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第1075回

支払済の授業料でも教育ローンが利用できる?

子供が今年4月に東京の大学に入学しました。受験料や入学金、授業料、新生活のための家具・家電、部屋を借りるための敷金・礼金などは、子供が幼い頃から準備してきた教育資金で支払いましたが、最近の物価上昇の影響もあり、想定以上の支出で少し不安になってきました。そこで手元資金を補充したいと思っているのですが、既に支払いを済ませた教育費でも、教育ローンの利用ができるのでしょうか。(長野県 会社員 50代 男性)
自己資金で支払った授業料などの教育資金でも、教育ローンを利用することは可能です。ただし、教育ローンを取り扱っているすべての金融機関が対応している訳ではありません。対応している金融機関を探した上で、支払った時から申込む時までの期間などの条件を事前に確認する必要があります。なお、子供の大学進学に関わる資金は比較的多額かつ、4年から6年などの長期間継続します。資金が不足する期間が一時的なのか、長期的なのかなどを踏まえて対策を講じる必要があります。

教育資金が不足する場合の対策──奨学金やローンの活用

子供を都会の大学に進学させる場合、そもそも都会は地方より物価が高い上に、近年では物価高の影響もあり、支出額が想定以上に膨らむ場合があります。長期間コツコツと蓄えてきた教育資金用の銀行口座の残高が急に少なくなると、不安を覚えることもあるでしょう。

ただ、不安を軽減する方法はあります。

親の年収の範囲で、毎年かかる子供の教育費、都会での生活費をカバーできそうにない場合は、奨学金を活用する方法があります。一定の条件を満たせば、返還義務のない給付奨学金や、返還義務のある貸与奨学金を受けることができます。貸与奨学金は、子供が将来自分の収入から返還するものです。親に返還の負担はかかりません。第二子や第三子が今後大学進学を控えているような場合などは、奨学金の活用を検討してもいいかもしれません。

資金が不足する期間が一時的で、親の今後の収入から計画的に返済ができそうな場合は、ローンを活用する方法があります。

今回のご相談のように資金使途が教育資金の場合は、資金使途が自由で金利が高い傾向にあるカードローンよりも、比較的金利が低く、返済負担が軽い教育ローンの利用が適しています。自己資金で既に支払いを済ませた教育資金でも、金融機関によっては教育ローンを利用することができます。

支払済の教育資金で教育ローンを利用するときの注意点は?

支払済の教育資金で教育ローンの利用を検討する場合は、まず、対応している金融機関を探す必要があります。教育ローンを取り扱っているすべての金融機関が対応している訳ではありません。

また、金融機関ごとに、教育資金を支払った時から教育ローンを申込むまでの期間に、「1ヶ月以内」、「2ヶ月以内」、「3ヶ月以内」、「半年以内」などの条件を設定しています。そのため、申込む時期が遅くなると、教育ローンの対象から外れてしまう可能性があることに注意が必要です。さらに、資金使途も金融機関によって異なります。入学金と授業料に限定しているところもあれば、子供のアパートの敷金・礼金・家賃などを含め、幅広く対応しているところもあります。なお、申込む時には、自己資金で支払った際に受け取った納付書や領収書等の提出が求められます。

このように、支払済の教育資金に対して教育ローンを利用する場合は、事前に情報を収集し、条件に合う金融機関を選択する必要があります。

いずれにしろ、ローンを活用するときは、返済に支障を来さない程度の借入金額や返済期間を前提として、候補に挙げた複数の金融機関の中から、金利タイプ、適用金利などの諸条件を比較・検討し、できるだけ負担が軽く有利な商品を選択することが重要です。

【参考リンク】

私が書きました

中村 宏 (なかむら ひろし)

ファイナンシャル・プランナー。FPオフィス・ワーク・ワークス 代表。

教育出版社勤務後、2003年にファイナンシャルプランナーとして独立。「お客様のお金の不安を解消する」をモットーに、1,500件を超える個人相談、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿等を中心に活動。無料メルマガ「生活マネー ミニ講座」を配信中。著作 「自分のお金の育て方」(祥伝社)、「老後に破産する人、しない人」(KADOKAWA中経出版)。

※執筆日:2024年04月15日