第536回
銀行のカードローン競争が激化。ノンバンクとどう違う?
- 一時的な事情で無担保ローンの利用を考えています。特に、銀行のカードローンを検討中です。ちなみに、最近、銀行のカードローンのCM等をよく見かけるようになったのは何か理由があるのでしょうか。また、ノンバンクと銀行のカードローンでは何か違いはありますか?(Nさん32歳、会社員)。
- 銀行のカードローンは「総量規制」の影響を受けないことで注目され、各社も力を入れているため競争が激しくなっています。ノンバンクは貸金業者として「総量規制」の影響を受ける点をはじめ、銀行のカードローンと異なる点があります。いずれにしても、条件に合う範囲で、より有利なカードローンを選びたいものです。
銀行のカードローン競争が激化しているワケ
視聴率30%超えの「半沢直樹」というドラマのおかげで銀行に熱い注目が集まっていますが、リアルの銀行においては、現在、カードローン戦争ともいうべき現象が起きています。特に、大手の銀行はテレビやインターネット上でカードローンの広告宣伝を行っているので、「CM等をよく見かけるようになった」のは頷けます。
銀行がカードローンに力を入れている背景には、2010年6月に改正貸金業法が完全施行されたことがあります。消費者金融やクレジットカード会社などのノンバンクが貸金業者として、貸し出しの際の「総量規制」の対象となったのです。総量規制とは、「原則、個人への貸付は年収の3分の1を超えてはいけない」というものです。後述しますが、貸金業者が一定金額以上の貸付を行う場合は、収入証明書の提出も必須となりました。
一方、銀行は貸金業者ではないため、貸金業法の適用を受けません。銀行ごとに独自の審査基準があり、その審査をクリアすれば借り入れができます(ただし、銀行系列のノンバンクは貸金業者です。銀行系列であっても総量規制の対象になります)。銀行は、系列ノンバンクに保証や審査を任せるなど、現在、カードローンの利用者拡大に力を入れています。中には、審査が最短30分で終わるカードローンもあり、系列ノンバンクの審査・与信ノウハウが生かされています。
銀行同士もカードローンで競争をしているため、銀行によっては、金利を低めに設定、住宅ローン利用者に金利を優遇するなどのサービスもあり、カードローン利用者の注目を集めているのです。
銀行とノンバンクのカードローンの違いは?
銀行とノンバンクのカードローンの違いということでは、前述のように、総量規制の対象かどうかがまずひとつ挙げられます。
貸金業者で50万円超の借り入れをする場合や、他の貸金業者を含めた総額が100万円を超える場合の借り入れには「収入証明書」の提出が求められることになっています(収入証明書とは、源泉徴収票や支払調書、給与支払明細書、確定申告書、年金証書、他)が、銀行は独自の審査となっているため、収入証明書がいくら以上から必要かなどは銀行ごとに異なります。
金融庁ホームページ「貸金業法Q&A」より
Q・貸金業者からお金を借りる場合、誰もが「年収を証明する書類」を提出しなければならないのですか?
A規制上は、個人がお金を借りる場合(リボルビング契約の借入枠を設定する場合も含む)、
(1) ある貸金業者から50万円を超えて借りるとき
(2) 他の貸金業者から借りている分も合わせて100万円を超えて借りるとき
のどちらかに当てはまれば、「年収を証明する書類」の提出が必要となります。それ以外の借入れであれば、自己申告に基づき年収を確認することとなります。
また、以前は、銀行のカードローンは審査に比較的時間がかかったり、営業時間内の来店が必要など制限がありましたが、最近は、来店不要でノンバンクと変わらないスピード感で審査やカードの発行などができる銀行もあります。それもそのはず、銀行系列のノンバンクが保証や審査を行っているところもあるためです。
もう1点、銀行によって異なりますが、銀行の他のサービスを利用することで金利優遇がある場合もある、という点も挙げられます。
カードローンは比較して選ぶ
今時は、ノンバンクのスピード感や利便性で銀行のカードローンが利用できるようになりつつあります。つまり、ノンバンクか銀行かを気にすることなく、利用できる金融機関の中から、より条件が自分に合っていて、より有利なものを選ぶことができます。
まずは、カードローン検索で自分に合った条件で絞り込んだのちに、ローンの詳細情報をチェックしていくといいでしょう。収入証明書を何らかの理由で出せない場合、銀行で収入証明書が不要なところなどを探せばいいでしょう。
なお、カードローンを絞り込む際は、自分のメインバンクの詳細も確認し、金利優遇などの条件に該当しないかなどもチェックしてみましょう。
最後に一言。カードローンはあくまでも「借金」です。人生設計や家計運営の重荷にならない範囲に抑えるなど、利用は慎重にしたいものです。