあらかじめ情報を集め、検討しておかれるとよいでしょう。

【参考リンク】

私が書きました

大林 香世 (おおばやし かよ)

ファイナンシャル・プランナー(CFPR)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー。

大学卒業後、教育系出版社に入社、教材・雑誌編集などを担当。その後、独立系FP会社を経て、2000年春より独立系FPとして、ライフプラン全般の相談業務や雑誌・HPのマネー系コラムの執筆などを行っている。

※執筆日:2024年09月19日

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