第1066回
物価高騰に苦しむ子どもを支えたい!仕送り費用に教育ローンは利用可能?
- 最近の物価高騰の影響で、一人暮らしの大学生の子どもから「生活費がかさみ生活が苦しい」と連絡がありました。これ以上の仕送りの増額は難しいのでローンを検討していますが、どんなローンが利用できますか。(Yさん 58歳 会社員)
- 予想外の物価上昇により仕送りが家計だけでは心配な場合、早めの対応が可能な教育ローンの利用を検討しても良いでしょう。国の教育ローンだけでなく民間金融機関の教育ローンにも仕送り費用や下宿代に利用できるものがあります。
急激な物価上昇が大学生の生活費を直撃
日本政策金融公庫が実施した令和3年度「教育費負担の実態調査結果」によると、自宅外通学にかかる仕送り費用の平均額は年間95.8万円、月額では7.9万円だということです。
一方で、資源価格の高騰や世界情勢の変化などにより食費や光熱費の上昇が続いています。総務省が発表した2023年度の消費者物価指数によると、天候などによる価格変動が大きい生鮮食品を除いた指数は前年度比3.1%上昇したということです。また、品目別では食料が前年度比8.1%と大幅に上昇していますので一人暮らしの大学生の生活も大きな影響を受けていると考えられます。
奨学金の貸与額の増額も検討
今後も物価上昇の傾向は続くと考えられますので、まずは奨学金や学費の減免制度が利用できないかを検討しましょう。
すでに日本学生支援機構の貸与型の第一種・第二種の奨学金を利用している場合は、貸与月額の増額が可能な場合もあります。申請してから審査もありますので、月額変更の反映には2~3か月程度かかります。また、給付奨学金(新制度)と授業料減免制度を利用していて第一種奨学金が併給調整されている等、増額ができない場合もあります。
仕送りにも教育ローンが利用できる?
奨学金の利用や増額ができない方は、早めに資金を確保できるローンを利用する方法もあります。使途が自由なカードローンやフリーローンを検討されるかもしれませんが、仕送りに利用できる教育ローンもありますので、まずは金利の低い教育ローンを検討しましょう。
日本政策金融公庫の「国の教育ローン」は所得制限により利用できない場合もありますが、低金利で利用できるのがメリットです。2024年2月現在、年利2.25%(一定の条件を満たす場合は年利1.85%。固定金利、保証料別)で授業料や学校納付金、教科書代などの学費はもちろん、通学のための交通費や在学のため必要となる住居費用も対象となります。通常は子ども1人あたり350万円まで利用可能ですが自宅外通学では450万円まで上限額が緩和されます。今後1年間に必要となる費用が融資の対象です。
民間金融機関の教育ローンは、審査のスピードが速いのがメリットです。利用を検討する場合は、使途に下宿代や仕送り費用が含まれているかどうかを確認し、なるべく金利の低いところを選ぶと良いでしょう。今回のように、物価上昇への対応のために教育ローンを利用するといったやむを得ない理由であったとしても、必要な金額にとどめて借り過ぎには注意しましょう。
私が書きました
ファイナンシャルプランナー(CFPR)。
大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務し、出産を機に退社。子育て中の2006年にファイナンシャルプランナー(CFPR)資格を取得する。その後、教育費や保険・家計見直しなどのセミナー講師、幅広いテーマでのマネーコラム執筆、個人相談などを中心に、独立系FPとして活動を行っている。
※執筆日:2024年02月14日